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他責は他責を増殖しているのではないか

企業様にてよく聞く社員に関わる悩みの一つです。もはや典型パターンの一つでもあります。
「社員がうまくいかないことを会社等のせいにして、自分に問題がないかを考え、解決しようとしません。」
つまり、うまくいかないことを自分以外の他者の責任(他責)にして、自分の責任(自責)とは考えないということです。
 
確かに、こうした姿勢では自分で問題を解決しようと努力、工夫することにはなりません。問題はそのまま、他者がなんとかしない限り良くならない、ということになります。では、自責で考え、自分で問題を解決するようになるためには、経営者や上司であるリーダーはどのようにすればよいのでしょうか。
 
そもそも、なぜ他責になるのでしょうか。もしかしたら生まれながらの性格もあるかもしれませんが、私は他責が多い人になるのは環境の要因が大きいのでは、と感じています。
これはもちろん職場だけの環境ではありません。家庭環境など、職場以外の環境が影響していることも大きく考えられます。特に両親が他責にすることが多い場合、その影響は大きいでしょう。
 
そうではあるのですが、やはり職場環境も無視できません。上司や同僚などが「会社の方針や取り組みがよくないから、うまくいかないんだ」と四六時中言っていたら、それに影響されないのは(特に若手は)かなり自我が確立された人です。やはり多少なりとも影響されるでしょう。
このことは経営者でも免れることはできません。経営が厳しい状況の理由を部下や外部環境のせいばかりにしていたら、社員も厳しい状況を自分の部下や外部環境を理由にしかねません。そんな光景は目に浮かびそうです。
まさに、「他責は他責を増殖させている」のです。
 
それでは、始めの問いに帰って、「自責で考え、自分で問題を解決するようになるためには、経営者や上司であるリーダーはどのようにすればよいのでしょうか。」です。
やはり、経営者や上司であるリーダー自身が現在の状況を自分の責任と考え、自分で問題を解決しようと努力、工夫を行うことしかありません。そのうえでメンバーにも自責を求めるべきなのです。
その後ろ姿を見せずに、ただ「他責ばかりにしている、自責で考え、行動しろ」と言っても、それで自責になれたら奇跡です。その言葉がなくても自責になれる人だったはずです。
 
あまりここでは深入りしませんが、幕末において、吉田松陰先生がなぜ松下村塾の門下生を育て、日本の苦境を自分ごととして動ける人材を育てられたかというと、松陰先生自身が日本の将来を憂え、海外に学ぼうと密航しようとしたからです。その自責の念にもとづいた実践があったからこそ、多くの門下生を自責の人に育てることができたのです。
 
私も含めてですが、厳しい状況を他責にしていないか、自責で解決しようとしているか、常に内省したいものです。

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