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読書感想「必勝!!終活塾」     (高橋泰源著)

ファイナンシャル・プランニング業務の6つの柱のひとつに「相続・事業承継」分野があります。

遺された子供同士が遺産を巡って争うなど、相続についてはネガティブなイメージも持たれがちですが、最近では、自分の死後にそういった争いなどが起きないよう、あるいは、遺品の整理などがスムーズに進むよう、生前から「終活」に取り組む方が増えてきています。

今回読ませていただいた本が、その終活について書かれた「必勝!!終活塾」です。

読後に、自分なりに感じたことを書きたいと思いますが、ちなみに著者の高橋住職は、以前からの知り合いですので、その点はお断りしておきます。

「どこよりも優しい終活テキスト」を標榜

「はじめに」にもありますとおり、「どこよりも優しい終活テキスト」が標榜され、内容もたいへん理解しやすくなっています。ただし、その分、それぞれのテーマについて専門的な内容は割愛されていますので、それぞれのテーマについて深く調べるのには向いていません。より知識を深めるためには、専門家や専門書の力を借りる必要があります。

「重いテーマ」を「軽いタッチ」で

全体を読み進めて感じるのは、どちらかというと重いテーマである終活を、軽いタッチの文章で書かれていますので、よい意味で「手軽に」読み進めることができます。

「終活、終活と騒がれているけれど、何からやればわからないし、ちょっと面倒だな・・・」という方にも、読んだ後に、「じゃあ、取り組んでみるか」と思い腰を上げるきっかけを与えてくれる本だと思います。

「いま」のテーマに即したアドバイス

全体の構成はライフステージごとの章立てとなっており、自分が歳を重ねていくことと重ね合わせながら読み進めていくことができます。

終活をめぐってのアドバイスの中には、自分が死んだ後に遺族にも見られたくないような「恥ずかしいモノ」の処分についてなど、他の終活本ではなかなか触れられないけど、実は重要なテーマにも触れられています。

また、内縁関係の場合の年金や同性のパートナーがいる場合、子供が引きこもりの場合など、多様化が進む現代社会に即したテーマも取り上げられています。提示されている具体的アドバイスの中には、「目からウロコ」の内容もありました。

肝はやっぱり「住職ならではの話」

もちろん、著者の高橋さんがお寺の住職ですので、住職ならではのお話が満載なのも大きな魅力です。

普段、お寺や住職にはなかなか聞きにくい「お布施の額」などの目安も示されていますし、墓じまいや改葬の際の手続きの流れや、その際に発生する離檀料などについても書かれています。

終活を行うにあたっては切っても切り離せない「お葬式の話、お墓の話」を現役の住職が語っていただけるのは、やはりこの本の「肝」だといえるのではないでしょうか。

個人的には、「民法改正の解説」がいい

最後に、特別講座として民法改正の影響について解説されています。

本編からは外れるかもしれませんので恐縮ですが、遺言の制度改正や、配偶者居住権の新設など、とてもわかりやすくまとまっており、個人的にはここが一番気に入りました。


全体として読みやすく、かつ、なかなか聞けないお役立ち情報も入っていたり。

私も、本を執筆させていただけるとして、こんなに読みやすい内容にできるだろうか?

私自身、まだまだ勉強せねば。

いずれにしましても、これから終活を始められる方には、肩に力を抜いて読んでいただける「終活入門書」だと感じました。


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