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ツムギの『母親』になろうじゃないか!〜ようやく覚悟を決めさせた継娘の言葉〜

甘えられるということが、特にこどもにとって大切なことだと頭ではわかっていても、大きなこども(夫)と親子二人で、全力でぶら下がってくると(主に家事と家計について)、さすがに私もそんなキャパはなく、ふざけんな!とちゃぶ台をひっくり返すことしばしば。

たまたま私の仕事による大ストレスと、各々同じことを繰り返す甘ったれた態度が重なって、もう一度、今後について話し合おうと、二人をテーブルに座らせたのでした。


細かいことはもういい。
「一緒に住みたいのか」「一緒に住みたくないのか」

沸点からはだいぶ温度が下がっていたので、そんな高圧的な聞き方はしていないつもりだけれど、それでも私は真剣でした。

「ツムギの本当の気持ちを話していいんだよ」

「どっちでもいい」

いつも通りの返事をする娘。

それならと、私は紙の真ん中に線を引き、『一緒に住みたい理由』『一緒に住みたくない理由』と書いて、これに思いつくままに書いてごらんと手渡しました。


ほどなくして、書く手を止めた娘が「できたよ」と返してきた用紙を読んで正直驚きました。

『一緒に住みたい理由』の方が多く、その理由の方に娘の強い意志が現れていると感じたからです。


以前、同じような質問をしたことがありました。

そのときは、『今の家に住みたいか』『前の家に戻りたいか』というような聞き方をしたのだったと思いますが、「サッカーを辞めたくないから」とか「仲のいい友達がいるから」とか、「どっちでもいい」の理由は、そんなことだったと記憶しています。

ところが今回の回答は、大きく変わっていました。

『一緒に住みたい理由』
・父さんが悲しむのがいやだから
・ケイトを好きになれそうだから
・初めての母親だからもうはなれてほしくない
・自分を成長させてくれるきっかけがたくさんあるから
・自信を持ちたいから
・おばあちゃんもやさしいけどケイトも負けないくらいやさしいから
・おばあちゃんよりもきびしくないから

『一緒に住みたくない理由』
・これ以上めいわくをかけたくないから
・自信が持てないから
・お金にきびしいから
・二人がケンカするのをもう聞きたくないから
・性格があうきがしないから
・学校がかわるのがいや


まだほんの12歳のこどもに、こんなことを言わせたのは酷だっただろうか?と一瞬迷ったけれど、「これを読む限りでは、一緒に住みたいのかな?と感じるけれど?」と聞くと、「書いているうちに自分でもそう思った」と言うので、モヤモヤしていた思春期の心を、ちゃんと自分で客観的に見ることができてよかったんだと思うことにしました。


これは今後、挫けそうになったときに、私のお守りになるんだ。と思いました。

今までも、学校では私のことを『お母さん』と言っているようだし、アーニャの口を借りて、私の前で『母』と言うこともありましたから、自分にも『母親』ができたんだ。と、彼女なりに受け取ってくれているのだろうと思ってはいましたが、じゃあ『母親』って何?がわからず、ぎこちない態度で接してくるツムギに対して、私は素直に『娘』であると思えていませんでした。


赤ちゃんのころに、多くの親子が自然と身につけていくであろう愛着を形成できていない私たち。

ツムギの『初めての母親』という言葉に、先に愛着を獲得したのはツムギの方だったのだとハッとさせられました。

それなら、『母親』として、責任を持って面倒みてあげるよ。

『母親』には、到底なりきれていないけれど、もう、『家族でいたいのか』『家族でいたくないのか』なんて聞き方はしない。

次にツムギが「一緒に住まない」と言うときは、親の手を離れて独立していくときだと、そう思いました。


着々と小学校卒業、中学校入学に向けて準備は進んでいて、3年前の今頃は、まだここに住むかも決まっていなくて、それでもなんだかワクワクしながら夫と新生活について相談していたことを、昨日のことのように思い出します。

ああ、確か、これから3人で暮らすからよろしくね。と、ツムギとの顔合わせに食事に行ったのは、バレンタインデーだったのではなかったか。

あのとき、大人2人が面食らうぐらいに、やたら明るく楽しげにしていたツムギを、私はずいぶんとガッカリさせ続けてきてしまったのかも知れません。

まだ3年なんだぁ。

いろいろなことがあり過ぎて、まだまだこれからもあるのでしょうけれど、ツムギ自ら言葉にした、自信を持てる自分に成長したいという前向きなエネルギーを、真っ直ぐに突き進めるように、サポートしていきたいと思いました。

ツムギ、ようやく私を『母親』にしてくれましたね。

ありがとう。

これからもよろしく。

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