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事業承継で承継すべきは、事業そのものではなく、創業の想い

2年前に話題作となった「もしも徳川家康が総理大臣になったら」を読んでみました。コロナ禍で混乱する日本に、徳川家康を筆頭とした日本史のオールキャストが最新技術でよみがえり、「最強内閣」を構成し、コロナ禍の克服や日米関係などに取り組む内容となっています。
 
一見、奇想天外な内容のようにも思えますが、読み進めるうちに「テクノロジーが発達すると、ここに書いていることも絵空事ではないかも」とちょっと思わせてしまうリアリティがありました。また、専門的すぎないレベルで歴史的事実を押さえながら進めているので、歴史好きな人はもちろん、歴史に詳しくない人も楽しめると思いました。
 
本書の後半部分では、実際の徳川家康が考えたことを踏まえながら、現代の状況だったら徳川家康がどのように考え、行うのかを模索しながら展開しているのは考えさせられるものがありました。
 
私は、コンサルティングの中で、特に始めの段階で、お客様である企業の歴史をお聞きするようにしています。その中では、どのような事業から開始したかとともに、創業者の方の想い、具体的にはどのようなニーズを解決し、何を実現したかったのかを確認するようにしています。
 
創業者の想いの確認なき事業承継は、事業そのものを承継することが目的となってしまい、もしかしたら社会や顧客のニーズが変わっているにも関わらず、事業を変わらず継続することになりかねません。
 
しかし、創業者の方がどようなニーズを解決し、何を実現したかったかを知ることにより、もし現在の状況だったら創業者の方はどのようなニーズを解決し、何を実現しようとするかを考えられるようになると思うのです。
 
その結果は、もしかしたら現在の事業を見直したり、変えたりすることかもしれません。しかし、創業者の想いは連綿と引き継がれる。これこそが本当の事業承継ではないでしょうか。なお、これは同族企業に限らず、非同族企業でも同じことが言えると考えています。
 
歴史というのは、「誰が何をしたか」を知るだけでは現代に活かせず、「誰が何を考えて行ったのか。その考えを現代に当てはめてみるとどうなのか」まで踏み込むことで初めて生きてくるのではないか。そんなことを本書から改めて感じました。

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