【認知的不協和理論】「保守派」と「リベラル派」【脳の構造】〜「歴史修正(否認)主義者」の精神構造〜「ネトウヨ」が生まれる仕組み《考察》

Ⅰ.【認知的不協和理論】

 ★【認知的不協和理論】とは?

【認知的不協和】とは、人が自身の認知(理解・知識・信念・価値観・行動など)とは別の矛盾する認知を抱えた状態、またそのときに覚える不快感やストレスを表す“社会心理学用語”

アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された

それによると、人はその“不快感”や“ストレス”を解消したり、低減させようとする心理的圧力がかかり、矛盾する認知の定義を改変したり、過小評価したり、自身の考えや態度や行動を改変しようとする

その考え方を【認知的不協和理論】という

フェスティンガーによる認知的不協和の仮説(命題)
①不協和の存在は、その不協和を低減させるか除去するために、なんらかの圧力を起こす。
つまり、複数(通常は二つ)の要素の間に不協和が存在する場合、一方の要素を変化させることによって不協和な状態を低減または除去することができる 

②不協和を低減させる圧力の強弱は、不協和の大きさの関数である。
つまり、認知的不協和の度合いが大きければ、不協和を低減させる圧力はその度合いに応じて大きくなる

 ★⟪不協和⟫を解消しようとする行動

1;不協和を低減・解消させるために何らかの圧力(行動)を起こす

具体的には“古い認知”か“新しい認知”のいずれかを否定する傾向にあり

①“新しい認知”を取り入れ、“古い認知”を変える
②“古い認知”に拘り、“新しい認知”を否定する

そのどちらかのことが多い

その場合、比較的「変えやすい」方の認知を変えることで、「絶対に変えられない」認知を正当化しようとする

③都合のいい情報ばかりを集めたり、解釈を改変することで都合の悪い情報を否定したり、矮小化したりすることで不協和を低減し、解消しようとする(合理化)

そうして不協和を低減・解消し、自分の行動(選択)を自己正当化しようとする 

2;不協和を低減させる圧力の強弱は、不協和の大きさの関数である

不協和の度合いが大きいほど、それに比例して低減させようとする圧力は大きくなる

  • 『自分の価値観』と『周りの価値観』との不協和が大きいほど⋯

  • 『理想の自分』と『現実の自分』との不協和が大きいほど⋯

心の中の『不安・恐怖・不全感・劣等感・不快感・ストレス・怒り』が大きくなり、それを解消しようとする圧力が高まり、冷静になって客観的・論理的・合理的・体系的な思考ができなくなり、短絡的・衝動的・攻撃的・破壊的・暴力的行動をとりやすくなる

 ★【認知的不協和】の例⋯行動の正当化

 ⅰ.タバコの例

認知的不協和の例として、よく知られるのがタバコ

認知1;自分はタバコを吸う
認知2;タバコを吸うと肺ガンになりやすい

このとき“認知的不協和”が生じる。そこで認知的不協和を解消するためには認知1を変更して

認知3;禁煙する(→認知1の変更)

これで不協和が解消できる

しかし、喫煙の多くはニコチンに依存する傾向が強いため、禁煙行為は苦痛を伴い、結局は「禁煙」できない人も多い。その場合は、認知2に修正を加える必要が生じてくる。そこで⋯

認知1;自分はタバコを吸う
認知2;タバコの煙を吸うと肺ガンになりやすい(否認・矮小化)
認知4; 喫煙者で長寿の人もいる(追加)
認知5;交通事故で死亡する確率の方が高い(追加)

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「タバコを吸い続ける」という『行動を正当化する』ために、認知4・認知5を付け加えることで、認知2を否認したり、矮小化しようとする。そうすることで、自分にとって都合の悪いことを見えなくする

 ⅱ.「酸っぱい葡萄」の例

また同じように、イソップ童話の中に『酸っぱい葡萄』という話がある。お腹を空かせた狐が、葡萄を食べたいのに、高い所にあるために取ることができず、諦める話で⋯

認知1;葡萄が食べたい(欲望)
認知2;葡萄を取れなかった(行動・失敗)

この不協和を解消するために、狐は『新しい認知』を追加する

認知3;あの葡萄は酸っぱくておいしくない(認知の追加)

そう決めつけることで、認知2の葡萄を取れなかったという“動かすことが出来ない事実(失敗)”を正当化し、不協和を解消しようとする。そこでは、失敗を失敗と認めない、失敗と認識できなくなる

