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子供相手の稽古で上達するには?

学生時代に寮生活をしていた僕は、長期休暇になると実家に帰省せざるを得なかった。閉店ガラガラ……寮が閉鎖されてしまうからだ。

学校までは自宅からJRで1時間30分、徒歩で30分なので、通おうと思えば通える距離だ。実際、同じ地区の後輩M君は自宅から通学していた。寮で問題を起こし、退寮処分を受けたからに他ならない。

通っていた学校は私服でもパーマをかけても金髪でもバイクに乗っての通学までもが許されていた。

しかし、意外と寮は厳しかったのだ。特に喫煙や麻雀は厳重に処分された。麻雀の何が悪いのかは未だに謎だが、やはり賭博だろうか。それとも音だろうか。

ルールすら覚えられない僕には香港で捕まりそうだからカナダに亡命した革命家くらいに無関係の出来事だった。

いったいどんな学校なのかと思われたかもしれないが……

偏差値はそこそこ高めだがとっても自由な校風だったため、部活動にも力を入れることはなかった。ほとんどの部活動は大学におけるサークルのノリで、体育会系とはほど遠い。

夏休みも、ほとんどの部活動がオフだったと記憶している。活動していたのはテニス部と野球部くらいだ。テニス部と野球部には寮生が少なかったのも理由かもしれない。

今回は、そんな自由な学校の夏休みについて書こうと思う。


中学の部活動に参加しなさい

夏休み前、先生に夏休み中の部活動はどうすればよいかと訊ねたところ……

「実家に帰省して、中学校の部活動に参加しなさい」
と言われた。

短期のアルバイトも見つからなかったため、中学校の部活動に毎日参加することにした。中学生の剣道と、高校生の剣道は微妙な差異が感じられたが、上手く言葉にはできない。それに、大きな問題ではない気がした。

とはいえ、中学生もそれほど下手ではない。中にはそこそこ強い選手もいて、自分の稽古としては十分。夏休み明けの自分の成長が楽しみだった。同期のヤツらにどれだけ差をつけられるか、想像するだけでニヤついてしまう。

ただし、毎日の部活動には参加しているものの、特別な技術を教えてもらえるわけではない。本格的に剣道を指導できる人がいなかったからだ。だから部活動では、ただただ基本稽古と懸かり稽古と地稽古を繰り返す。

体を動かしていれば、何となく上達している気になる。

ほんの少しの先輩風を吹かしながら、後輩たちと汗を流す。自分なりに、よく頑張ったと思ったと思う。約1か月の修行期間を経て、凱旋した気分に浸りながら寮に戻る。

とくと見るがいい!
\ 夏休みの特訓の成果を!! /

上達どころか下手になっていた

1か月以上稽古をしていない同期に言われたひと言にショックを受ける。

「何か変なクセついてない?」

中学生のクセが伝染していたらしい。指導者に似てくるという話はよく聞くが、逆パターンだ。いつの間にか、後輩の悪いクセが身についてしまっていた。

残念ながら、一度ついたクセはなかなか戻らない。上達して凱旋するつもりだったのに、完全に鼻っ柱をへし折られた形となった。僕は上達するどころか、下手になっていたのだ。

何も考えずに稽古をしていると、こんな落とし穴に落ちてしまうという悪い例だった。剣道アルアル?それとも、ナイナイ?

せっかく稽古の機会があったにもかかわらず、その機会を活かせなかったのはどうしてだろうか。もっと良い方法があったのではないだろうか。

当時は考えても答えは出ず、時間を無駄にするだけだった。延々とスーパーマリオの1upを繰り返すのと同等の無駄な時間といえよう。

しかし、今ならわかる。
1upはいつでもできることを。否、誰と稽古しても上達できることを……

子供相手の稽古でも上達する方法

恐らく下記の3点を意識すれば、中学生相手の稽古でも上達は可能ではないかと考える。

  1. せんを意識する

  2. 当たらなくても気にしない

  3. 残心と次の攻めを意識する

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