【認知的不協和】『ネトウヨ』と『リベラル』を分けるもの①

①前編

はじめに 『ネトウヨ』と『リベラル』の思考の違い

人は自分の存在(やってきた行動・価値観・欲望・感情など)を正当化するために“認知を改変”する

人は生まれたときは周りは怖いものだらけで、自分が生きていくために親は絶対的な存在であり

「親に甘えたい。守ってもらいたい。構ってもらいたい。認めてもらいたい。親の言うことは絶対」だったのが

身体や脳が成長するにつれ、徐々に周りの世界に興味を持ち、視野を広げていく内に、「自分はこう生きたい」という意志を持ち、“自立心”や“反抗心”が生まれてくる

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しかし、例えば“受験競争”や“体育会系”などの『ピラミッド支配構造』の“競争社会”の中で、「勝たなければならない、負けたら生きる価値がない」というような“社会的・精神的・物理的圧力”がかかる中で

「存在を否定されたくない。認められたい。皆と同じでなければならない」

というような、“同調圧力“や“強迫観念”が増大していくに伴って、『不協和(不安・恐怖・不全感・劣等感・ストレス)』が増大していくと、それを解消しようとする“心理的メカニズム(防衛本能)”が発動し、“逆のベクトル”への圧力がかかり、脳が『依存状態』になっていく
その状態になると(ギャンブル依存症と同じように)自分の状況を客観的・俯瞰的に見れなくなり、冷静な判断力が失われる

〈依存→自立〉の“逆のベクトル”がかかる

植え付けられた『古い認知=ピラミッド支配構造』を絶対化し、“競争・勝敗・順位・優劣・強弱⋯”が価値観の全てとなり、そこでは相手に勝って、権力者に認められ、褒められることが目的となり、自分を俯瞰的に見て、相手の立場になって考えることができなくなる

それは「否定されたくない」という不安・恐怖が強いほど、自分を守ろうとする“防衛本能”から依存性が強くなり、短絡的・近視眼的になり、攻撃的になる

そこから“いじめ・虐待・体罰・パワハラ”などの『依存行動』(心の中の“不安・恐怖”を打ち消すための行動。不協和(矛盾)を解消しようとする行動)が生まれてくる
同じように“クレーマー・あおり運転・ヤフコメ(誹謗中傷)”なども、不協和(不安・恐怖・不全感・劣等感)を解消しようとする『依存行動』であると言える

そこには「相手より上に立ちたい。自分のほうが優秀、強い、多数派⋯」という“優越欲求”がある

例えば、“カルト宗教・ヤクザ・オタク”など、心の中の『不協和』が大きいほど教祖・親分・アイドル・組織に忠誠を誓い、盲従し、依存する度合いが大きくなると同時に、自分のほうが「強い、スゴイ、人気がある」と自慢したがる。と同時に、反対者は「弱い。醜い。性格が悪い」と、蔑む(思い込む)ことで、自分の存在を正当化しようとする。そこで“優越欲求”を満たそうとする

つまり、その「自分の存在を正当化したい、否定されたくない」という『不安・恐怖・不全感・劣等感』が増大する中で、「皆に認められたい。人より優位に立ちたい」という“承認・優越欲求”が強まる中で“認知を改変”し、ネトウヨ化していく

心の中の『不安・恐怖』を打ち消すために、「教祖は素晴らしい人間(日本人は素晴らしい民族)」と思い込むと同時に、教祖(権力者)と“一体化”し「教祖を“反対者”から守ること」=「自分の存在を守ること(保身)」=『私利私欲・既得権益』=「愛国心」になっていく

生まれた時から競争社会の中で、「他者に勝たなければならない。皆と同じでなければならない。逃げたら負け。負けたら生きる意味がない。反抗してはならない。組織に“命を捧げる”ことが使命」というような“同調圧力・強迫観念”の中で、「勝った、負けた」と繰り返していくうちに脳が『依存状態』になっていく
育ってきた『古い認知』を正当化・絶対化すると同時に、「自分は正しい、正義、愛国者」「反対者(『新しい認知』)は反日、在日、共産主義者、悪魔」「自分は悪くない。悪いのは全部相手のせい。誰かか自分を陥れようとしている」という『優越の錯覚、被害妄想、他責思考、善悪二元論』に取り憑かれてしまう