 ⅲ.「甘いレモン」の例

「酸っぱいブドウ」の対として挙げられるのが「甘いレモン」で、甘い果物が食べたいのに、やっと手に入れたのはレモンだった

認知1;甘くておいしい果物が食べたい(理想)
認知2;苦労してやっとレモンを手に入れた(現実)

このとき認知的不協和が生じる。そこで

認知3;このレモンは甘い(追加・思い込む)

「このレモンは甘い」と思い込むことで、認知的不協和を解消しようとする。そうして、自分の行動を正当化しようとする

 ⅳ.地震の後に『デマ・噂・流言』が拡散する原因

人は自分の中の不協和が大きいほど、不協和を解消しようとする心理的圧力が強まり、冷静になって客観的・論理的・合理的な思考することができなくなり、感情的・短絡的・衝動的になる。つまり

不協和が大きいほど
・『デマ・噂・流言』を信じ込みやすくなる
・『詐欺・マルチ商法・占い・カルト宗教など』に嵌りやすくなる

そうすることによって、自分の中にある認知的不協和を解消しようとする

それが地震の後の『デマ・噂・流言』が広まる原因となる

自分の中の“不安・恐怖”を正当化するために、“デマ・噂・流言”を信じ、それを吹聴・拡散する(不安を煽る)ことで、『自分』と『周り』の不協和を解消しようとする

地震の後の混乱の中で

認知1;自分の中の「不安・恐怖」の増大
認知2;周囲の落ち着き、冷静さ

「自分の感情・価値観・行動」と「周りの雰囲気・価値観・行動」の間の不協和が拡大するうちに、自分を正当化したいという防衛本能が働き、“デマ・噂・流言”を信じ、拡散し、周囲の不安を煽ることで不協和を解消しようとする

認知3;また大地震が来る。外国人が攻めてくる。あれは人工地震だ

つまり、自分の心の中の「不安・恐怖」が大きいほど“デマ・噂・流言”を信じ込み、それを拡散し、周囲の不安を煽ることで『自分の感情』を正当化しようとする

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 ⅴ.洗脳

✳「カルト宗教」

認知1;教祖の予言「✕月○日、地球が滅びる。信者だけが救われる」
認知2;教祖を信じ、家・財産を売って、高額な献金をする
認知3;しかし、予言が外れ、何も起こらなかった

このとき認知的不協和が生じる。もし、認知2が少額であれば、「騙された」と信者を辞めれば良いが、全財産を処分し、行く所がない場合、不協和を解消する手段として、『新しい認知4』を追加する

認知4;教祖の力によって、危機を避けることができた。教祖は正しく、神の生まれ変わりである(認知の追加)

つまり、「行く所がなく、教団に残るという行動」を正当化するために『新しい認知』を追加する

✳「ブラック企業」

認知1;きつい、長時間、パワハラ、サービス残業
認知2;低賃金
認知3;生活のために金が必要。経営者に借金がある。恩義がある

このとき認知的不協和が生じる。このとき、例えば、賃金が高ければ、不協和は低く我慢ができるのだが、それは到底無理そう⋯。そのとき不協和を解消するために『新しい認知』を追加する

認知4;この仕事は人のためになる。自分の将来に役に立つ。やり甲斐がある(認知の追加、やりがい詐欺)

そうして自分の「仕事を続けるという行動」を正当化する

✳体罰・虐待・DV

それは体罰・虐待・DVでも同じで、常に殴られ続けている人(子ども)は、いずれ殴られていることを正当化するようになる

「自分が悪いから殴られているんだ。親は自分を愛しているんだ」
そうしていつの間にか体罰を正当化するように認知を改変する

「殴られる方が悪い。体罰によってまともな人間になる」「甘やかすと非行に走る」「子どもが親に従うのは当然」「家庭が大事」など

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 ★まとめ。【認知的不協和理論】とは

人は、自分の存在を正当化したい生き物。自分の行動を正当化するために認知を改変していく

「自分の行動は正しい」と主張するために、「昔は良かった。今の若者は甘やかされている」と言いたがる

自分の中の不協和が大きい人ほど、「あの人は○○だ」と、常に他者の悪口・噂話を言い、他者を批判し、誹謗中傷することで、自分の行動の正当性を主張し、快感・万能感・優越感・安心感を得ようとする

