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マニラのスラム、Happy landに潜入

こんにちは、お久しぶり。実は最近、私の貯金が盗まれるという事件が発生してしまい、金欠の日々が続いている。フィリピンでは、盗難が日本と比べて非常に多いことは承知していたが、それにしても油断していた・・。

お金は日本円にして十万円近く、バックに入れていたものを盗まれてしまった・・まず現ナマをカバンに入れとく私も悪いのだが・・。

そして、お金を取られた私はなぜか奇怪な行動に出た。バギオからマニラへの片道バスチケットを買ってしまったのだ。なんで、という方がほとんどだと思う。理由はお金が消えたことが悲しすぎて、プチ旅行に出たくなってしまったのだ。財布の中身はほぼないくせに!

そして、お金がない私がマニラで豪遊できるわけもなく、マニラのスラム街に行ってみることにした。私は、海外に行くたびにスラム街に一度は潜入している変態である。ただフィリピンのスラム街へ行くのは今回が初なので、楽しみだ。

今回向かうのは、マニラ郊外にある、トンドという地区。ここは、貧困、ギャング、犯罪・・などで悪名高い地域だ。ネット上にも近づかないように、という記事が目立つ。でも行くな、と言われると行きたくなる少年の心を私はまだ持っていた。

深夜12時のバギオ発に乗り込み、いざマニラへ。バギオからマニラへは、5-6時間かかる。他の東南アジアの国で、バス移動27時間を経験した私からすれば、楽々チンである。

これ、どっかで見たような・・


うたた寝をしていると、午前3時過ぎ頃、マニラについた。深夜で道路がすいていたためか、思ったより早く着いた。ここはパサイバスステーション、目的のトンド地区までは10キロ以上あるが、早く着きすぎても暇になるので、歩いていくことにした。

夜明け前のロータリー、子どもが路地で寝ていた


朝が近いマニラだが、まだ暗い。バスを降りて、トンドへ向かって歩くが、道中には路上で寝ている子供や、明らかに反社っぽい集団などと遭遇。マニラの治安は改善されている、とは言われるが、ほかの東南アジアの国の首都と比較しても、明らかにやばそうなやつらが多い印象だ。特に、ストリートチルドレンはかなり多い印象だ・・。

トンドへの道のり
ワン公
トンド地区に近くなるたびに、下町感が増す


途中で朝食をとり、トンド地区へ。とりあえず、衛生環境が悪く、野良犬が怖い。人に関しては、あいさつをしてきたり、思ったよりフレンドリーだ。例えば、ルーマニアのスラムなんかは、薄暗く陰湿な雰囲気だったが、ここは人々皆明るい。貧困地区特有の悲壮感がなく、人々は生き生きと朝の通りを歩いていた。

トンド地区

Happy landに到着

ゴミの臭気が立ち込める


はい、到着しました、ここがトンド地区、通称『happy land』。ここで暮らす人々は『スカベンジャー』というゴミをあさり、それを売ったり、食べたりして暮らしている層が多い。そんな場所のどこがハッピーやねん、ともったが、タガログ語で『ハピラン』は捨てる、という意味だそうで。ごみが散乱するこの地区はそれをもじって『Happy lamd』と名付けられた。

朝からゴミを集める人々

ゴミの臭気が地区全体に充満していて、ハエがそこら中に飛び交っている。早朝の目覚ましいちょうどいい、すごい臭気である。

早朝だが皆早起きで活気がある

地区の中へ進んでいくが、このスラムがを見ていてふと思った。

ここの住民は、思っていた以上に明るく、楽しそうにしていた

ゴミの中で光る子どもたちの笑顔


ネット上には、貧困で悲しいスラムの現状が書かれていることが多い。しかし、人々は思いのほか楽しそうであった。子供たちは路上で遊び、崩れかけのインターネットカフェで談笑する人々、食堂で笑いあう人々・・皆貧困で苦しいはずであるが、私が今まで見てきたスラム街のような、暗く重い雰囲気はない。むしろ、金銭的に余裕のない生活ではあるが、人々はその中でも幸せに生きていることが分かった。

