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デザインレビューでは被レビュー者に裁量を委ねると成長につながる

自動家計簿・資産管理サービス、マネーフォワード MEのデザイナーの池内です。

以前レビューされる時のマインドセットについてのnoteを書きましたが、今回は僕がレビューする側に立った時に大事にしていることを紹介します。いつもできているわけではないので自戒も込めて記します。

特にIT系のインハウスデザイナーで、部下や同僚のデザイナーとレビューする機会が多い方の参考になればと思います。

前提

この記事の前提として、ある程度成熟したデザイナー同士でレビューする場合について記しています。

まだデザインの基礎をマスターしていない新人デザイナーには、「裁量を委ねる」方法は向いていません。新人デザイナーには明確に間違いを指摘し、反復作業によって基礎スキルの向上を目指すのが成長の近道だと思います。

被レビュー者に裁量を委ねるデザインレビュー方法

被レビュー者に裁量を委ねるデザインレビューとはどのように行うのか。やり方はいたってシンプルです。

1. レビューするデザインの背景や目的を共有する
2. レビュアーがデザインを見てフィードバックする
3. レビューイ(被レビュー者)がフィードバックを採用するか決める

このやり方の良い点を、これから述べます。

レビュアーが正しいとは限らない

そもそも、レビュアーのフィードバックが常に正しい(=プロダクトやサービスを成功に導く)とは限らないのです。僕も多くの失敗を経験しているので、自分のフィードバックが絶対正しいとは口が裂けても言えません。

レビュアーのフィードバックは、そのレビュアーの経験や知識に裏付けされたものです。しかし世界は常に変わり続けるし、レビュアーが過去において成功や失敗したことも、ただの偶然かもしれません。

被レビュー者のほうが、デザインのターゲットや目的に精通しているわけです。レビュアーのフィードバックをやみくもに取り込むよりも、レビュー者が納得したフィードバックだけ取り込むほうが合理的です。

自分で失敗しないと成長できない

人間は自分で失敗してみないと、なぜ失敗したか自分の頭で考えません。他人に言われたことを実行した結果、成功しても失敗しても、それは他人事です。自分の選択によって失敗して、はじめて失敗を自分ごとにできます。

失敗を自分ごとにできれば、なぜ失敗したのかを考え、そこから改善しようとしたり新しい知識を得ようとする意欲が生まれます。そういった試行錯誤の先で人は成長できます。

失敗しても良い状態にする

担当デザイナー本人に裁量を委ねた時、失敗の責任を一人が負いきれるのかという懸念があります。これはその人がリスクを負いきれるサイズのプロジェクトを任せることでリスクヘッジ可能です。

たとえばWebサービス事業の場合、実績の少ないデザイナーには、バナーやLPなど1つあたりの作成コストが少ないタスクを任せることでリスクヘッジできます。

熟練デザイナーでも大きなプロジェクトでは失敗のリスクが大きいです。どんなに実績がありキャリアを積んだデザイナーであっても失敗するときは失敗します。

大きなプロジェクトでも、可能な限り中身を分解します。細かく失敗と成功を繰り返すことで、リスクを回避しつつ、事業を成長させることができます。

さいごに

このデザインレビューの方法とは対照的に、少数のデザイン責任者が承認したものだけを世に出すというフローもあります。どちらがよいというものではなく、事業内容や人材、プロジェクトの内容によって最適なものを選べば良いと思います。

このデザインレビューの考え方は「NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX」という本をベースにしています。ベストセラーなので読んでいる方も多いと思いますがおすすめです。

マネーフォワード Home事業のデザイン部では、毎週輪読会を開いてデザインの知見を深めています。この本も輪読会で読んだ本の一つです。

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