自分の中の『不安・恐怖・不快感・不全感』が大きいほど、「認めてもらいたい。否定されたくない」という思いが強いほど、客観的・合理的・論理的・体系的思考失われ、騙されやすく、デマを信じやすく、陰謀論に嵌りやすく、簡単にコントロールされやすくなる

『行動』を正当化するために、他の認知『記憶、信念、価値観など』
を改変し、協和状態を保とうとする

Ⅱ.【認知的不協和理論】「保守派」と「リベラル派」

 ★【『古い認知』の絶対化】と【「体罰・虐待・暴力」の連鎖】

人は生まれたときから、弱肉強食の競争社会の中で生きていかなければならない。その中で様々な【認知的不協和】が生じてくる。(それはどんな国家・地域・政治体制・組織・企業でも、どんな時代でも同じ)

◉『古い認知』
競争に勝たなければならない。負けたら生きる価値がない。規則ルールを守らなければならない。親や先生の言うことは絶対。反抗してはならない。皆と同じでなければならない。レールを外れたら負け。など

その「古い価値観=社会的・精神的・物理的圧力」の中で、『理想の自分』と『現実の自分』、『自分の価値観』と『親の価値観』、その不協和の中で様々な問題・犯罪・暴力が生まれてくる

その負の連鎖(体罰・虐待の連鎖)の中で『古い認知』に疑問を持った者の中から、暴力の連鎖を断ち切るために『新しい認知』が生まれてくる

◉『新しい認知』→“負の連鎖”を断ち切る
“競争”より“ゆとり”。1番でなくても良い。失敗しても良い。逃げても、回り道をしても良い。自分の意見を言っても良い。反抗しても良い。個性・自主性の尊重。自由・平等。格差是正。所得の再分配。経済成長・開発より人権尊重・自然保護。性教育推進。体罰禁止。死刑廃止⋯。など

その『古い認知』『新しい認知』の不協和の中で、自分の行動を正当化するために『古い認知』を絶対化しようとする「保守派」と、その『古い認知』を懐疑し、『新しい認知』を取り入れていこうとする「リベラル派」に分かれていく

「保守派」と「リベラル派」の価値観

“自分の存在=権力者・組織=ピラミッド支配構造”を守ろうとする「保守派・御用学者・ネトウヨ」に対して、その構造を改革し、権力者の責任を追及しようとする「リベラル派」に分かれる

自分の行動(「国の為に死ぬ」=暴力・軍国主義・大日本帝国・靖国神社)を正当化しようとする保守派(改憲派)と、戦争の反省から、その暴力(戦争)の連鎖を断ち切ろとするリベラル派(護憲派)に分かれる

そして保守派は自分の行動(暴力)を正当化しようとする「認知バイアス」がかかり、認知を改変する

認知の改変(行動の正当化・認知の歪み)
「外国が攻めてくる。スパイが潜んでいる」「マスコミは嘘を言っている。日本を貶めようとしている」「自分は愛国者、批判者は反日で、外国に忠誠を誓っている」「国・企業は悪くない。被害者は嘘を言っている(水俣病)」「アベノマスクは意味があった」など

その主張の裏には、『ピラミッド支配構造(権威主義・軍国主義・全体主義=大日本帝国)』を絶対化しようとするバイアスがかかっている

その「保守派」と「リベラル派」に分かれる原因はどこから来るのか?

 ★「保守派」と「リベラル派」の『脳の構造』の違い

英ロンドン大の研究によると

“リベラル派であるほど『前帯状皮質』の灰白質の容積が大きく、保守派であるほど『右扁桃体』の容積が大きい傾向があることがわかった”

“前帯状皮質は複雑性の理解に関連しており、大きい人ほど不確実性や対立への認容性が高く、目新しいものや不確定さを追求する”(→リベラル)

それに対し
“扁桃体は恐怖心の処理に関連しており、これが大きい人ほど、反感や脅すような表情に敏感で、危機的状況・悪いことが起きそうな状況に対して身体が攻撃的に反応する傾向がある”(→保守派)

それを図で表してみると、↓のような傾向があると言える

『脳の構造』「保守派」と「リベラル派」の傾向

つまり、「保守派」は周囲の脅威に敏感で、自分の存在を守ろうとする防衛本能から『古い認知』を絶対化し、権威主義・全体主義・排外主義的行動をとりやすい

縁故主義・友達優遇・利権拡大・地位保身に走り、規則の絶対化・家父長制・男尊女卑・夫婦同姓・スパイ防止法・厳罰化・軍備増強などを主張し、他者に強制し、異質者を攻撃・排除することで仲間意識を高め安心しようとする

