読書の記録#2 あなたの才能があなたを苦しめる

あなたの才能があなたを苦しめる(すばる舎) 大嶋信頼(著)

自分には合わなかった

内容は主に
・周りの言うことに左右されずに自由に生きていこう!一見欠点に見えるものも含め、自分の才能を認めて自分を開放(=自分らしさを謳歌)しよう!
・自己暗示で不安を打ち消そう!
の2本立てという印象。とにかくBe positiveを色々な角度から伝えようとしている本であった。
著者自身も心理カウンセラーで、本の帯には「シリーズ累計30万部 カリスマ心理カウンセラーが伝授!」との文字も踊る。講演会等も行っているようで、名前の通り彼を"信頼"している人が多くいるようだ。(名前は"のぶより"のようだが)
この本をオススメするとすれば自分に自信が持てない人、あるいは自信を持てない人がが身近にいる人だろうか。心理カウンセラーの説法、という具合である。

ただ、個人的にはこの本は合わなかった。メンタルという形のないものを取り扱う以上、それぞれの人の信念によるところが大きくなるのはやむを得ないと思うし、拠り所が無くメンタルが落ち込んだ人がこういった考え方を拠り所・信仰対象とすること自体に違和感は無い。単純に、自分がそういった「洗脳タイプ」の人を好きじゃないということに尽きるという意味での"合わなかった"。
仕事をする中でも、自信がある人ほど洗脳タイプになりやすい印象。特に、研修担当になると"かくあるべし"、"お前はできる!!"、"俺みたいな社会人になれ!!!"みたいなタイプの人も多くいるように思う。(少なくとも自分の会社はそうだと思う)
メンタルに苦しむ人を日頃相手にしているからこそ、自分を大きく見せる必要があるのだろうなと感じさせられた。特に最終章は、読者(講演会参加者)との質疑応答形式で書かれており、教祖感が強まっている。カリスマって往々にしてそういうものだけれど。
洗脳してこようとすると警戒し壁を作る自分とは水と油だなあと読んでいる途中から笑ってしまった。(要は自分は面倒なくらい自我が強いんだろうな)

洗脳を否定する気はない。「あの人みたいになりたい」というのがモチベーションだったり目指すところになるというのはよくある話だし、宗教と一緒で信じることで救われるケースだって多くあるだろう。自信満々の人がそうなりやすい印象があるのだって、それで成功体験をしているからこそなのではないだろうか。事実、自分の会社の教祖的な方達も自分にとって苦手な人種だが、客観的に見て仕事はできる人ばかりだ。
なので、合う合わないはあれ、ニーズは高い本である可能性も十分にあると思う。

気を付けるべきだと思わされたこと

とはいえ、自分も気を付けるべきだと思わされたこともあった。"嫉妬"だ。
この本の序盤のテーマの用語と言っても良いくらい頻出する語なのだが、成功している人を見ると人は無意識に嫉妬するという主旨だ。
たしかに、自分がされた例で考えると当てはまると思わされた。自分は世間的に言って高学歴だが、会社で同期に「〇〇大だから安泰で良いよな」と言われたり、同じ職場の先輩に「君はエリートコースに乗る権利のある人だから、自分とは違う道を進め。自分の出身大学じゃこうやってもがくしかないんだ」と言われたりした経験がある。いずれも言われて気持ち良い話ではなく、言われた側はこのように覚えているものだが、言った側はほぼ無意識だろう。特に後者の先輩に関しては対顧客への営業を1から丁寧に教えていただいた先輩で本当に優しい方だったので、おそらく悪気は無かったのだろうと思う。無意識の嫉妬にまさに当てはまりそうだ。
自分にないものを見ると、羨ましいと思うのは人間の性なのかもしれない。自分だってそう思う。だからこそ、無意識に嫌味っぽく言ったり、自分を卑下した表現をしたりしないよう気を付けないといけないと思わされた。ここまで書いて、メンタル向上の本を読んで過去の嫌だったことを思い出してるじゃないかというツッコミが思いつく。ちなみにこの本の理屈に基づいてこれを解決するとすれば、「言われても気にすんな」「向こうも無意識に言ってるだけだから気にしたら負け」「『相手は自分が置いて行かれるんじゃないかと思っているからこそ足を引っ張ろうとしている。相手は孤独が怖いからこんなことを言っているんだ。』と、思おう」といった具合である。それが言われて出来る人はそもそも病まないような気もするが…。

人から言われたことや、人の行動に影響を受けやすい人ほど、読んでみると良いかもしれない。
逆に、上記のようなことを言われて「なんだよその言い方」って腹が立つ人には共感しづらいかもしれないと感じる1冊だった。

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