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できることは、「すごいこと」じゃないといけないのか?


今の世の中生きやすいようで生きづらく、悩みは減るようで増えている気がする。ただ間違いなく良いことは、テクノロジーの発達によって一緒に考えられる人が増えたということだろうか。


先日たまたまテレビをみていたときに、「僕らは奇跡でできている」というドラマがやっていた。みる予定ではなかったのに引きこまれてしまって最後までみた。感動した。これは大事だなぁと改めて考えたのでここに記しておきたい。

まずはあらすじを書いておく。

主人公の相河一輝(高橋一生)は、動物行動学を教える大学講師。
大好きな生き物のことや、自分が気になることについて考え始めると、周囲には目もくれず没頭してしまう性格のため、時に人を困らせ、時に苛立たせる“変わり者”です。しかし、常識や固定観念に捉われない一輝の言動は、周囲の人々の価値観を大きく揺さぶり、いつしか好きなことに夢中になっていたあの頃の純真無垢な気持ちを思い出させてくれます。

物語は第7話

ある日、小学校を休んで家を抜け出した少年が相河先生の大学を訪ねてきた。当然お母さんは心配して迎えにくる。勉強もできない、学校も嫌がる息子にお母さんは、絵を書くときに使うスケッチブックを取り上げてしまう。少年は余計に嫌がり学校は行かず、先生のもとへ。家に泊まりたい少年を何とか連れ戻そうとお母さんは向かうが、話すうちに自分にできないことが息子にできたことを羨み、周りのみえない人からどう見られるかばかりを気にして、息子をちゃんと見れていなかったことに気づいていく。

本編はTVerでみることもできるのでじっくり体感してほしい。ある一場面が僕の中で特に心に残っている。

相河「先生のすごいところも100個言えます。時間を守ります、歯の治療をします、歯を綺麗にします、クリニックの委員長です、子供達に歯の勉強会をします、紙芝居を作れます。リスの橋を作るのを手伝ってくれます、作業も丁寧です、歩くのが速いです、餃子の形を揃えられます、よく食べます、箸を上手に使えます、会ったときにこんにちはって言ってくれます…」
水本「ちょっと待ってください、それって誰でもできることじゃないんですか?」
相河「誰でもできることは、できてもすごくないんですか?」

見終わってすぐ、そのままを残しておきたくて呟いた。

たった一言だったけど、とても大切な言葉のようにみえる。

僕らには何ができるのか、やりたいのか。何もできないし、やりたいこともないと思っている人も多いかもしれない。でもそれは、いつしか心の中で「こんなことはできるうちに入らない、やりたいことのうちに入らない、大したことないんだ。もっとすごいことにしなきゃ…」と線を引いてしまっているからだけで、目を凝らせばちゃんとあるものだと思い始めた。

どうしても外を向いてしまいがちだ。自分のことはちゃんと見れない。どこかの漫画にあった「才能は自分の見えないところにある」なんて言葉を思い出す。

自分にもっと指を向けて、ゆっくりと考えてみること。自分をちゃんと見てあげること。そう思ったときにいつも引っ張り出して『考えてみる』(大久保寛司著 文屋)という本の「指を自分に」の一節をひろげている。

人それぞれに それぞれの課題あり
逃げないこと
やけをおこさないこと
ふてくされないこと
恨まないこと
相手の責任にしないこと
どこまでも 指を自分に向けること
逃げても いつかは乗り越えなければいけない
やけをおこしても ふてくされても
よくなることは一つもない
恨んでも 相手の責任にしても
何も解決することはない
自分に指を向け どこまで己の責任と思えるか
そこから 次の道が見えてくる

自分をみるのは難しい。責任もそう、できることもそう、やりたいこともそう。でも向けてみないと道は見えてこない。

だから今日も指を自分に向けて、小さな「できること」を探してる。


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