それはつまり、「『問題』が生じたとき、あるいは『脅威(不安・恐怖)』に襲われたときの脳の反応と、それにどう対応し、行動するかによって、“保守派”と“リベラル派”に分かれる」と言える

『前頭葉』と『扁桃体』との関係(抑制機能)において

①強・自立抑制行動:原因の追求、懐疑的・客観的・科学的思考(リベラル派)
↕《抑制機能》←不安・脅威・ストレス(不況・災害・戦争⋯)
②弱・依存強迫行動:組織の強化・保身、異質者の排除・攻撃(保守派)

という傾向があると言えるだろう

つまり、不協和が増大したとき⋯

例えば、
『古い認知』と『新しい認知』
『信じてきた認知』と『否定する認知』
『自分の常識』と『他者の常識』
『自分の行動』と『他者の行動』
『理想の自分』と『現実の自分』
『成功・勝利』と『失敗・敗北』
など、自分の思い通りに行かないとき、どのようにして、その不協和を解消しようとするか⋯、
①「自分は間違っていない。すべて他者が悪い」と思うのか⋯、
②「自分は間違っていた。行動を改めよう」と考えるのか⋯
それはその人の《脳の構造》によって決定されると言っていいだろう

[例えば、地球温暖化に対して、①「地球温暖化なんて嘘だ、経済成長や自然開発を優先すべきだ」とするか、②「行動を改めて、CO2を削減すべきだ」とするかに分かれる。それは公共事業にしても、①過去の決定(既得権益)に拘るか、②新しい時代の変化に対応し、行動(考え)を変えるか]

そして、それが「保守派」と「リベラル派」に分かれる原因となる

つまり、それは言い換えると、人間は昔から、どの時代も、どの地域・国でも、どの宗教・政治体制でも、「保守派」と「リベラル派」に分かれている(分けることができる)ということになる。そしてそれは『脳の構造』に依存している

例えば『宗教』は、常に「支配者による支配の正当化。保身。権威主義。差別」の側面と、「支配者の抑圧からの解放。改革。弱者救済。平等」の側面を持つ。それは『共産主義』も、『明治維新』も同じ。そしてそれは、往々にして《後者》から生まれ、戦い(革命)の後に、やがて《前者》へ移行していく

Ⅲ.脳の構造−『理性』と『本能』の関係

 ★『理性』と『本能』の関係

脳は「知性・社会性等」を司る『理性』と、「感情・欲望等」を司る『本能』に分かれていて、『本能』から湧き出る「感情・欲望」を『理性』が制御コントロールすることによって 人は思考・判断・決定し、行動を起こす

『本能』から湧き出る、「○○が欲しい」「△△をしたい」とか、「他者に勝ちたい」「金持ちになりたい」というような《感情・欲望》に対して、“その目的を達成するためにはどうしたら良いか⋯” “今これをしたらどうなるか⋯”など、様々な選択肢の中から『理性』が客観的・俯瞰的・多角的に見て考える

そこで「今は必要ない」「身体に害をなす」 などと欲望や感情や行動を抑制したり、「他者に迷惑をかけた」「失敗した」などと過去の行動を反省し、もう二度とやらないように注意したり、逆に 「こうすれば解決する」「こっちの方法が良い」などという意欲・創意・工夫が出てくる

 ★脳の発達―「自立するということ」

子供の頃は『大脳辺縁系(本能)』の比重が大きく、生きていくためには、「親に守ってもらいたい。甘えたい。 構ってもらいたい」という思いで一心だったのが、思春期(反抗期)の頃から『前頭葉(理性・抑制機能)』が発達するに連れ、視野を広げ、自分で生き方を判断・選択できるようになり、親の「命令・期待」に対して自分の「意志・信念」を守ろうとする《自立心》が生まれてくる

「本能」と「理性」の成長速度

遊びや勉強など、社会で生きていく中でいろんな興味や疑問を持ち、冒険や試行錯誤、失敗や挫折をくり返しながら、危機や困難にぶつかった時、「どうしたら解決できるか?」という、いろんな選択肢や可能性を“柔軟”に広げることができるようになる

◉自立とは
依存先を増やす
・生きる選択肢を増やす
・自分を客観的・俯瞰的に見ることができる
・相手の立場で考えることができる

しかし、その脳の成長には個人差がある。そして、その個人差はどこから来るのだろうか?

