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スタジアムボイスはどう生かされるか

 いわきFCが現在進めている新スタジアム検討委員会(I.G.U.P)の委員会が先月30日夜、開催されました。同検討委員会が現在、ホームゲームで行っている「スタジアムボイス」や「ユースプロジェクト」について、その進め方や意義について議論を深めました。

 スタジアムボイスはこれまで、ジュビロ磐田戦、ヴァンフォーレ甲府戦、東京ヴェルディ戦、ファジアーノ岡山戦、ツエーゲン金沢戦などで実施。IGUPの議論の流れをまとめたグラフィカルレポートを展示するとともに、ざっくり「新スタジアム」や「いわきFC」や「地域」に関して思う言葉やワードを付箋紙に書いていただいています。

 現在までに集められた付箋紙は800枚を超え、多種多様な意見が寄せられています。当然、スタジアムで集められた声なので、いわきFCが好きな人やサッカーに興味がある人が結果的に対象となっています。
 では、ここで集められた声=付箋紙はどうされているのか。どうスタジアムに繋がっていくのかは分かりづらいと思います。自分も分かりづらいです(笑)IGUPの中で情報発信を担っている「広報チーム」のメンバーによるリポートがいわきFC公式noteから発表されていますが、集まった付箋紙をどう振り分けて現在、どういう形でまとめられているのかを、個人的に書いていこうと思います。
 ※ほぼ自分の「推測」になります。「推測」の理由は別の機会に。

集めた声から方向性を見出す

 8月中旬、いわきFCパークにIGUP広報委員会のメンバーが集まり、スタジアムボイス及びユースプロジェクトで寄せられた意見(ワード)を分類する作業を行いました。声(付箋紙)をさっと見て「へぇ~こんな意見があるんだ」で終わりではないのです。

 これまで他地域やクラブで行われてきた検討と、現在いわきで行われている検討は大きく異なっているのではないか、と考えています。
 既存の検討方法はおそらくパソコン内に「スタジアム」という大きなフォルダを作り、その中に「機能」や「場所」「費用」といった小フォルダを事前に作成した上で、フォルダのタイトルに合った意見(ファイル)を収めていき、完成にこぎつける作業ではなかったかと思います。

 それに対して今回は、パソコンにとにかくファイルを全部入れるところからスタートしています。そのファイルがスタジアムボイスで集められた声です。広報委員会メンバーが行った作業は、パソコンにぶち込んだ=机の上に雑然と置かれた付箋紙(ファイル)を、なんとなく類似するような付箋紙ごとにまとめ、ある程度関連性を持った付箋紙ごとに利便性を考えて大項目の名称=フォルダ名をつける。フォルダの中で更に小分けして小フォルダを作成し、名前を付けていく、という方法でした。

結論ありきではない作業

 この作業、すなわち大雑把に分類して共通する中身を見出し名付けていく作業は、脳内で曖昧としていた考えに言葉を与え、文章化(記号化)していく作業に近かったと感じています。

 例えばスタジアムという大きなくくりの中で「(スタジアムの)機能」という名前を付けたグループの中には「ピッチとの距離」や「屋根」など細かい機能が見られます。一方で「育児スペースの確保」や「スタジアムグルメの充実」などは直接的な「機能」というよりも、もう少し外側にあるであろうという考えのもと「サービス」というくくりで集約しました。
 大項目には「機能」「サービス」のほか「復合化」「アクセス」「まちづくり」「シンボル」「いわきといえば」「クラブ・選手へのメッセージ」などの項目名が付けられました。小意見ながら「環境」「PR」という意見があったことも記載します。

 「機能」の小項目には「屋根」や「サッカー専用」「通信環境」「駐車場」などの言葉が集められましたが、個人的に感じたのは「機能面は一定水準が満たされていれば良いとする意見が大勢なのではないか」ということ。少なからずいわきFCやサッカーに興味のある層に対してのアプローチだった割に、機能面を挙げる人が意外に少なかった印象がありました。

地域への思い

 一方、多様な意見が寄せられたのは「複合化」や「まちづくり」「いわきといえば」に分類される項目でした。

 日本の「地域課題」は、特に地方都市においては「人口減少・人口流出」に集約さけると考えています。特に双葉郡・いわき市は自然要因による人口減少に加え、東日本大震災と原発災害による帰還困難という社会的要因が拍車をかけています。その中で「まちづくり」大項目の中に設置された小項目「まちへの愛着」に分類した「帰ってきたくなるまち」「みんなが住みたいまちNO.1」「進学とかで一度出ていった人も、戻ってきたくなるまち」などのワードは、いわきFCやスタジアムによって故郷や地域への愛着や誇りを醸成し、メディア等で日常的に言葉として出されることによるブランドイメージ回復などの遠因を通して、果ては帰還促進にも繋がる重要なワードだと考えました。

常に声を集め進化するスタジアムへ

 また議論の中の意見として、いわきFCサポーターの属性が本当に子供からお年寄りまで幅広く、男女や1人で来る人、仲間、友だち、家族で来る人、地元の人、地元以外の人が多種多様で、まさに「地域の縮図だ」という声がありました。僕が普段いるのはゴール裏ですが、メインで見ている人もいればバックスタンドで見ている人もいますし、ゴール裏でさえ「普段の居場所」によって特徴はバラバラです。そんな多様な人々の声をもっと集めたい、何なら試合に来ていない人たちの声も集めたい等様々な意見が出されました。

 そんな中で委員の1人が放った言葉「スタジアム民主主義」というキラーワードが非常に印象的でした。
 どんな人にも意見があり、どんな人からの意見も受け止める。その上で、多くの賛同を得た意見によって、スタジアムが日々変化していく。このスタジアムボイスは、スタジアムの方向性が固まったから終了、ではないのです。おそらくスタジアムが完成した後も随時集められ、その度にスタジアムは進化していくはずです。

何のためのスタジアムか

 ライセンスに必要だから、大会を誘致したいからではなく、地域の課題は何か、その課題を解決する為にスタジアムが果たせる役割は何か。遠回りかもしれませんが、いわきFCが明確なコンセプトとビジョンを持ち、目的に向かっているのと同根の思想を強く感じています。Jリーグに上がることが目的ではなく、あくまでスポーツで社会価値を創造する、いわき市を東北一の都市にするというビジョンやミッションを通して、日本を元気にすることがいわきFCの目的。同じように、ライセンスの為ではなく、大会誘致の為ではなく、その先の何を目的にし、どう解決していくか、その為にはスタジアムの規模や位置はどうあるべきか、なのだと思います。
 オンラインやパブリックコメント的な場面で、今後も意見聴取が行われていくはずです。是非多くの方の意見を出していただければ、と思っています。

 23日に行われたツエーゲン金沢戦でも、多くの声を寄せていただきました。ご協力いただいたみなさん、ありがとうございました!!

告知

 そんな中、10月15日午後2時から、いわき産業創造館で第2回となるユースフォーラムが開催されます。

 対象は小学校1年生~20代までの子ども・若者となります。ワークショップ等を通して地域の未来像や新スタジアムについて意見交換などを行います。申込は10/10まで!!

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