私がスラムに入って、変な奴らが絡んでこないか警戒していたが、子供たちは挨拶、ハイタッチをしてくるし、大人たちも笑顔で話しかけてくる・・私はいつの間にか警戒をほどいていた(ほんとは警戒して、注意しなければならないので、これはダメな例)。

ゴミの山
これを食べるのか・・


ただ、やはり人々の生活は厳しい。すさまじい臭気の中、子供も大人もゴミをあさっている。見ると、残飯だった。ここの地区では、これらを洗い、調理して食べている。『パグパグ』という残飯を再利用した料理である。私も味見しようと思ったが、お金もなく、海外保険も切れかけの私がこれを味見するのはリスキーだと判断し、取りやめた・・。食堂で10ペソ程度で売られているが、感染症や食中毒のリスクが高い。危険ではあるが、保険に契約した後味見してみたい。でも、ここの住民は無保険でこれを普通に日常で食べているわけだ・・病気になってもフィリピンの病院は高額なので、まず病院にはいけないだろうな・・。

細い路地の奥に進むと、明らかに視線を感じた。この地区は、明るいといっても、ギャングなどが多い地区でもある。また、フィリピンでは邦人が多く殺されている国であり、銃も簡単に不法所持できる。この地域で、いざこざは起こさないほうが身のためだ。住民に迷惑はかけたくないので、これ以上奥に進むのはやめた。

また会う日まで


ハッピーランドの出口に向かう。この地区は赤ん坊や子供の数が非常に多い。フィリピンは人口が増え続けている国であるため、少子化の進む日本とは真逆で子供、若者が多い。人口増加は国の発展に直結してくる。ただし、貧困層の割合が高く、貧富の差が激しい国でもある。


また、フィリピンでは、高校や大学を出ていないと仕事は、安い賃金の肉体労働か、日雇いの仕事しかありつけない。貧困で苦しみ、その日暮らしのこの地区の人々にとって、子供を学校に通わせるのは難しく、子供も仕事や生活の手助けに駆り出さざるを得ない。こうして、貧困層の子供が大人になり、その人々もよっぽどの逆転劇がない限り、不安定な安い労働をして生きていくことになる。貧困はこうして連鎖していく。

バギオの街並み


私が住むバギオは昔から富裕層、中間層が多く、ホームレスやストリートチルドレンなどはまずいない。気候も涼しく、治安もよいため暮らしていて、この国の問題である、貧富の格差を実感することは、あまりない。

経済発展が進み、繁栄するマニラでは、この格差という問題を肌で感じる。マニラは開発が進み、マカティなど高層ビル群が立ち並ぶエリアが増えた。ただし、まだハッピーランドのような、貧困地区はまだまだ多いのが現状だ。明らかに経済発展の波に、ここは取り残されてしまっている。

イントラムロスの馬車
暑いし、股擦れやばいし、眠いし

ハッピーランドを出て、お金もあまりないがちょっと観光しようと思い立ち、スペイン統治の面影が残る、イントラムロスへ。ただ、暑さと長距離歩行のダブルパンチで疲れと股ずれが痛すぎる。これに夜行バスの睡眠不足も重なって、教会だけ見て早々に帰りのバスステーションへ。疲れの影響もあってか、運悪くメーターを使ってないタクシーに乗ってしまいちょっとぼったくられた。もうこれ以上、私の金を奪わないでくれ・・。

発展し続けるメトロマニラ


お金=幸せ、ではないけどお金はやはり大切だ

帰りのバスでふと思った。ハッピーランドの人々はお金がなくても幸せそうに生きていた。ただし、お金がないことによって発生する問題もある。
私もお金を盗まれて、貯金はかなりの額消えてしまったし、これが消えたことによって年末に企画していた、久々の旅も延期濃厚である。ただし、お金が無くなった私でも、今日こうしてマニラを歩き貴重な経験ができた。お金がなくても、行動次第で人生は明るくなる・・でもお金は大切だ。

そんなよくわからないことを考えていたら、バギオに到着。あぁ、涼しくて治安もよくて、なんて安心安全な街なんだ・・。

とりあえず、消えたお金は貯めて取り返そうか・・。自分は貯金がなくても、寝食が問題なくできる。ハッピーランドではそれが当たり前ではなかった。私の今の環境に感謝するとともに、ハッピーランドの住民のために何かできないか・・そう考えながら家に帰った。

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