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もうすぐ閉幕する㊙︎展の感想を書いた話


自粛期間が続き皆さんはどう過ごしていますか?

私は将来への不安から少し落ち込む日々が続きました.

『これから先どうなるんだろうか...』

『自分は今の勉強(仕事)にどう向き合えばいいんだろうか...』

そんなことを考えていました.

そんな時ある憧れのデザイナーの本を読み返しました.

そこに描かれたスケッチを見て私はデザインを学ぼうと決めた時の気持ちを思い出しました.


そして私はある展示会の公式サイトを見てもうすぐ閉幕することを知り,

予約をとり,当日そこへ向かいました.


『㊙︎展 めったに見られないデザイナー達の原画」

展示会のURLはこちらから↓

この展示は日本を代表するデザイナー,建築家が皆さんに馴染みのある有名なデザインを作るまでの資料を一堂にしてみられるというものです.

ザバスやベネッセのロゴデザインや,

牛乳パックのパッケージや

最近オープンした駅のデザインなど

そのデザイナーの顔ぶれ,資料はそうそうたるものです.


この展示は本来であれば3月ごろには閉幕する予定でしたが
大好評で話題を呼び,また新型コロナウイルスによる自粛要請で閉館する中で
開催期間が2度にわたり延長されました.
自粛期間中に閉幕した展示会も多い中,異例のことです.


この展示は

・デザイン・アートを勉強,仕事にしている方
何かを作るコトに関心のある方
新しい発見を観察することが好きな方

に特におすすめです.



当日のレポート

展示会場は乃木坂の東京ミッドタウンのすぐ近くにあるこちらの建築

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この特徴的な建築を手掛けたのは日本を代表する建築家「安藤忠雄」さん

この特徴的な美術館自体が彼のデザインした空気感を感じさせます.

※今回の展示会には未参加ですが彼がの建築に対する思考の過程や今までの軌跡は興味深いので是非,書籍などを読むことをオススメします!



感染症対策のための検温と受付して進むと階段が現れ,降りて展示会場へ.

展示会場で最初に出迎えてくれるのは「日本デザインコミッティー」の概要や彼らが手掛けてきたデザインフォーラムのポスターやポストカードです.

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壁に貼り付けられたグラフィックはどれも特色ある印象を与え,幾何学的な要素を含んだものからユニークなモノまで.

当時の社会に対してデザインが何ができるのかを見据えて行われ続けていたことを伺わせます.
※近くには誰がどの年のポスターを制作したのか一覧となっているのでそれと照らし合わせて見ると面白いかも?

少し進むと次に出迎えてくれるのは今回の展示のポスターにもなっている,
ヤクルトの容器の模型が置かれています.

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周りに何もなくケースに治められているだけですがそれがまた意味深い.


次に進むと映像作品が見れるスペースになります.ここでは4人のデザイナーがデザインを作るに普段から使い込んでいる道具が展示されています.
目の前では彼らがデザインを制作している様子を撮影した映像が流れます.

これは是非実際に観て欲しいので詳細は避けますが,彼らが自分のデザインを作り出すために『デザインを表現する道具に拘りをもって使っていること』が分かります.

今回の展示会のポイントの一つでもあり,後の展示でもそれを学べます!


メイン会場

いよいよメインの会場になります.
人数制限がされていたとは言え,閉幕まで近いこともあり,会場はそれなりに賑わっていました.
それでも混雑を避けゆっくりと展示を見ることができました.

膨大な制作過程の資料はどれも貴重でここでは語り尽くせない内容が詰まっていました.
そこで特に気になった点をまとめて紹介したいと思います.

1.アイデアをひたすらメモ!メモ!メモ!

まず印象的なのはおびただしいメモやスケッチの山,思ったことはなるべく記録してその量は多いことが分かります.

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メモに書くことも多彩でスケジュール帳に書く人もいれば

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紙に殴り書きしている人も

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また訪れた場所の情景を残す人も

彼らがプロジェクトの中で何を考えているのかその一端を想像させます.

気になったものがあればそれに注目してみてください.

2.スケッチや模型から見える完成モデルまでの過程

デザイナーが残したスケッチの表現も数々

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デッサンと引けを取らないアイデアスケッチを描くときもいれば

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スケッチを通してより多くのアイデアを展開するときも

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展示会の企画と同時に本を編集するようなデザインを進行するという手法も

3.手を動かして考える

また彼/彼女らは『スケッチだけに限らず模型を使った立体的に考えること』もあります.

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プロダクトや建築にのみならず,グラフィックデザイナーでも多く見られました.自分の領域の垣根を越えて課題に挑戦していることを伺わせます.

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自ら手を動かして形にする人が多いです.

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そのデザインの本質を表現したプロトタイプと比較することで形にしていく中でよりアイデアを刺激させていることが分かります.

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3Dプリンタを使って検討する人も


会場を進むと今回の主催者『田川欣哉』さんとデザイナーの対談を聞くことができる通路を通ります.

ポッドキャストでも配信されています↓



会場の最後を締めくくるのは彼らが今まで制作してきた椅子が並ぶ空間.
ここでは以前はデザイナーによる講演会も行われていました.

※現在は感染症予防のため一部の椅子のみ使用不可.

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端に置いてあるPCは今回展示仕切れなかった作品がアーカイブ.
自分の好きなデザインをここで探してみるのもいいかもしれません.

総括

この展示は今まで私が行ってきた展示会のなかでも内容が濃密なものです.
私たちが目にしている美しいもの,優れたデザインがいかに彼らが試行錯誤を積み重ねてきて出来上がったものであることを知れたことです.

そして会場を進んでいく中でデザインの表現がアナログなものからデジタルなものに移行している流れを改めて感じました.


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今回の主催者『田川欣哉』さんの展示
もし先の時代,若いデザイナー達が似た展示をしたらどんなものが置かれているのでしょう?

私は何度も足を運んできましたがその度に新しい発見がありました.
おすすめはノートと鉛筆を持って彼らの作品を模写してみることです.
彼らのように手を動かすことで自分なりの新しい発見が見つかるかも
しれません.

残りわずかな期間となりましたが
まだ行っていない方,すでに行ったよという方も
是非行ってみてください!







オマケ

ここで私の印象的な方の展示を紹介したいと思います.

デザインエンジニアの『山中俊治』さん

彼の展示はそのほとんどがスケッチで占められています.
元々漫画家を志し,カーデザイナー,フリー,大学の研究というキャリアの中で彼が描いてきたスケッチはどれも他のデザイナーをも寄せ付けない存在感を放ちます.

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デザインでもデジタル化が進む中で古典的な絵具による描写は圧巻.

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今はLAMYの万年筆を使ったドローイングが主.その絵は今にも動き出しそうな空気感を感じます.

そんな彼のスケッチに対する考え方を窺わせるツイートがこちら↓


2月には彼のライブスケッチが開催され,それに参加せていただきました.
手を動かしながらどこか楽しげな表情を浮かべながら語る『デザインが未来をハッピーにする』という言葉に彼の希望や情熱を感じました.

最後に私がデザインに興味を惹きつけるきっかけを作ってくれた彼に尊敬と感謝の意を示しここに私の言葉を締め括ります.



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