 ★神経伝達物質バランスの異常

その『理性』と『本能』の関係(脳神経ネットワーク)を形作っているものは“神経伝達物質”である

そして、その神経伝達物質のバランスは『遺伝的要因』と『環境的要因』で決まり、その中でもストレスへの耐性を決める要因として幼少期の育った“環境”が大きく影響し、特に不適切な養育(マルトリ)によって『脳の構造』が大きく変わってくる

人間は『強いストレス』がかかったり、『日常的・慢性的なストレス』がかかり続けると、身体がそれに反応し、神経伝達物質のバランスが変化する

ストレスがかかると、ドーパミン、ノルアドレナリンが過剰分泌され、セロトニン欠乏が起こる。その反応は、本来、脳を覚醒させ、集中力・判断力を高め、やる気・意欲・闘争心を向上させる。それは危機に対応するための『防衛本能』であるが、一方で、それが慢性的に続くと「不安・恐怖」を感じる《扁桃体》が活性化され、過敏になる

そうすると、ちょっとしたことでストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌量が増加し、その濃度が上昇するにつれて、徐々に脳の神経細胞の活動が低下し、海馬が萎縮し、前頭前野の機能が低下し、感情の制御ができなくなる

そのことが、理性的・合理的・抑制的な判断ができなくなり、すぐにキレたり、非行に走ったり、自殺する原因となる

よく犯罪を起こした人⋯体罰・虐待・あおり運転・窃盗・性犯罪・レイプ・汚職事件など、「記憶にない」と否認し、嘘を付き、「自分は悪くない。誰かが自分を陥れようとしている」と、責任を相手になすりつけ、自分の責任を矮小化ようとする

それは

1:前頭葉の(認知・抑制)機能低下
2:扁桃体(不安・恐怖)の過敏・暴走・機能異常
3:(短期的な記憶や情報を制御する)海馬の損傷

などの脳のネットワーク・バランス異常が影響していると考えられる

そのために、自分の行動を客観的に認識できなく、行動を反省し、欲望を抑制できなくなっている

⋯と同時に、都合の悪い記憶を消し去り、都合の良いように書き換える。現実と妄想・願望の区別がつかなくなる

『不安・恐怖』が暴走する中で、自分を正当化するために平気で嘘をつけるサイコパスになる。嘘をつくことに躊躇・葛藤がなくなる

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ここから分かるのは、自信満々で饒舌な人ほど、「優越の錯覚」が強い人ほど、平気で嘘をつける傾向があり、その背景には『前部帯状回』の活動低下がある

またそれが、人が「保守化」する原因ともなる

そこでは“受験競争”の中で勝ち残っていったエリートが、権力者や組織を守るために、平気で嘘をつき、不正を働くようになる

国は『不況・貧困・災害・戦争⋯』が続く中で「右傾化」しやすくなる。それは「不安・恐怖」が増大する中で自分の存在を「正当化したい」という心理的メカニズム(防衛本能)がある

Ⅳ.『愛国心』という【依存状態】

 ★【優越の錯覚】ダニング=クルーガー効果【依存状態】

受験競争や体育会系、あるいは企業や官僚機構などの『ピラミッド支配構造』の中で、「競争に勝たなければならない。負けたら生きる価値がない」というような社会的・精神的・物理的圧力(ストレス・不安・恐怖)の中で、ひたすら頂上を目指し、「勝った、負けた」と繰り返していくうちに、いつの間にかその『ピラミッド支配構造』を絶対化するようになる

そこでは、他者との「比較・競争・勝敗・強弱・優劣」が価値の全てとなり、“人に勝つこと”、“強者=権力者に認められること”が喜び(快感)となる

そうして、いつの間にか脳が【依存状態】になっていく

①.『ピラミッド支配構造』の中で
②.「勝った」「負けた」を繰り返す
③.快感(ドーパミン放出)を求めて、頑張る
④.いつの間にか、脳の【依存状態】になる
⑤.自分の行動が認識できなくなる(否認の病)

そこでは、「勝ちたい、認められたい、否定されたくない」というような欲望(承認欲求・優越欲求)に支配され、1度その『報酬系の回路』が出来上がると、その“快感”を求めて、無意識の内に身体が行動を起こし、「やめたくても、やめられない」状態になり、自分の行動や感情を制御・抑制できなくなる