『御用学者』の生まれる仕組み

その中で、水俣病における『御用学者』が生まれてくる。

⋯幼い子供の時から、植え付けられた『古い認知=ピラミッド支配構造=学閥支配』の中で、「否定されたくない、認められたい」という“承認・優越欲求”が暴走し、客観的・合理的・体系的・科学的思考や、想像力・共感能力が失われる

被害者の痛みを理解できず、権力構造・企業・経営者・既得権益を守るために“認知を改変”し、「企業・政府は悪くない、貧乏人が傷んだ下魚を食べたため(自己責任)」「被害者はカネ欲しさに嘘を言っている」「反対運動・労働組合は外国のスパイ」という妄想のもと被害を拡大させていった

そして、同じように自分の中の“不協和”を解消しようとする思考回路から『陰謀論』『歴史修正主義』が生まれてくる

⋯例えば、『古い認知=支配構造』を正当化するために「“特攻”のおかげで、今の日本の平和繁栄がある」と“認知を改変”し、「特攻は犬死だった」という人に激怒し、「反日だ。死者を貶めようとしている。日本人ではない」と批判者を罵倒・攻撃することで、自分の“存在=依存行動”を正当化しようとする

『ネトウヨ・御用学者』の精神構造

「不安・恐怖・不全感・劣等感」の増大を打ち消そうとする防衛本能
(承認欲求) ↓ (優越欲求)
権威への『忠誠・服従』=弱者・少数者への『支配欲・コントロール欲』
 (依存行動) ↓ (ドーパミン)
安心感・優越感・万能感

そして、それが「モリカケサクラは“マスコミの捏造”で“濡れ衣”」「アベノマスクは意味があった」などと“認知を改変”し、また“国葬”“統一教会”“マイナ保険証”、あるいは“辺野古埋立問題”などに対する対応の違いに表れてくる。そこから『ネトウヨ』や『御用学者・評論家・芸能人』が生まれてくる

それらは(“とんでも校則”や“国旗国歌”や“特攻”や“企業研修”や“素手でのトイレ掃除”などと同じで)、教祖・権力・組織に“服従・同一化”し、価値を押し付けることで“支配欲・コントロール欲”を満たそうとする『依存行動』で、そこでは、それらの持つ負の側面(矛盾・欺瞞・不合理・損失・無駄)を全く無視し、行動を強制することで、万能感・優越感・安心感を得ようとする

権力への不正追及に対して、まるで「自分の存在を否定されている」ように感じ、防衛本能から「野党は批判ばかり」と責任を相手に押し付けようとする


『脳』の構造−「理性」と「本能」の関係

脳は「思考・知性等」を司る『理性』(前頭前野)と、「感情・欲望等」を司る『本能』(大脳辺縁系)に分かれていて、『本能』から湧き出る「感情・欲望」(好き・嫌い・不安・恐怖・怒りなど)を『理性』が制御コントロールすることによって 人は思考し、判断・選択・決定し、行動を起こす

『本能』から湧き出る、「○○が欲しい」「✕✕が食べたい」「△△をしたい」とか、あるいは「他者に勝ちたい」「金持ちになりたい」「人の役に立ちたい」というような《感情・欲望》に対して、“その目的を達成するためにはどうしたら良いか⋯” “今これをしたらどうなるか⋯”など、様々な選択肢の中から『理性』が客観的・俯瞰的・多角的に見て考える

そこで、「今は必要ない」「身体に害をなす」「将来に悪い影響を及ぼす」「他人に迷惑をかける」 などと欲望や感情や行動を抑制したり、「他者に迷惑をかけた」「失敗した」「損害を与えた」と過去の行動を反省し、二度ともうやらないように注意したり、逆に 「こうすれば解決する」「こうすれば欲望を満たせる」「儲けられる」「他人に喜ばれる」「こっちの方法が良い」などという、意欲・創意・工夫が出てくる

