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数理とデータで迫る~浅古泰史・東島雅昌「どうする独裁者」スタート!!

『経済セミナー』2023年8・9月号 (→少しだけ立ち読み【リンク】から、以下の新連載がスタートします!

浅古泰史東島雅昌
どうする独裁者~数理・データ分析で考える権威主義

https://www.nippyo.co.jp/shop/magazine/9087.html

主にゲーム理論を駆使してさまざまな政治現象などを分析してきた浅古泰史先生と、政治体制などを研究する比較政治学を専門とする東島雅昌先生がタッグを組んでお送りする連載です。

このnoteでは、ざっくりと本連載のねらいや参考情報をご紹介できればと思います!


■ 「どうする独裁者」とは?

この連載では、タイトルの通り「独裁者」に着目します。あるストーリーを題材に

▶独裁者はどのように誕生するのか?
▶独裁者の支持者はどのように形成されていくのか?
▶どのように権力を奪取し、新たに君臨し、権力を維持しようとするのか?
▶どんなときに権力の座から没落してしまうのか?
▶没落を防ぐために、独裁者は何をするのか?

この連載では、こうした疑問に、経済学と政治学の数理モデル分析、データ分析を駆使して答えていきます。

ウクライナ侵攻を決断したロシアのプーチン大統領、政権3期目に突入して支配力を強める中国の習近平国家主席など、独裁者が世界の中で存在感を示し、大きな影響を与えています。いま、独裁者について理解を深めることは、私たちにとっても喫緊の課題です。この独裁者の行動メカニズムやインセンティブ構造を解き明かすためにカギとなるのが、数理モデルとデータを駆使した研究です。

■ 初回:民主主義とは? 権威主義とは?

初回は「独裁者として生きる道」と題し、本連載を読み進めるうえで重要となる基礎知識を整理してお伝えします。

独裁者/独裁制」という言葉は、学術的にはどんな意味があるのか?  独裁者の君臨する「権威主義」と、日本のような「民主主義」はどう違うのか?

私たちも普段何気なく使ってしまうこのような言葉たちも、経済学や政治学の分析ではきちんと定義したうえで用いられます。こうした基礎知識をしっかり共有したうえで、これまでどんな数理モデル分析、データ分析が行われてきたのかをお伝えしていきます。そのうえで、今後の連載で着目する、独裁政治における3つの疑心暗鬼と、独裁政治の4つの局面を整理して、次回以降のストーリーにつなげます。

「どうする独裁者」第1回の内容

★(2023年9月7日追記)★ なお、本書の補足情報や実証分析の再現コードを提供するサポートサイトを開設しました。ぜひご利用ください!

連載「どうする独裁者」サポートサイト
https://sites.google.com/view/dousuru-dictator/

■ 民主主義を装う権威主義、装わない権威主義

ところで、本連載内でもたびたび言及されますが、東島雅昌先生は2023年、
民主主義を装う権威主義――世界化する選挙独裁とその論理』(千倉書房)という研究書を出版されました。

この本では、独裁者=権威主義体制の国の指導者が、暴力や抑圧で国民を抑え込んで支配するのではなく、選挙の仕組みを巧妙に操り、あたかも民主主義的な統治に則っているかのように装って、自身の支配を維持し続けている点に着目しています。そして、さまざまな角度から現代の権威主義のメカニズムを、データ分析・事例分析に基づいて解き明かしていきます。すなわち、「民主主義を装う権威主義」です。

一方、この連載の主な焦点は少し異なります。同じ権威主義でも、この連載では、「民主主義を装わない権威主義」に着目します。つまり、暴力・恐怖・抑圧を駆使して支配を確立しようとする独裁者の行動を、数理モデルとデータに基づいて探求していきます。

そのために、日本において、まだ民主主義の萌芽すらなかった過去の時代に着目します。このnoteの冒頭で「あるストーリーを題材に」と述べました。この連載では、議論の味付けの1つとして、2023年のNHK大河ドラマとして放送された、源頼朝が北条義時が独裁者となっていく過程を描いた「鎌倉殿の13人」における印象深いエピソードも振り返りつつ、伝統的な権威主義体制・独裁者をじっくり議論していきます。

本連載では、これまでに経済学・政治学で蓄積されてきた、ゲーム理論などを駆使した数理モデル分析に基づく研究、さまざまなデータセットを駆使して精緻なデータ分析に基づく研究の成果に基づいて解説します。

近代・現代の事例も振り返りつつ、また「鎌倉殿の13人」の時代にも目を向けつつ、非常にエキサイティングな内容の連載をお送りできると思います。ぜひともご期待ください!!

■ 政治の問題に、数理とデータで迫る!

それでは、政治学や経済学では、これまで「権威主義」や「独裁者」、あるいは「民主主義」について、どんな分析が行われてきたのでしょうか?

その概要を紹介・解説したのが、『経済セミナー』2022年10・11月号 の特集、「いま、政治の問題を考える」です。実はこの特集では、この連載の著者である浅古先生と東島先生に、巻頭対談にご登場いただきました。

そのときの議論で言及された参考情報・資料・文献を中心に、以下のnoteにまとめてあります。まずはこちらだけでもぜひ覗いてみてください。

また、この特集全体の概要も、ざっくりと以下のnoteにまとめています。政治に関連するさまざまなトピックに調査・実験・データ分析で迫る研究をご紹介いただいています。「こんな分析もあるのか!」と、驚きにも出会える内容になっているのではないかと思います(現在、【コチラ】で本特集だけをバインドしたe-bookを、税込550円でお求めいただけます)。

『経済セミナー』2022年10・11月号、特集「いま、政治の問題を考える」の目次

また、以下のnoteでは浅古先生と東島先生による、政治体制、民主主義・権威主義の分析に入門するためのオススメ書籍をご紹介いただきました。

比較政治学、民主主義・権威主義の入門書と、政治の数理モデル・データ分析を学ぶための入門書に分けてピックアップしているので、こちらもぜひご覧頂ければ幸いです。

なお、浅古先生は政治のテーマを扱ったゲーム理論の書籍もいろいろと出版されています。『活かすゲーム理論』は政治だけでなく、ビジネスや社会問題から身近な話題まで幅広い事例の分析例は紹介する入門書です。『ゲーム理論で考える政治学』と『政治の数理分析入門』は、政治問題に特化したゲーム理論の分析を解説。前者は入門的なレベルでまとめられた本なので、ぜひ本連載とあわせてご覧になってみてください!


『経済セミナー』2023年8・9月号から始まる新連載、「どうする独裁者」、ぜひご期待ください!!

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