見出し画像

世界遺産のあれこれ:その③(地名)

世界遺産のあれこれ:その③(地名)
 
今回は地名について短く(?)。タイトル画像は九寨溝の五花海(Wikipedia
より)。
 
1.カルスト地形の正しい語源はクラス
小学生の時はずっと福岡に居た。九州・山口経済圏(経済界)という言葉があるよう東部の広島側はいざ知らず、山口は九州、特に福岡と一体のところがある。ということで日本のカルスト地形の代表とされる秋吉台、秋芳洞は馴染み深かった。あきよしだい、あきよしどう、が今の読み。後者は「しゅうほうどう」と嘗て呼んでいた。最新の高校地理の教科書にカルスト地形の代表観光地として秋吉台と共に載っている福岡の平尾台は、近くにあったにも関わらず当時は知らなかった。
 
さて、「カルスト」は小中学生の時、ユーゴスラビアの地名から来ていると習った。ユーゴ分裂により現在の高校地理の教科書にスロベニアのカルスト地方と書いてある。これはドイツ語読みであって本来は「クラスKRAS」」地方が正しい。世界遺産・自然遺産にこの地方の洞窟が「シュコツィアンの洞窟群」として登録されている。カルスト地形としては世界遺産の自然遺産に登録されている中国の九寨溝(世界遺産名「九寨溝:歴史的・景観的重要地区」(自然遺産)に魅力を感じる。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%9D%E5%AF%A8%E6%BA%9D
 
2.間欠泉ガイザーのルーツはアイルランド
間欠泉を英語でgeyserという。ドイツ語はGeysir(ゲイシール)。最近問題を起こしたようで売られているか?乍ら、日本でクリスタルガイザーという米国のミネラルウォーターが有名ではなかろうか(この水は間欠泉から取水している訳でないので変なネーミング?)。
ガイザーは、火山と間欠泉で有名なアイスランドの間欠泉の呼称ゲイシールから来ている。名前からいうと英語よりドイツ語が近い、というより綴りはドイツ語と同じ。アイルランドは北方ゲルマン系民族(ノルマン人)とスコットランドなどからの移民が多いので当然か?
アイルランドの世界遺産である「シングウェトリル国立公園」はゲイシールやギャオと呼ばれる大陸プレートの避け目があるので自然遺産のように感じるが、この地でアルシングと呼ばれる全島集会がAD10世紀に行われ世界最古の議会ということで文化遺産になっている。
ということは古代ギリシャ民主制、古代ローマ共和制は議会とみなされないことを意味する。
 
3.クリミア半島はいまだロシア語表記
ロシアのウクライナ侵略を契機に、キエフ→キーウ、オデッサ→オデーサに呼び方が変わったのは周知のとおり。一方で、ウクライナ領ながらロシアが実効支配し大分年月が経過したクリミア半島はまだその動きはない。ウクライナ語ならタウリカ半島である。今の戦争がどう終結するかまだ?ではあるが、クリミアのウクライナへの返還は残念ながら困難な気がする。世界遺産の文化遺産に「タウリカ半島の古代都市とチョーラ」がある(チョーラとは長方形に区画された農地のこと)。
 
4.温泉を表すスパ(SPA)はどこから来たのか
世界遺産・文化遺産で「ヨーロッパの大温泉都市群」というトランスバウンダリーサイト(複数国を跨る登録物件)がある。イギリス、ベルギー、イタリア、フランス、ドイツ、オーストリア、チェコの7か国、11温泉都市からなる。ここに含まれるドイツのバーデン・バーデンは日本でもよく知られている。
これら全てがローマ帝国がその基礎を築いたというのなら、世界遺産というのも頷けるが、温泉大国の日本に住む人から見るとあまりしっくりこない気もする。一応温泉を中心に各種文化的施設が整備された温泉文化を形成しているということで認めらるしかない(国を跨る文化交流がある、伝統文化があるという趣旨)。
 
この世界遺産に含まれるベルギー(リュージュ州)のSPA(スパ)が英語のみならず世界的に使われている温泉・温泉療養施設スパの語源である。尚、ローマ帝国由来で英語のBathの語源になったことで知られる英国のバースもこの世界遺産含まれているが、バース単独でも世界遺産である。
オマケ:
第二次大戦でナチス・ドイツによりパリが陥落した際、フランスはヴィシー政権/ヴィシー政府を暫定で作ったことはよく知られる(ドイツの傀儡政権と言われる)。ヴィシーも世界遺産「ヨーロッパの大温泉都市群」に含まれている。
 
5.カオシデ石二三ジュ白、古三新三、四は洪・沖
ここは少しマニアアックか?
上のタイトルでピント来る方はいるだろうか。これは高校の地学の時にならった地質年代区分順序の覚え方である。
但し、現在は「二」の二畳紀→ペルム紀に変わり、「四は洪・沖(洪積世・沖積世)」も洪積世→更新世、沖積世→完新世に変わっている。
 → カオシデ石ぺ三ジュ白、古三新三、四は更・完と変わった
地質時代区分表 (詳細) - Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%B0%E8%B3%AA%E6%99%82%E4%BB%A3%E5%8C%BA%E5%88%86%E8%A1%A8_(%E8%A9%B3%E7%B4%B0)
 
「デ」にあたるのはいうまでもなく「デヴォン紀」である。デヴォンは英国本島南岸ドーセット州にある東デヴォン海岸に由来する。この辺りは化石の宝庫で色々な地質年代の化石(植物、恐竜、魚類、爬虫類、哺乳類)が出土している。古生物学、古気象学、地質学・地形学の研究対象としても重要な場所で世界遺産・自然遺産「ドーセットおよび東デヴォン海岸」として登録されている。
オマケ:
NHK科学ドキュメンタリーなどで知っている方も少なくないと思うが、嘗て地球には「パンゲア」という一つの超大陸しかなく、それがローラシア大陸とコンドワナ大陸に分裂し、更にそれらが分裂や再結合(衝突)し今の大陸が形成された。世界遺産・自然遺産「オーストラリアのゴンドワナ雨林」がその名をとどめている。
 
為参考:
世界遺産のあれこれ①
https://note.com/kengoken21go/n/nff65be29358f
世界遺産のあれこれ②
https://note.com/kengoken21go/n/n3e2dfe8e1b60


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?