脳の『抑制機能』が発達することで、大人からの指示に対して「これはしたくない。すべきでない」という意志が生まれ、また、たくさんの選択肢の中から「こっちのほうがいい」という判断・選択・決定できるようになり、そこから『自立心』が生まれ 、一人の人間として生きていけるようになる

子供の頃は『大脳辺縁系』(本能=感情・欲望)の比重が大きく、いろんな障害や外敵から身を守り、生きていくためには、「親の言うことは絶対。甘えたい。 構ってもらいたい。注目してもらいたい」という思いで一心だったのが⋯

子どもの脳の発達速度

思春期(反抗期)の頃から『前頭前野(抑制機能)』が発達するに連れ、視野を広げ、自分で生き方を判断・選択できるようになり、親の「命令・期待」に対して自分の「意志・信念・価値観」を守ろうとする《自立心》が生まれてくる

『抑制機能』の発達

遊びや勉強など、社会で生きていく中で、いろんな興味や疑問を持ち、冒険や試行錯誤、失敗や挫折をくり返しながら視野を広げ、依存先を増やすことによって柔軟な思考を獲得し、コミュニケーション能力や社会性を身に着け、生きる力ができてくる

困難にぶつかった時、「どうしたら解決できるか?」という、いろんな選択肢や可能性を“柔軟”に広げることができるようになる

自立とは何か?

『自立』とは、いろんな依存先を増やすこと

脳の『抑制機能』が発達することで、過去の経験や記憶(良いor悪い)を踏まえて、「何をやるべきか」「何をやるべきではないか」判断し、感情や欲望や行動を抑制できるようになる

しかし、何らかの原因(事故や病気、虐待など)で脳の抑制機能のネットワークが損傷すると、『理性』が『本能(記憶・感情・欲望・行動など)』を認識・制御コントロールできなくなる→『高次脳機能障害』

抑制機能のネットワークが遮断され、思考の柔軟性が失われ、
1.記憶障害、
2.注意障害、
3.遂行機能障害、
4.社会的行動障害(固執性・感情コントロールの低下・欲求コントロールの低下・依存性・退行)

などによって、思考・行動が“硬直化”し日常生活や社会生活に支障が生じてくる

そこでは、自分が病気とは認識できず(病識の欠如)、融通が利かなく、怒りっぽくなったりする


神経伝達物質のバランス異常と《抑制機能》の低下

その『理性』と『本能』の関係(抑制機能=神経のネットワーク)を形作っているものは《神経伝達物質》である

そして、その人それぞれの「抑制機能の強さ・深さ」「神経伝達物質のバランス」「理性と本能のバランス」の違いによって、『性格や思想や行動』の違い=『個性』が出てくる

いろんな物事・刺激に対して、どう脳が反応し、どう行動するか?それは『生まれ持った体質』や『育った環境』によって各々で違ってくる

同じ物事に対しても『好き・嫌い』が出てくる

何に興味・関心を持ち、社会問題に対してどう感じるか?
どういう社会がいいか?どう行動するか?⋯そこに多様性や対立が生じる

いろんな現象に対して、どれだけ“客観的”に、“多角的”に、“深く”原因を追求することができるか?⋯自ずと差が生まれてくる

意識の深さ

その神経伝達物質のバランスは『遺伝的要因』『環境的要因』で決まり、その中でも、ストレスへの耐性を決める要因として幼少期の育った“環境”が大きく影響し、特に不適切な養育(マルトリ)によって『脳の構造』が大きく変わってくる

人間は『強いストレス』がかかったり、『日常的・慢性的なストレス』 がかかり続けると身体がそれに反応し、神経伝達物質のバランスが変化する

ストレスがかかると、ドーパミン、ノルアドレナリンが過剰分泌され、セロトニン欠乏が起こる。その反応は、本来、脳を覚醒させ、集中力・判断力を高め、やる気・意欲・闘争心を向上させる。それは危機に対応するための『防衛本能』である

