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忙しいのは自動操縦プログラムのせい?

今日は「忙しい」について考えてみたいと思います。
・あなたは忙しいですか?
・忙しいってどういう状態ですか?
・どうして忙しいですか?
・忙しいのは好きですか?

「忙しい」の対義語って何でしょうね? 「暇」?
僕は「忙しい」の反対は「スペースがある」かなと最近思い始めています。
今日はそんな話。

I am busy

僕は会社に入ってから20年、はっきり言ってずっと忙しい日々を過ごしています。

スケジュールがパンパンです。
次から次へとミーティングが入ってきます。
ミーティングのない時間帯は、メールの返信を書いたり、パワーポイントスライドを作ったりして、殆ど一日中スキマがない状態。

なかなか時間が取れないから、オフィスでエレベータを待つ時間、会議が始まるのを待っている時間も、スマホでメールチェック。
進捗を確認するだけなら10秒で処理できるし、読む必要がないメールをアーカイブに移動する作業なら2秒です。
(ここだけの話、トイレにもスマホを持ち込んでいます)

オフィスへの通勤でも電車を待つスキマ時間を有効活用、メールチェック、ニュースチェック、SNSチェック。
電車に乗っている間も、何もしないのは勿体ないから、YouTubeかAmazon Primeを見て、家で掃除機をかけながらPodcastを聞いて、お風呂に入っている時間も無駄にしない。
ベッドで眠りにつくまでの時間も何か有効に活用しようとしてしまう。

スペースがない

こういう生活をしていると、1日24時間がやることで埋め尽くされています。
ぎゅうぎゅう詰めのpackedな状態。

忙しくて時間がないから、スキマ時間をどんどん有効活用しようとする。
時間という資源がとても貴重で、無駄につかうのが勿体ない気がする。

結果として、時間という器がいっぱいいっぱいになり、ますます忙しく感じる。
心の器もいっぱいいっぱいで、いつも何かに追い立てられ、焦りを感じ、余裕がない状態になってしまっている。

こんな現代人、けっこう多いのではないでしょうか。
電車の中を見渡すと、みんな一生懸命ディスプレイ画面に見入っています。

「セコセコ思考」の罠

この「時間やお金を有効活用したい」という思考について考えてみます。
これを僕は「セコセコ思考」と名付けています。

イメージするのは、この計算式。
「獲得できる便益(ウレシイの量)/ 時間・お金・エネルギーの投入量」
これをなるべく大きくしたい。

A:自動操縦されている

「時間のスキマが出来た瞬間、自動的にそのスキマを埋めようとする状態」になっていないでしょうか。
意識的に行動を選択しているのではなく、体が自動反応している。

まるでプログラムがバックグラウンドで作動していて、条件に従ってアクションが起こされている感じ。
あるいは「情報収集量の最大化」という目的関数が与えられた機械学習が組み込まれたかのよう。

このプログラムのようなものに操られて、自分で行動選択している感覚が喪失されているとしたら要注意です。

B:投入単位が小さくなっている

情報処理・通信の速度、デバイスの小型化により、短い時間でも情報収集や発信ができるようになったのは、みなさん知っての通りです。
昔はPCの起動にも時間がかかったし、ポータブルデバイスも限られていたから、ある程度まとまった時間がないといけなかった。
これはお金の投資にも言えることで、マイクロファイナンスや小口株式など、一つの処理にかかる手続きコストが格段に下がったため、投入できる単位がグッと小さくなっています。

これがA:自動操縦と掛け合わされるとどうなるか。
投入できる単位が小さくなっているから、小さいスキマにもどんどん入ってしまうということが起こるわけです。
拳大の石だったらスキマが残るけれど、砂の粒だったらスキマなく埋め尽くされるのと同じですね。

C:獲得できる便益(ウレシイ)を確実にしたい

せっかく時間やお金を投入するのであれば、確実にウレシイ結果を確保したい。そう考えるのは何も変なことではありません。

「時間やお金をムダに遣いたくない」
この思考プログラムも常にバックグラウンド作動してないですか?

・食事をする場所は食べログでチェック
 (せっかくなら美味しいものを食べたい)
・どの映画を観るのかを選ぶときもレビューをチェック
 (2時間をムダにしたくない)
・お店で良いものを見つけても購入前にチェック
 (ネットの方が安かったら損しちゃう?)

若い世代の志向性として「失敗したくない症候群」をあげられることがあります。
これは「恥をかきなくない」とか「打たれ弱い」という側面もあるかもしれないけれど、「ムダなことに時間やエネルギーを浪費したくない」という感覚が少なからずあるような気がします。

こんな症状ないですか?


こういう「セコセコ思考」にハマってしまうと、

・いつの間にかスキマが埋まってしまい、時間・お金・エネルギーが残っていない
・まとまった単位で時間・お金・エネルギーを投入することに躊躇する
・どんなことが起こるか分からない行動は選択しない
・ウレシイことが起こるか不確実なことは選択しない
・空白の時間が耐えられない、のんびりできない

ということが必然的に生じるわけです。
これが現代人に巣食う「セコセコ病」なのです。

リハビリが必要

もしあなたが「セコセコ病」を患っていることに気づき、何とかしたいと思うのなら、例えば、こんなリハビリはいかがでしょう?

「スキマを埋めない」を意識してみる。
例えば、電車待ちの時間、エスカレーターに乗ってる時間、テレビCMの時間に、明確な目的なくスマホを見ない。

「空白の時間」でスケジュールをブロックしてみる。
会議を入れない、タスクにフォーカスしない、何も入れない。

「勘」を信じて選んでみる。
お金や時間を投じるとき、店構えの雰囲気やネーミング、見た感じのインプレッションがビビっと来ているか、自分の感覚に意識を向けてみる。

「自然」の中に身を置いてみる。
情報から遮断して、ゆったりと流れる時の中で音や匂いを感じて過ごしてみる。

実は、バックグラウンドで勝手に作動しているプログラムを、意思の力でスイッチオフすることはとても難しいので、リハビリが必要なのです。
マインドフルネス瞑想なんかもいいですね。

「セコセコ思考」は、自分で自分を忙しくさせ、気づけば体も心も消耗してしまう、そんな危険が潜んでいるかもしれません。
何かピンと来るものがあったら、ぜひ試してみてください。
それでは今日はこの辺で。

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