アはアーケードのア 第33回『スペースシーカー』(1981年/タイトー)

異なる3つの遊びが盛り込まれたゲーム

 『スペースシーカー』は、タイトーから1981年に発売された、3つのまったく異なるシーンから成る戦略(?)シューティングゲームです。

 プレイヤーは、ステージ選択のためのマップ(リアルタイム性がある)と、横スクロールのシューティングと、コクピットビューのシューティングを楽しむことができます。

 当時も思ったし、今も印象は変わらないのですが、ゲームとしては粗いんですね。でも、不思議と好きなゲームで、お店で見つけるたびに意地になってプレイしてた覚えがあります。最初はとっつきが悪くて、えらい難しく感じました。

 粗い理由もハッキリしていて、当時としてはまったく違うゲーム性を一つのゲームにいくつも盛り込もうとし過ぎて、それぞれのステージがあまり練り込まれておらず、要素を詰め込んだ段階で製品化されている印象が強い。でも、そのつくりが当時としては意欲的に感じて惹かれた気がします。

 一つのステージにつき、ほぼ一種類の敵しか出てこない。単純な動きで、けっこうな勢いで突っ込んでくる。考え方としては、同年のコナミ『スクランブル』っぽい構成といえるかもしれません。でも、難易度的にはもっと激しくて、怒涛の体当たりに息が抜けず、気がついたら(自分が)死んでいる。

スピード感あふれる展開と独特の仕様

 各ステージが一発ネタ的な構成である代わりに、それぞれの行程が短くて、そこはすごく小気味よいんですね。自機の連射性能も高く、スピード感があってテンポがよい。全編通して重々しく暗い雰囲気も好きでした。

 一度クリアしたステージにもう一度入ることができるなんて(そこにはもう敵がいない)、アーケードとしては不要な仕組みなのですが、それも新鮮でした。ゲームデザインのセオリーが薄弱だった時代らしい仕様。強いていうと、サン電子の『ルート16』で、既にターゲットを取り終えたマップに再び迷い込む感覚が近いか。

 褒めてない感想も多くてごめんなさい。『スペースシーカー』はアーケードアーカイブスで復刻されていますが、個人的に、古いゲームの復刻は「名作」とか「おもしろい」というところを超えて作品が蘇るところに価値があるんじゃないかなと思っています。 了

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?