⋯一方で、それが慢性的に続くと『不安や恐怖』を感じる《扁桃体》が活性化され、過敏になる。そうすると、ちょっとしたことでストレスホルモンである『コルチゾール』の分泌量が増加し、その濃度が上昇するにつれて、徐々に脳の神経細胞の活動が低下し、破壊され、海馬が萎縮し、前頭前野の機能が低下し、感情や行動の制御ができなくなる

コルチゾール過剰分泌による脳細胞の破壊


そうすると、冷静で客観的な思考が失われ、『不安・恐怖』が暴走し、理性的・合理的・抑制的な判断ができなくなる

そのことが体罰やパワハラや長時間労働・過労・睡眠不足が続くと身体的・精神的に不調をきたし、キレやすくなったり、非行・犯罪に走ったり、自殺する原因となる

さらに、脳の抑制機能が低下し『不安・恐怖・絶望感』や『被害妄想』が暴走し、「死にたい」「人を殺したい」という思いに支配され、それが自殺・凶悪犯罪の原因となっていく

睡眠不足で不安・抑うつが強まる神経基盤を解明/国立精神・神経医療研究センターより

よく犯罪を起こした人⋯体罰・虐待・あおり運転・窃盗・性犯罪・レイプ・汚職事件など、「記憶にない」と否認し、嘘を付き、「自分は悪くない。相手が悪い。誰かが自分を陥れようとしている」と、責任を相手になすりつけ、自分の責任を矮小化ようとする

それは
1:前頭前野の(認知・抑制)機能低下
2:扁桃体(不安・恐怖)の過敏・暴走・機能異常
3:(短期的な記憶や情報を制御する)海馬の損傷

などの脳のネットワーク・バランス異常が影響しているとも考えられる
つまり、自分の行動(犯罪)が認識できなく、行動を反省し、欲望を抑制できなくなっている

だから、同じ過ちを何度も繰り返す

《抑制機能》の低下と、『サイコパス』

・『前頭前野』の機能が低下すると、キレやすくなる
・欲望や感情や行動の暴走を抑制・制御コントロールできなくなる
・自分の行動が客観的に見れなくなる

⋯と同時に、都合の悪い記憶を消し去り、都合の良いように書き換える。現実と妄想・願望の区別がつかなくなる(被害妄想・陰謀論)。『不安・恐怖』が暴走する中で、自分を正当化するために平気で嘘をつけるようになる(本人は嘘をついているという認識はない)
そうして、嘘をつくことに罪悪感を感じない『サイコパス』になる

『不安・恐怖』から自分を守ろうとする防衛本能から条件反射的に嘘をついてしまう。脳の中にそういう「嘘をつく思考(神経)回路」ができてしまう

脳が『自己正当化』するために、『新しい認知(幻覚・妄想)』を捏造する

言い訳・言い逃れ(御飯論法・ああ言えば〜)に終始し、追い詰められるとパニックに陥り、証拠を無意識に捏造・改竄・破棄してしまう

そして他者に責任を転嫁しようと攻撃的になる→他責思考「自分は悪くない。悪いのは全部、他者のせい」

自分の欲望(行動)の暴走を止められず、不正・癒着、身内優遇、便宜供与、権力の私物化を指摘されると、「自分は悪くない。全部相手が悪い」「国家国民のためにやった」「批判は自分(=日本)を貶めようとする印象操作だ」「悪夢の民主党政権」など
自分の『存在』を正当化するために認知を書き換える

最近では、「叱ったり、怒鳴りつけても効果はない。自分の思い通りに動くように『不安・恐怖』を与えることで相手をコントロールしようとしても、
なぜ叱られたか理解できなく、すぐ忘れ、嘘をつく人間になる」と言われている

常に「自分は優れている。間違わない。自分は偉い。自分は強い」と威張り散らすと同時に自分の行動を批判されると、まるで自分の存在が否定されたかのように捉えすぐにカッとなり、キレて相手を口汚く攻撃する

それは抑制機能が低下し、「自分の行動を客観的・俯瞰的に見れなくなっている」から

それは自分の潜在意識の中の『不安・恐怖・不全感・劣等感』の裏返し

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