それは、ギャンブル・DV・体罰・虐め・煽り運転・買い物(ブランド・車など)・SNS(拡散)・痴漢・万引き・自傷行為などと同じで、その根底にはストレスなどによる前頭葉の機能低下と、扁桃体の活性化に伴う「不安・恐怖・不全感・劣等感」の暴走とがある

そこで、その「不安・恐怖・不全感・劣等感」を解消しようとする心理的メカニズムが発動し 「快感・万能感・優越感・安心感」を求め、無意識に身体が動き出す。⋯それが、“物質依存・行動依存・人間関係依存”だったりする

その心理的メカニズムの中で、何か大きなもの(神・教祖・親分など)に依存しようとする防衛本能が暴走し、その『ピラミッド構造(組織・権力者)』と同一化することで安心感・優越感・万能感を得ようとする

競争社会の中でストレスが強まるとともに神経伝達物質のバランスが崩れ、組織・権威への“依存”=【愛国心】(忠誠欲・服従欲)が強まるに連れ、【優越の錯覚】(ダニング=クルーガー効果:自分は正しい、間違わない)、【被害妄想】(誰かが自分を陥れようとしている)が強まっていく→カルトなど

そうして客観的視点が失われ、論理的・体系的・多角的・科学的思考ができなくなる。自分の保身と、権力者・企業・組織・既得権益を守ることが全てとなる
(例、水俣病における「御用学者」=アミン説・爆薬説)

 ★御用学者―「権力志向」と「反権力志向」

御用学者
権力者におもねる学者
御用学者(ごようがくしゃ)とは、語源は幕府に雇われて歴史の編纂など学術研究をおこなっていた者のこと。
転じて今日の日本では、「政府や財界、権力者に迎合し都合のいい説を唱える学者」といった意味で使われる。            (wikipedia)

ごよう‐がくしゃ【御用学者】
〘名〙 時の政府・権力者にへつらい、その擁護を意図した説をとなえる学者をあざけっていう語。            (精選版 日本国語大辞典)

ごよう‐がくしゃ【御用学者】
時の政府・権力者などに迎合して、それに都合のよい説を唱える学者。
                         (デジタル大辞泉)

『御用学者』水俣病(タップして拡大)

『古い認知』の中で、「勝ちたい、負けたくない、否定されたくない、認められたい」という思いの中で、『ピラミッド権力支配構造』に依存し、その構造を正当化・絶対化しようとする

心の中の「不安・恐怖・不全感・劣等感」を打ち消すための心理的メカニズ厶【権力志向】という依存

教祖・強者・権力者・企業・組織
 (依存・同一化) Ⅱ(忠誠欲・服従欲)
(不安・恐怖・劣等感)自己⟪万能感・優越感⟫  
            
↓(支配欲・コントロール欲)
他者・子ども・弱者・少数者

教祖・組織・権力者
と同一化し、「校則・規則・ルール・道徳・国旗国歌・教育勅語・靖国神社・特攻・マイナカードなど」を絶対化し、それを他者・子ども・弱者・少数者・反対者に“強制”することで、《万能感・優越感》を得ようとする

そして、その自分の行動(忠誠欲・服従欲、支配欲・コントロール欲)を正当化するために認知を改変する
「“国の為に死ぬ”ことが正義」「国旗国歌を敬うのが常識」「夫婦同姓が日本の伝統」「靖国神社は日本の古くからの文化」「特攻のおかげで今の日本の平和繁栄がある」「マイナカードが普及すれば便利になる」など

その『とんでも校則・規則・道徳・靖国神社など』を守る(参拝する)ことで、組織・権力者への「忠誠欲・服従欲」を満たすと伴に、それを他者に守らせる(強制する)ことで、「支配欲・コントロール欲」を満たそうとする→【権力志向】

「自分の存在を正当化すること=その“権力構造(教祖・組織)”を絶対化すること」で、万能感・優越感・安心感を得ようとする“認知バイアス(確証バイアス)”がかかり、「企業や権力を批判し、責任を追及する者たち=その構造を壊そうとする者たち(リベラル・野党・学者・弱者・被害者・少数者)」に対して、自分を守ろうとする『防衛本能』から攻撃的になる

そこでは、“権力者に気に入られること”が全てとなり、権力者に“媚を売る”と同時に、反対者・被害者・少数者に対して、より過激に“誹謗中傷”することで、仲間に自分の『存在価値』を誇示しようとする。そして自己陶酔し、脳の抑制機能が低下し、自分を客観的に見れなくなり、他者に対する共感能力が失われ、行動が酷くなっていく

