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【保存版】評価制度の設計方法③

本記事は人事制度の3要素のうち『評価制度』についてより深く、詳細に、設計方法をご紹介する記事の続きの内容となります。

①では評価制度の全体像、②では評価制度の主要素である成果評価と行動評価の作成方法についてのご紹介を行っておりました。

今回は運用までをゴールとして、実施するうえで決めておくべき、その他の細かな論点についてのご説明やご懸念ポイントをご紹介していきます。

①や②がまだの方はこちらよりご覧ください↓


評価制度の運用方法

- スケジュール

実施する上でまず検討すべきものとして、評価をどういったスケジュールで行っていくかというものがございます。

3月を決算期とし、半期評価である場合には流れとしては下図の流れが一般的です。

スケジュールイメージ

こちらは、おおよそ1ヶ月の間に評価を実施〜完了し、翌月から評価結果の反映、新たな目標運用期間が開始されるよう設定しております。各階層のプロセスについては順にご説明していきます。

目標設定プロセス(1段目)
成果評価を実施するための、目標設定におけるプロセスを示しています。自己評価と面談を終えた後に、フィードバック結果を踏まえて目標のドラフトを設定します。

評価実施プロセス(2段目)
成果と行動評価から総合評価を算出する一連の評価のプロセスを記載しています。具体的には、 下記の手順です。

  1. 成果・行動共に被評価者の方が自己評価を行います。

  2. 上長と面談を行い、自己評価を踏まえたフィードバックを行います。

  3. さらに上の上長が居れば、2次評価者として評価結果が適切か判断します。

  4. 最後に評価会議を行い、評価の甘辛などすり合わせした上で評価結果を確定させます。

評価担当役職の参考

(補足)評価会議について
評価会議を行う目的には以下の2つがあります。

  • 評価の目線合わせをすることで、公平公正で納得性が高い評価を行うことが出来る

  • 被評価者の評価を複数人によって確認することで、一次評価者・二次評価者の恣意性を排除する

そのため、評価会議の参加者は評価を担当している2次評価者が中心となって行われます。(規模が小さい場合には1次評価者も交えて実施します。)議題としては①評価理由の説明と②最終判断、③育成課題の検討などについて主に話し合います。

評価会議のイメージ

昇降格プロセス(3段目)
昇降格については、上段の評価プロセスとは別に、等級定義表に基づいて評価を別途行う想定です。 昇降格の対象者の選定に評価結果を活用する場合には、上記スケジュールの通り対象者を評価会議にて上長が推薦し、判定を行う想定です。
反対に、選定基準に評価結果を含めない場合には、成果や行動評価のスケジュールとは別に、昇降格の評価を実施することも可能です。

・・・

以上が大きな評価ステップの流れになります。
現在は半期評価でのスケジュール感を示していますが、四半期評価とした場合には評価期間の間がさらに狭まる想定です。

ここで、一つの論点として、評価期間はどの長さが良いのかというものがございます。

大きく期間の設定方法を3パターンで分類すると、上記の通りに分かれます。

目標設定や評価の実施には一定工数を要するため、実施頻度が増えるほど負担が増加するといったデメリットが生じる一方で、フィードバックの機会は増加し、メンバーの成長支援を促進できるといったメリットがございます。

どちらとすべきかですが、フィードバックの機会を評価期間とは別途設ける事を想定し、②または①で行われることを推奨しています。

②の方法について補足させていただくと、②は①と③の中間的な立ち位置であり、中間面談として簡易的な評価は実施するが、確定までは行わないようなフィードバックの機会を設けるものになります。
※1次評価のみ実施する等

そのため、一定工数を抑えつつも振り返りの時間を設けることができ、両方を担保できるためおすすめな方法になります。

①の半期評価においても、中間評価として全社統一的な期間を設定せずとも、1on1等の実施により週次や隔週で目標の振り返りといったフィードバックをリアルタイムに実施することで、同様の効果を得ることも可能です。

唯一の懸念点としては1on1の実施方法についてルールを設定していないと、部署やチームによりバラツキが出てきてしまい、形骸化につながってしまう可能性があります。

・・・

また、その他の論点として、評価を期が締まる前に行うかどうかについても論点としてございます。

①の方法ですと、期が締まる1か月前より評価を始めることで、期が締まる直前に出てきた成果などを反映できない可能性がでてくるため、期末のモチベーションが低下しやすいといったデメリットがございます。

そのため、最後まで手を抜かずやり切って欲しいといった想いから、期が締まってから評価を行う②の方法を推奨しております。

※SESのようにある程度期中の成果が見込まれる場合には、①の方法で実施されてもよろしいかと思います。



- ルールの設定

スケジュールを検討した後は、ルールを作成していきます。

管理する組織規模が拡大すればするほど、直接伝えていくには限界があります。先ほどの1on1の運用の形骸化への予防も含め、運用の際には何かしらルールとして言語化された資料を用意することを推奨いたします。

アウトプットイメージは下記の通りです。(1on1と目標設定のルールイメージ)

1on1ルール 作成イメージ
目標設定(成果評価)ルール 作成イメージ

言語化しておくことで、評価者の方の判断基準ともなり、自発的な行動を促せるだけでなく、認識のすり合わせとしても活用いただけるため、簡易的な形でも構いませんので「文字」として形に残されることを推奨しております。

ここで、特に記載しておくとよい(検討しておくべき)ものの一つに「コミュニケーション方法」がございます。

繰り返しお伝えしておりますが、人材の育成において、フィードバックも含めたコミュニケーションの実施は必要不可欠なものです。

その一方で、「対話」はマニュアル化できるものではなく、一定の負担を要するため、どうしても、ラクな方へ、定型的な作業へ、と流されてしまいやすい傾向にあります。

そのため、何を話すべきか、実施の目的は何か、どういった頻度で実施するのかなど、大枠についてはルールとして設定しておくことを推奨いたします。

一番理想的なコミュニケーションの流れとしては下記のようなプロセスを想定しておりますが、実施することが目的ではないため、その本質的な目的を参加者全員が理解した上で、実用に沿った形で適宜調整を行いつつ対話の場を設定されることを推奨いたします。

コミュニケーション 一連の推奨プロセス

※チェックインMTGとは、朝礼のようなイメージで、チームメンバーが集まり、現在の目標の進捗状況やスケジュール感の確認などを行うMTGを想定しております。

※ウィンセッションとは、週末にチームメンバーで集まり、この1週間の動きを振り返り、互いに成功体験や学びなどを共有するMTGになります。雑談も混じりつつの気軽な雰囲気で実施されることが一般的です。

さらに詳しく知りたい方は下記をご確認ください!

ご参考:1on1についてさらに詳しく知りたいという方向け

ご参考:ウィンセッションが重要な理由



以上、今回の記事では評価制度を運用するために設定しておくべき「スケジュール」「ルール」についてご紹介させていただきました!

評価制度を実施する上で最低限検討しておくとよいポイントは以上となります!

オプションでさらに詰めていくことも可能ですので、次回はそのご紹介ができればと思います。次回もどうぞよろしくお願いいたします!


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