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「家康、江戸を建てる」の主人公は家康ではない

先日、直木賞作家の門井慶喜さんが書かれた「家康、江戸を建てる」を読みました。数年前にNHKでドラマ化されてから気になっていましたが、やっと原作を読むことができました。
 
タイトルからは、寒村であった江戸が大都市に成長する礎を築いた徳川家康が主人公のようにも感じます。
しかし、この小説の主人公は徳川家康ではないと思います。主人公は、家康の江戸の町づくりを支え、貢献した人たちです。
 
江戸が沼地とならないように利根川の流れを変えた人。貨幣を新たに作った人。
江戸の人たちが飲む水道を作った人。石垣や天守閣を作った人。
こうした人たちが、この「家康、江戸を建てる」の主人公でした。家康は、この人たちを支援したに過ぎません。
 
このような江戸の町づくりを支えた人たちを門井さんは丁寧に調べ、本書を作成されたのです。大きなプロジェクトには当然強いリーダーが必要な一方で、リーダーだけでは実現できず、リーダーと同じ方向を向いてくれて、情熱をもってくれるメンバーが必要である。本書は改めてそんなことを感じさせる一冊でした。

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