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シャングリラへゆく⑫転生僧に会いに奥へ奥へ秘境の寺へ

理想郷のことを人はシャングリラと呼ぶ

雲南の香りに魅せられて僕は旅をした
冒険家が探し求めたシャングリラに想いをよせ
奥へ奥へ雲南省の秘境を旅した記録

①から読めばより深く楽しめます
シリーズ「チベットへゆく」の第二部
シャングリラへゆく物語

転生僧に会いに奥へ奥へ秘境の寺へ

10月2日朝
香巴拉シャンバラ鎮を朝早く出発する
今日の予定は午後に転生僧トゥルクのいる寺に着く
その後、理塘りたんへ移動し宿泊になった

車に5人は乗り込み準備してると理塘りたんへ行く道が
自然災害で封鎖されルートを変える事になった

この辺は自然災害で道が、よく閉鎖されるらしい

僕らは昨日来た道を戻る状態で逆方向に進路をとり
山脈を迂回しながら別ルートへ変えた
トンネルはないので山の斜面に沿って走る

朝ごはんの支度で煙が上がる

出発し直ぐ道沿いに綺麗なチベット村が見えた
思わず写真を撮る為に止まる

原風景に近い村だった
香巴拉《シャンバラ》鎮の丘の上に大きなチベット寺があるが
僕らは先を急いでいたので寄る事は出来なかったのは残念だった

丘の上にある寺の下に広がる香巴拉鎮の町


麗江-理塘 位置関係 地図

幸い昨日から天気が良く 空は綺麗に晴れていた
理塘りたんへ続く国道に合流するために
一旦南に進路を取り東へ抜け北上する事になる

峠越えする為に山をグングン上る

標高はかなり上がってきている
香巴拉シャンバラ鎮は標高2865mに位置しているが
3800m程の標高まで上がる

森は無くなり草原と岩の景色が広がる

途中で驚く光景を見た
大きな高原牛と車が衝突していた

大きな猛牛が車と正面衝突し 死んでいた

車のボンネットは大きくへこみ牛は横たわり死んでいた
自然放牧された牛や山羊も多く見かけ道路にも歩いている

頻繁に牛をみかける

2時間程かけ峠を超えて
国道に合流し北上する事ができた

国道に合流し北上していく 先が見えないような道

そこから理塘りたん方向へ向かう
小さな村を抜けたと思うと何もない平原だったり
険しい山だったりを繰り返す
そして昨日と同じ山間に幾つもの小さなチベット寺を目にしながら進む

山間にあるチベット寺

思いのほか寺は多く 辺鄙な場所に建っている
道路から遠くに寺を何個も何個も見た

名が通る有名な寺以外にも沢山地域に蜜着し存在している
寺と言っても日本のように観光地化してるのではなく
本当に修行の場として僧以外寺に来るのは
周辺に住む地元民くらいだろう

本当は、こういう寺にも時間があれば立ち寄り
宗派や この寺に伝わる話など聞いてみたくなる

運転してくれてる孫君は疲れもありつつ
軽快にドライブを楽しんでいる

そしてドンドン海抜が上がっていくのを感じる
景色は一変していく
時計の海抜計測は少し前から4000mを超えだした

空が更に近くなる
そして岩しか見えなくなる

海抜4000mを越え続く風景
海抜4000m越えし続く風景2

遠近感がなくなる
岩が遠くにあるのか近くにあるのか
比較対象物がなくなると
人間の脳は簡単に錯覚を起こす
かなり遠い景色も近く感じたり
距離感もズレる

ただ言える事は 空が異様に近いという感覚

看板を見ると海抜4513mだった

海抜4513mの峠を超える
窓を開けると冷たく強い風が入るので窓は開けれない
空気も薄い
でも太陽光が当たり日に当たる場所は熱い

理塘りたんが近づいてきた
残り110kmまできた

この峠で休憩もできたけど高山病を恐れ僕らは
少し海抜の下がった位置を探し峠を下る事にした

下る途中の対面の山に張り付くようにチベット寺が見え
その光景に見とれ、思わず車を停車した

山に張り付くようなチベット寺
山に張り付くようなチベット寺 拡大

それにしても
下界人を寄せ付けぬ とはこのような場所だ

こんな海抜の高く人が行けない山奥で修行し
人生を仏の道に捧げている僧達
何塔か並んだ白く綺麗な仏塔が太陽に反射している

この寺で人生を終えた僧たちの遺灰が眠る仏塔
5人は不思議な位置にある寺に見とれていた
僕はチベット仏教を本で読んで色々知識を得て
今までも、色んな寺も見て
拉薩にも行ったけど

