見出し画像

警告!無意識のうちに動く体!

 今日は「無意識のうちに動く体を意識する」というテーマでお話させていただきます。
 随分と哲学的なテーマに聞こえますが、とても大切な話です。例えば、ドリブルしているときのことを思い出してください。自分ではものすごく速くドリブルしているように思っていても、動画に撮ってもらって自分の動きを確認すると「全然速くないじゃん!」みたいなことがあります。走っているときも同じで、全速力で走っているつもりでも、第三者の目で見ると「全然速くない」みたいなことがよくあります。
 
 これは「動体視力」によって生まれている錯覚みたいなものの一つです。自分の目では、周りの景色がものすごいスピードで動いて見えるので、速く感じます。ですが、少し離れた距離から見ている人からすると、その動きがちゃんと目で捉えられるので、全然速く感じないのです。
 
 これは、スポーツをやっている人ならではの「悲しい現実」です。これが事実であって、だからこそ自分の動きを動画に撮って見直したり、他の人から見てもらって、アドバイスをもらうことが大切になります。この「外から見る自分」と「内から見る自分」の差を埋める作業が成長するためには不可欠です。
 
 今回のテーマである、「無意識のうちに動く体」というのは、「自分で速く走っているつもりでも、実際はあまり速く走れていない」と同じようなものです。「自分がやろうとしてることがあっても、無意識のうちに違う動きをしてしまっている」ことがあるのです。
 例えば、サッカーで起こりやすいもので、攻撃のときに前に走りすぎてしまい、「後ろに来たボールに対して上手く体が動かず、ボールに触れない」みたいなことを経験したことはないでしょうか。とてもゆっくりなボールであっても、体のすぐ横を通っていくボールであっても、体が前に向かっているときであれば、届かないとこがあります。頭では「後ろにボールが来た」とわかっているのです。姿勢をすぐに立て直せば、何事もなくボールに足が届く状況です。ですが、無意識のうちに、体が前に行きたがってしまうのです。姿勢を戻せない状態になるのです。これは「慣性の法則」と言われるような「等速直線運動を続けようとする力」ではありません。無意識のうちに、体が「いつも通りの動き」をやってしまってるのです。つまり、これは無意識のうちに自分で体に力を加えて動かしてしまっているのです。呼吸と同じです。呼吸は、考えずにやっていますが、あれは自分で体の機能を動かしています。あれと同じことです。

 守備のトレーニングで「センタリングのボールをヘディングでクリアする」というトレーニングをしていたチームの選手で見られました。カーブボールが上がった時に、一度体が「こっちだ」と思って動いた後に同じような状況が生まれていたのです。
 センタリングを上げる選手と、守備をしている選手との距離はあったので、修正することはできました。しかも、そんなに速いボールが飛んでくるわけでもありません。ですが、体の真横に落ちているボールにも触れないのです。ひどい時は、そこに止まってさえすれば体にボールが当たるのに、体が動いてしまい、結果的にボールを避けてしまうような動きになっていました。不思議ですが、人間の体は「無意識のうちに動く」ので、自分の意識の中に戻してあげる必要があります。
 
 「自分で速く走っているつもりでも、実際はあまり速く走れてない」というのは、「認知の誤差」です。「自分がやろうとしていることがあっても、無意識のうちに、違う動きをしている」というのは「実行の誤差」です。この2つは同じではありません。こういった誤差が普通に生まれてくるのが、「人間」だということを覚えておくべきです。
 
 今自分がどんな動きをしているのか、動画に撮って後から見返すことで「こんな動きをしてたんだ!」という発見があります。それだけではなく、プレー中に「今自分がどんな動きをしているのか」「無意識のうちにやってしまっていることは何か」を、意識することが大切ですよというお話でした。
 
 今日は「無意識のうちに動く体を意識する」というテーマでお話させていただきました。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
※「いつでも」「どこでも」聞ける『音声配信』(ラジオ・ポッドキャスト)を始めました。
「サッカーの動画を見ても、どうやっているのかわからない…」「これからサッカーを始めようと思う」「感覚的にではなく、サッカーを論理的に理解したい」「通勤通学の合間にサッカーを勉強したい」「もっとサッカーが上手くなりたい」といった人におすすめのラジオ、ポッドキャストです。スペインバルセロナにあるアカデミーやアルゼンチンのクラブでプレーして学んだことを、海外サッカー経験者から直接お届け致します。

音声配信:『VORAZ FUTBOL CLUB』 Anchor/Spotify
ーーーーーーーーーーーーーーーー

この記事が参加している募集

サッカーを語ろう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?