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システムは変えられることを学ぶ

仲間や奥さんが企画したイベントが土曜日にあり、その様子を翌日、朝食を食べながら家で聞いていた。昨年12月、オランダやデンマークの教育現場の視察に行き、そのメンバーが共同で主宰。ツアーの報告が行われた。サイボウズさんの日本橋のオフィスに集まった参加者は200名にも上り、大盛況だったとのこと。

日曜朝の寝ぼけた頭をコーヒーで覚ましながらの理解だが、イベントの中心には「教育は何のために存在するのか?」という問いがあるようだった。

日本で教育のあり方について語られる時、多く場合は「今の教育は社会の役に立たない」「実践のスキルがつかない」という背景の中、PBL型授業やその手段としてワークショップが位置付けられる。こうしたプログラムの学習目標は「創造性」「考える力」「協働」などの言葉で語られる。実態はどうか分からないが、産業界の要請から組み立てられることが多いように感じる。


一方、彼女たちが訪れた国では、「システムは変えられることを学ぶ」ことが学習目標の一つとして掲げられているそうだ。現在のシステムは不完全であり、一人一人にとって最適かどうかは分からない。そのため、自分に影響している今のシステムが適さないと感じたら、例外を受け入れる関係性の余白をお互いがもち、必要ならその場からシステムに働きかけることを実践し、実践の中で学ぶ。

例えば、ある学校でのエピソード。学校に通い授業を受けることに疑問をもった小学四年の生徒がいたそうだ。「何で学校に行かなきゃいけないの?」その疑問を聞いた先生は「じゃぁ君は何なら興味があるの?」と尋ね返した。生徒は「車は大好き」と答えた。それを聞いた先生は地元のカーディーラーに交渉し生徒をインターンとして受け入れてもらった。

しばらくしてから生徒が先生のところに来て「算数について学びたい」と言いだした。先生がその理由を尋ねると「僕は計算ができないから、車の数も分からず、みんなの役に立てない。だから算数を勉強したい」と答えた。「それなら算数の授業がある日だけ学校に来る?」と先生は答え、大きく頷いた生徒はその日から算数の授業がある週2日間、学校に通うことになった。

というような話が溢れている。


組織変革や人材育成に携わり試行錯誤されている方なら一度は「どうすれば自社の社員が主体的に行動できるか?」という問いを持たれたことがあるだろう。その解決策として、ロジカルシンキング、プレゼンテーション、対話などの研修が行われ、幸い僕の専門としている「ワークショップ」や「ファシリテーション」にも期待いただき、様々な形でご相談をいただく。

一見表層的なスキルのようにも見えるこれらの学びを通して、僕たちが求めている主体性とは、システムが自分に適さないことを表明出来る余白の中で、必要な時に自分たちの手でシステムを創るための、技術、関係性、あり方、そして少しばかりの勇気を学ぶことなのだろう。そんなことを感じた日曜日の朝だった。

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