今まで見てきたチベット仏教が表なら
今回の旅は裏を見ているようだ
表裏一体ではあるが
明らかに違う

インドよりチベットに受け継がれてゆく
仏教史の流れを追いかけ気が付けば
ダライ・ラマの物語にのめり込んでいた

それは権力争いの話でもあった

もう一つの本質
信仰と仏の道を究める精神修行
政治の為にチベット仏教があるのではない

もっとシンプルに信仰し
来世へと繋がる魂を信じ
チベット民族は生きる

それが
深く深く魂に刻まれている

それは今世の物語だけではない
何世代にも渡り輪廻し魂を受け継ぐ者と
その魂を探す者の物語

精神の心の扉を開けようと求めるならば
近代化した寺で修行するのではなく
無になれる場所を探し奥義を極めるのは
自然な僧の願いだろう

表だけの寺ばかり見てきた僕は
そんな裏の寺を見て、チベット仏教の
違う一面を考える事ができた

峠を一気に降りたら小さな町があり
僕らは昼食をとる為に1件の店に入る

高原牛肉面とかかれた麺屋

中に入ると店主の子供2人がテーブルで勉強をしていた

チベット語を勉強している子供
チベット語を写している

もう漢民族化してチベット文字も衰退していくのかと
思っていたけど、民族文字は 親から子へ受け継がれている
宿題しながら店を手伝っている様子だ

子供の目はとても綺麗

高原牛肉面 太く辛いタレと香草で独特の味

ワンタンの下に牛肉と麺があり量も多く辛いけど美味しい

孫君は もう少しで 寺だよといい

また走り出した
国道から脇道にそれて中に入っていく

何も看板もなく地元の人しか
入らないような細い道を急に曲がり入ってく

どこに行くの、ここで合ってるの?と
聞く間もなく孫君は脇道を進む

細い1本道を ひたすら走る
牛も増えてゆく

牛飼いの群れ
牛飼いの群れ 2

車なんて めったに通らないのか 牛が道を占領し歩く
ここでは車より牛達の方が貴重だ

そうやって道なりに沿って奥へ奥へ進む

1時間程クネクネ進んだ時、
ようやく目の前の視界が開け 
その先に黄金に輝く寺が見えた

転生僧トゥルクのいる山奥の寺

本当に こんな場所に寺あるの?と
何度も思っていた
道を間違えてない?でも引き返すには随分奥に入って来た

黄金に光る屋根が何棟か見えた時
ようやく ようやく ここまできたと
僕が1年前の拉薩で出会う事がかなわなかった
転生僧トゥルクとの謁見
シャングリラは幻ではなかったと
僕は心の鼓動を強く感じながら寺に着いた

転生僧に会いに奥へ奥へ秘境の寺へ

チベット仏教の裏側

修行により肉体と精神を極めてゆく
釈迦が説いた解脱という究極の教えを
実践していく

ツォンカパが誕生しゲルク派が生まれ
ダライ・ラマ制度が確立以降
他の宗派は権力争いから離れ 
精神修行へ集中できたと言える
それが裏ではなく本来の表の顔なのだ
いつの時代も権力争いが注目を浴び
本質を見るのが難しくなるだけだ

そして、こんな辺鄙な場所にこそ
寺があるのは人を寄せ付けない為

彼らの極めようとする
仏の道に邪魔なのはただ一つ  
それは よこしまな欲 

人を寄せ付けない寺をいくつも見ると
僕は そんな風に思えてならない

この世は全て表裏一体
理想郷とは行けそうで行けない
簡単に下界人を寄せ付けはしない
ここは仏が住む世界
僕は再び迷い込んだのかもしれない


⑬転生僧の住む秘境寺に受け継がれる信仰 へ続く

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