「アベノミクス」とは、⟪弱者⟫からカネを吸い上げ⟪強者⟫に配ること。
そして⟪弱者⟫ほど、それを支持し、自分が⟪強者⟫になったかのように錯覚する。

しかし、どんなに他者を攻撃・誹謗中傷しても、潜在意識の中にある「不安・恐怖・劣等感」は治まることはない。「自分は強い。優秀」という優越感・万能感を得るためには、常に⟪強者・権力者⟫側に立ち、⟪弱者・少数者⟫を攻撃し続けなければならない。そしてその時使う『防衛機制』は、「悪い(弱い)自分」の【否認】と、【投影性同一視】である

 ★【否認】と【投影性同一視】(防衛機制)

  【投影性同一視】とは?
植え付けられた『古い認知』の中で、自我が「良い自分」と「悪い自分」に分裂し、どうしても受け入れ難い「悪い自分」を否認すると同時に、その無意識下に抑圧した「悪い自分」を相手に転嫁し、攻撃し、あたかも相手に“欠点・落ち度”があるように誘導し、相手を支配・コントロールすることで、自分の心の中の「不安・恐怖・不全感・劣等感・ストレス」を解消しようとする《防衛機制》

良い自分(万能感・優越感)
 ⬇《分裂・否認・抑圧
悪い自分(劣等感・無力感)→《転嫁・投影性同一視》→他者

  【投影性同一視】の例(相手を支配・コントロールしようとする)
・私の存在を無視するようなことをするな。
   →自分自身が他人を無視するようなことを平気でしている。
・お前はマトモじゃない。狂っている。常識というものを知らない。
   →自分自身が狂っていて常識というものを知らない。
・お前は卑怯で陰険なやつだ。
   →自分自身が卑怯で陰険なことをしている。
・なんで私の言うことが信用できないんだ。
   →自分自身が他人を信用していない。
・お前は私を支配しようとしている。
   →自分自身が他人を支配しようとしている。
・お前は欠点だらけだ。
   →自分自身が欠点だらけ。
・お前のようなやつは、誰からも相手にされないぞ。
   →自分自身が誰からも相手にされない。
・お前は態度がでかい。生意気だ。
   →自分自身が生意気で、でかい態度を取っている。

つまり、【投影性同一視】は自分の無意識の中の⟪悪⟫を写す鏡と言える

“イライラしている人”は、「周りが皆怒っている」ように感じる
“頭がおかしい人”は、「周りの人は皆頭がおかしい」と感じる
“攻撃的な人”は、常に「他者から攻撃されている」と感じる
“煽り運転”している人は、大抵「先に自分の方が煽られた」と言う

“嘘つき”は、他者を「嘘つき」「捏造だ」と攻撃することで、潜在意識の中にある“罪悪感・後ろめたさ”を解消し、自分の行動を正当化しようとする

“差別主義者”は、「自分は差別していない。自分は差別されている」と言う

“思考が偏っている人=一方向からしか見れない人”ほど、「自分は中立。マスコミは偏向している」ように感じる

侵略や南京虐殺を否認する“歴史修正(否認)主義者”ほど、日本人拉致やウイグル弾圧を強調し、「野党が勝つと、外国が攻めてくる」と不安・恐怖を煽ることで、自分の行動を正当化しようとする

“全体主義者”や“独裁者”ほど、「批判者は、多様な意見を封殺する全体主義者だ。ナチスやスターリンやポルポトと同じだ」と言う

権力(教祖)に盲従している“ネトウヨ(カルト)”は、「批判者は外国(共産主義)に洗脳され、盲従し、操られている」と言う

“嫌韓ネトウヨ”の韓国批判が、そのまま自分たちにも当てはまる

“反共カルト”の主張が、中国・北朝鮮・大日本帝国のような政治体制を目指している

それらは、鏡に写った本当の自分の姿。「悪い自分」を否認し、それを相手に押し付けて非難・攻撃することで、自分の行動・差別・欲望を正当化しようとする

例えば⋯

最近、「“LGBT法案”が通ると、女性トイレや風呂に男が入ってくる」というような言説が盛んに拡散され、人の不安・恐怖を煽ることで、自分の差別を正当化しようとする動きが見られる。それは「野党が勝つと、中国が攻めてくる」と同じで、それも、1つの【投影性同一視】だと言える

