相手を使うことの難しさを知る
本当なら5人で稽古する予定でした。いや、もっと多かったはず……
いつも参加している中学生は学級閉鎖(というか恐らく学校自体が閉鎖)とのことで、休み。しかも、大人が一名参加予定でしたが、こちらも参加できないとの連絡がありました。
「ノーマルタイヤに交換しちゃったので……」
とのことらしい。
春分の日に吹雪となってしまったので、しかたがありません。僕もタイヤを交換したかったので、気持ちはよくわかります。
ということで、昨日の稽古に参加したのはこちらの3名。
小学6年生女子
中1男子
おっさん
しかも、おっさん1名は右腕を負傷中です。右腕を負傷してから、一旦回復の兆しを見せるも、そのタイミングで稽古に参加して悪化させてしまいました。完全なる自業自得です。
そんな中での稽古でしたが、子ども二人だけで稽古をさせるのは忍びないので、元立ちに徹することにしました。
制限を設けた中での稽古
約1時間の基本稽古。みっちり元立ちさせていただきました。ただの元立ちとはいえ、応じ技の元立ちは右腕に負担をかけてしまいます。
ジゴウジ徳です。漢は黙って打たれ役!
さすがに痛かったので、地稽古はそっと見守ることにしました。
まずは3本勝負……と告げたのですが、一向に終わりは見えず。第三者目線では決まっているように思えても、本人たちは納得できないらしい。
しかたがないので仕切り直すことに。
今度は3分間3本勝負で、片方は面縛りの条件付きにしました。
面しか打ってはいけないルールなのに、いきなり小手を打つ中学生男子。見ていた保護者さんも苦笑い。
審判員として「反則」の宣告をしてあげました。
その後、お互いに1本ずつ決まったものの、勝負は引き分け。ここで面縛り役の交替です。
相手は面しか打ってこないことがわかっているはずなのに、なぜかなかなか決まりません。どうしたものでしょうか……
面打ちしかできないのなら、面を打たせればよいのですが、なかなか思うようにはいかないようでした。剣道では「相手を使う」と表現されますが、これがなかなか難しいのかもしれません。
「攻め崩し」から「相手を使う」へ
あなたも、「攻めろ」「攻めて打て」と注意された経験があるのではないでしょうか。重要なことは、ただ攻めるのではなく、攻めて相手が崩れることです。
全日本剣道連盟の「図書」のページに興味深いことが書かれていました。
相手に驚懼疑惑《きょうくぎわく》の四戒の念を抱かせることが重要とのこと。単純に攻めて打つだけの自分勝手な打突では、なかなか有効打突につながらないことは周知の事実です。
大人と子どものように打突速度に差があれば有効打突になるかもしれませんが、剣道はスピード競技ではありません。本当に面白いのは、年齢を重ねてもなお、若い人と対等にできる技術です。
年配の先生方が若い人と対等な稽古ができる最も大きな理由は、相手を使って稽古をしている点にあるでしょう。
全日本剣道連盟の「図書」のページをさらに読み進めると、下記のように書かれていました。
相手を攻め崩し、四戒を抱かせることが相手を使うことにつながると認識しています。さすれば、偶然という名の必然となるでしょう。
なかなか簡単にはできませんが、面縛りの条件付きでの稽古なら難易度は軽減されるのではないでしょうか。
ロードオブメジャーには「それでいいのか?」と問われるかもしれませんが、それで良いのです。最初は偶然であっても、必然になるようにしていけば良いと考えます。
おっさんもやってみた(動画あり)
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