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【Story of Life 私の人生】 第18話:二年生 〜 トイレ掃除当番の思い出

こんにちは、木原啓子です。
Story of Life 私の人生 
前回は、 第17話:初めての授業参観日 をお送りしました。
今日は、トイレ掃除当番のお話をしようと思います。

十条で小学校に入学した時は、バラ色スタートだったのに、わずか1ヶ月もしないうちに急転直下で真っ暗闇に突き落とされ、「これでもか!」という位、人生のどん底状態に引きづり込まれるような事ばかりだった一年生の日々。
二学期以降になっても、クラスメイトからの「いじめ」は全然減らなかったけれど、2人の仲良しさんが出来たお陰で「ひとりぼっち」感はかなり薄れてきて、意地悪されても、意識がそこだけに向かなくなり、ただ落込むのではなく、適度に「右から左」へとやり過ごす事が出来るようになっていきました。

その一方で、家では相変わらず両親とのギクシャクした関係。
ちょっとした事でも両親の怒りを買ってしまい、体罰を受ける日々。
父は転勤したばかりで、慣れない仕事、友達もいない状態でストレスがかなり大きかったと思います。
また、母からは「言いがかり」としか思えないような事で叱られ、日常的に体罰を受けました。
今になって思えば、それだけ母を深く傷つけてしまったからなのだと思いますが、当時はただただ「理不尽」としか思えず、「実は本当の子供ではないんじゃないか」と真面目に思い始めていた時期でもありました。
両親共に、怒りや悲しみの吐口が他になかったのかも知れません。

また、先生の家の子供達に対しても不信感しかなく、仲良くする気持ちは全く起こらなくなっていました。
「絶対に馬鹿にされるもんか!」という、変な気概だけはあったのだろうと思います(笑)
母から与えられた、ドリルや日記のノルマだけは、毎日真面目にこなし続けていきました。
そのお陰かも知れませんが、学校での成績は、そこそこ良かった方です(笑)

喘息発作の夜間診療は、毎日のお約束状態になっていました。
夜、布団に入って1時間程度経つと、必ず発作が起こる…
生まれ持った体質や、温度の変化も原因だったかも知れないけれど、実は「心の問題」だったのではないかと思う今日この頃です。
後日談ですが、3年後に先生の家から引越しした後、喘息発作は全く出なくなりました。

そんな日々を送っているうちに、秋が終わり、冬になり、3月に一年生終了。
4月になり、二年生に進級しました。
クラス替えは2年に一度しかないので、担任の先生も、クラスメイトも全く同じ。
結局は一年生の頃と何も変わらない日々が、更に1年間続きました。

話は二年生の頃、今でも一番印象に残っていることに変わります。
学校といえば、色々なお当番がありますよね。
日直とか、給食当番とか、掃除当番などなど…
いじめられっ子だった私は、おかげさまで「お当番仕事」を沢山させて貰いました(笑)
その中でも一番思い出に残っているのが、トイレ掃除当番です。

私の通っていた小学校は、二年生になると自分の教室の掃除に加えて、月替わりで各クラスにトイレ掃除が回ってくることになっていました。
私のクラスも、年間で2か月間担当することになります。
掃除当番は、出席番号順で4グループに分かれていて、各グループが1週間づつ担当することになっていました。
教室の掃除だけなら月に1週間だけど、トイレ掃除担当が回ってきた月は、教室1週間とトイレ1週間になる訳です。
低学年だし、ただでさえ「掃除が大好き」っていう子はほとんどいない。
ましてや「トイレ掃除」なんて、誰もやりたがらない訳です。
となると「バイキン」扱いされている私に「お前やっとけ!」と、お鉢が回って来ることになります。
自分のグループが当番でなくても、何だかんだ言われて、結局私がほぼ毎日やる羽目になっていました。
最初の日は「私だって汚いトイレの掃除なんて絶対に嫌。当然、誰も手伝ってくれないし」と思ったけれど、仕方なく渋々掃除をしました。
でも不思議なもので、数日続けているうちに、何故かトイレ掃除が妙に楽しくなってきました。

床のタイルに、ホースで水をジャージャー掛けて、サンポール(今でもあるのかな?トイレ用洗剤です)をたっぷり撒いて、デッキブラシでひたすらゴシゴシ。
一度、床の洗剤を水で洗い流してから、次は小便器や大便器(旧校舎だった頃は、男子トイレも女子トイレも分かれていませんでした)にも、サンポールをたっぷり掛けて、トイレ用のたわしで、ひとつづつゴシゴシ。
最後にホースで、床と便器をもう一度水で洗い流して終了!
綺麗になったトイレを見ると、何だか嬉しくなってニコニコ顔に(笑)
何も考えず、無心でゴシゴシすることが、私のストレス解消に繋がっていたのかも知れません。
他の子達は、遠くから掃除が終わるまで眺めているだけでした。
掃除が終わると「お前、ばっちいからそばに来るな!」やら「エンガチョ!」と言って笑ってるだけ。
それでも、ピカピカになったトイレを見て、「1人でよく頑張った!」という達成感が湧いてきて「明日も頑張ろう!」って思うようになっていきました。

そんなある日のこと。教頭先生が通りがかりました。
黙々と1人で、なんだかすごく楽しそうにトイレの掃除をしている私を見て「よく頑張って掃除しているね!トイレを綺麗にするということは、自分の心を綺麗にすることと一緒なんだよ」と、遠目に眺めていた他の子に聞こえる位、大きな声で褒めてくれました。


そして、翌週の朝の全校集会でも、教頭先生から再度褒めてもらい、嬉しいやら恥ずかしいやら…
理由は分かりませんが、その日からは、他の子達が自ら進んでトイレ掃除をするようになってしまいました。
全校集会で褒められたいと思ったかどうかは、定かではありませんが(笑)
自分の「密かな楽しみ」がなくなってしまい、ちょっと残念だったけれど、掃除は1人でやるよりは、皆で手分けする方がずっと早く終わるし、掃除のやり方を教えて欲しいと言ってくる子も出てきたので、結果オーライ!
結局、小学校を卒業するまで、トイレ掃除当番は、各クラスに年に2ヶ月回ってきましたが、以降私は「トイレ掃除マスター」になりました(笑)

きっかけは「いじめ」で、決して「誰かから褒められること」が目的ではなかったトイレ掃除。
でもひょんなことですが、教頭先生から褒めてもらったことによって「自分はダメな子」「誰からも愛されていない子」というネガティブな感情しかなかった私に、ほんのちょっとだけど、「自信」を与えてくれました。
また「人が嫌がることをすると、良いこともある」という、妙に感慨深い気持ちも生まれました。

今、あの頃のように、無心でトイレ掃除をすることが出来るかな?
自分の心の鏡を綺麗に磨くことが出来るかな?
まあ、良かったのか、悪かったのかは別として、ある意味でかなり良い経験をさせてもらったなぁって思います。
「トイレ掃除」を私に押し付けた同級生達に、感謝しなくちゃいけませんね(笑)

〜続く。

今日はここまでです。
次回は、第19話:三年生 〜 紅白饅頭とお誕生日会 に続きます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
またお会いしましょう♪

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