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社内での不良発見件数は少ない方が本当によいのか

企業様において、社外への不良出荷を減らすことを目的として、不良出荷件数の減少を主要な指標(KPI)の一つとされることがあります。その時に、不良出荷は不良の商品・サービスをお客様に提供した結果ですので、その結果に至るプロセスが改善されたか計る指標を設定される場合があります。
 
その際に、プロセスが改善されたか計る指標として、社内の不良発見件数とされることがあります。つまり、社内の不良発見件数が減れば、不良出荷が減るのでは、ということです。
 
一見、それらしく感じるのですが、こうした議論になった時、私は即座に「その指標はよくないと思います」とお話しさせて頂きます。
 
その理由は次のようなものです。まず、不良商品が社内で確認されれば「不良発見」であり、社外で確認されれば「不良出荷」となることが前提です。
 
ここで10の不良商品があります。現状は社内の「不良発見」が7で、社外の「不良出荷」が3です。もし社内の「不良発見」を減らすこと自体が目標となったとします。しかし、10の不良商品自体は変わらないとするとどうなるでしょうか。
 
出来上がりは、10の不良商品のうち、例えば社内の「不良発見」は4となり、社外の「不良出荷」は6となることが起こりえるのです。「不良出荷」を減らすつもりが、逆に増えることになるのです。
 
そんなばかなことがあるのか、と思われるかもしれませんが、しばしば新聞紙上をにぎわす検査不正なども社内での不良認定回避を図ろうとするもので、その結果として社会からの評価を落とすことになるのです。
 
それでは何を指標とすべきなのか。私は社内の不良発見はむしろ積極的に行い、その上で、今後の不良防止の改善件数こそ指標とすべきとお話しします。不良出荷は何かしらの不良があるからであり、その不良が社内で発見され、かつ発生防止の改善がなされれば、不良は社外にでず、不良出荷は減るのです。
 
この為に大事なことは、社内で不良が発見した時、発見した人はもちろん、不良を作った人を過度に責めないことです。むしろ発見した人は賞賛し、不良を作った人にも今後不良を出さない為の知恵や工夫を出してもらうことです。このような心理的安全性の確保も、不良出荷を減少させ、お客様にご満足頂く為には大事です。
 

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