LGBT法案に対する、差別主義者の【投影性同一視】(差別・支配の正当化)
差別主義者「LGBT法案が通ると、“女性トイレや風呂に男が入ってくる”」
 ①→自分自身が、子どもや弱者や少数者に対してやっていること(価値の
   強制・行動の強制・反対者の排除・嫌がらせ)⋯国旗国歌・靖国神社・
   沖縄辺野古・アイヌ・生活保護・在日外国人・朝鮮学校・旭日旗の掲揚
  「権力者に従え」「反抗は許さない」「嫌なら日本から出ていけ」
 ②→戦時中に朝鮮や中国や東南アジアでそこの住人に対して日本人が
   やっていたこと・差別(侵略・虐殺・支配・価値の強制・慰安婦・強制労働)

差別主義者(小数者・弱者・在日外国人への支配欲・コントロール欲)→
【投影性同一視】→ 自分たちを“支配・コントロール”しようとしている

つまり、自分が他者にやっている(やってきた)ことを、相手(トランスジェンダー女性・少数者・弱者・批判者・野党・在日外国人・仮想敵国)に投影し攻撃することで自分の差別を正当化しようとする

 ★【歴史否認主義】と【認知的不協和】

「悪い自分」の【否認】と、「自分は間違わない」という【優越の錯覚】と、「批判者は自分達を支配しようとしている」という【投影性同一視】は、自分の心を守ろうとする心理的メカニズム(防衛本能)から来ている

そして、それは国家についても同じことが言える

「虐殺はなかった」という【歴史否認主義】と、「日本スゴイ。日本は神の国・優秀」という【選民思想】と、「日本を陥れようとしている」という【嫌韓・反中・反共主義】は同じ『脳の構造』からきている

  歴史否認主義者の精神構想
「良い自分(日本)」→投影・理想化→「大日本帝国・教育勅語・靖国神社」
  ↓(否認)
「悪い自分(日本)」→投影性同一視→「中国(ウイグル)・共産主義」

そこでは、「自分の行動(依存)を正当化したい、否定されたくない」という思いが強くなり、「大日本帝国」を理想化し、日本の侵略は「良い侵略(アジア解放)」、中国・ロシアの弾圧・侵略は「悪い侵略」というような【認知の歪み】が生じる

 ★「御用学者」「ネトウヨ」の【認知的不協和】

人は自分の行動を正当化するために認知を改変する

自分の心の中の「不安・恐怖・不全感・劣等感」を解消し、「万能感・優越感」を得るために⟪強者・教祖・権力者・組織⟫に同一化し、⟪弱者・少数者⟫を攻撃しようとする

  「御用学者・ネトウヨ」の【認知的不協和】
「国の為に死ぬ・愛国心」→⟪不協和⟫←「国は悪い事をした」
「国の為に死ぬ=正義」→⟪不協和⟫←「特攻隊は無駄死に。指導者は無能」
             ↓
     不協和の解消するために認知を改変する

自分の行動(依存)を正当化し、《不協和》を解消するためには、「国は悪い事をした」という(事実)を否認するしかない。「特攻隊は無駄死にだった。指導者は無能だった」では、自分の行動が否定されることになる。そこで、自分の行動を正当化するために認知を改変する

  不協和の解消(『新しい認知』の追加、認知の歪み)
「大東亜戦争は、自衛のための戦争だった。アジア諸国に感謝されている」
「特攻隊があったから、今の日本の平和と繁栄がある」

それらは、自分の「行動(依存)」を正当化しようとする心理的メカニズムから生まれる

自分の中の「不安・恐怖」を正当化するために、そして、自分の依存する権力構造・権威主義・全体主義・軍国主義を正当化するために、「不安・恐怖・憎悪」を煽って、他者を支配・コントロールしようとする

人は、無意識の内に「不安・恐怖」を煽ることによって、他者を支配・コントロールしようとする
(例えば、無意識の内に子供に対して「○○に怒られるよ」とか「✕✕が心配しているよ」とか「✕✕ちゃんはできるのに⋯」と言うことで、自分の思い通り動くように仕向ける。誘導しようとする
同じように、マイナカード取得させるために=支配欲を正当化するために、無意識の内に「不安・恐怖」を煽る)

自分の中の「不安・恐怖」が暴走する中で、⟪教祖・権力者・組織・国家⟫と自己同一化(盲従・服従)するとともに、⟪他者・子ども・少数者・弱者⟫を「支配・コントロール」しようとする欲望が暴走し、ファシズムに向かっていく


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