見出し画像

10年後を見据えた研修病院選び

どうなる医師の未来?!

働き方改革の波が来てますね。

2024年4月から医療法等改正法の下で施行されます。
具体的な内容はリンクを参照してください。厚労省サイト↓
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000818136.pdf

ざっくり分かりやすく言えば
・時間外労働時間制限 A水準960時間/年
・連続勤務時間制限 28時間まで
・勤務間インターバル 9時間以上
・代償休息(4時間以上時間外労働した場合は勤務扱いとなる)

などでしょうか。

専門医機構によるシーリングなど医師偏在化対策もそうですが
厚労省もなかなか思い切ったことをしてくれます。

働き方改革が施行されると
医師の働ける時間が間違いなく絶対的に減りますので
それでも回る病院システムの構築が余儀なくされます。

どうすればいいか。

「病院の統廃合と集約化」、です。これしかないです。

もう現実には起きていますよね。
新潟の病院や、仙台の病院、北海道でも統廃合例があります。

主に公立公的病院同士ですが。

実はコロナではっきりしたんですよ。
急性期病院を謳いながら、コロナ病床も確保しているのに、
いざコロナ入院を都道府県庁が調整手配しても受けられない
”自称”急性期病院だらけなのが実態だったと。

しかも病院って私立はもちろんのこと、公的病院であっても独立採算組織ですから、自治体の言うことなんて聞かないんですよね。

警察・消防などと同様に有事に働く社会のインフラを成す組織であるのに
統制は効かないと言う、危険な集合体なんですよ。病院って。

これを強権的に統制下に置こうとしてもうまくいかないんです。
地域の医師会やら議員やらが力を持っていますから。

システム、仕組みを先に作って、医師の労働衛生環境を守ると言う旗印のもとで、病院統廃合せざるを得ない状態を少しずつ演出する。

気づいた時には既に遅し。
病院単体の勝ち負けは決しているんです。

生き残る病院か、吸収される病院か

これ研修病院を選ぶ上でもとっても大事です。

臨床研修先って医師としての基礎力を測るのに使えるんですよね。
研修医に人気の病院って上級医にも人気のことが多いので
一人前の医師の就職の応募があったとき、履歴書で「どこでどんな研修をしてきたか」
必ずチェックし、大いに参考にしますよね。

吸収される側の病院で研修してしまった場合、
想像してみてください。10年後、その病院、存在しないとしたら。

40歳、ある地域で家を建てた。子供も育ち、進学のことも気になる。
その地域の病院で働くならここだな。
応募する、履歴書チェック入る、存在しない病院で研修を受けた、どんな人間かツテを辿る、悪評がある、Rejectされる、絶望する。

とここまで想定されるんです。ちょっと極端ですけどねw

ただ私のように医師採用に関わる診療部門長も
「臨床研修を受けた世代」に置き換わってきましたので

臨床研修の2年間は今後より一層重視される流れになっていますね。


生き残る病院の見分け方!

では、働き方改革で生き残る病院、どうやって見分けたらいいでしょう。

もう一度言いますが、吸収される側の病院は主に”自称”急性期病院です。
こういった病院は、経営が苦しいことが多く、社会貢献的な理念が希薄になっていることがままあります。

年度ごとになんとか食いつなぐような経営状態では
「教育」と言う長期的目線でしかインセンティブを得られない対象に
投資することなどあり得ないのです。なので

自称急性期病院 ≒  ハイポ研修病院

になっていると思います!


結論を言います。働き方改革で生き残る病院、それは


若い職員の多い病院
です!

医師であれば研修医、専攻医です。
看護職であれば、病棟を見学したら見た目でわかりますよね。失礼,,,


特に看護師は離職率が高く、それが課題とされます。

それは病院組織の中で最も人数が多く替えがきく一方で、
汎用性の高い資格持ちで、医局支配もないため転職しやすいからです。

看護師も、医師と同様に基本的看護技術の習得のため
大きな病院にまず就職することが多いです。

しかし研修医と同様に、もしくはそれ以上に新卒の看護師はつらいです。
環境変化と慣れない対人業務、先輩やお局からの抑圧、夜勤で不規則な生活リズム、権威勾配のつきがちな医師との関係、患者からのセクハラ、、、

やめずに耐えられる方がすごいと思います。

そんな中でも若い職員の比率が多い病院というのは、
「新人が辞めずにいられる」と言う意味で、労働衛生環境もよく、組織の風通しや新陳代謝もよく、成長感も得られる、持続可能性のある、よい教育病院ということになります。

研修医でもそれは同じですよね。

臨床研修を中断すると一生保険診療ができない医師になってしまうため、
さすがに「離職」する研修医はめったにいませんが。。

人事権を掌握する大学医局支配の強さにもよりますが、
人気研修病院、専攻医含む若手の多い病院、子育て女医の多い病院
そして彼ら彼女らの表情が明るい病院

これこそが、生き残る病院、研修先に選ぶべき病院だと思います!

病院見学での見どころ

どの病院でも全医師の名前をエントランスや外来の受付近くに
診療科とともに掲げてあります。

この中で、ぜひ女医さんの数をみてください。
多いほど良いです。

そしていわゆるハイパー科、消化器外科や整形外科などの女医比率に注目!

緊急手術が多いこれらの科では、組織だったスタッフ保護戦略がなければ
結婚出産子育てなど、ライフイベントの集中する若手女医は存在し得ません。

見学時はそんな女医さんへのヒアリングが有効です。

ただし大学医局に人事権掌握されている病院では
「行けと言われたから来た」ということも多いのでご注意を。


優良な研修病院をひとことで言うと


大病院や、がんセンターなどHigh volume centerが良い例ですが
つらさ と 成長感 は比例関係にあることが多いです。

労働衛生環境が守られていて、かつ成長感が強く得られる。
これこそが至高です。

つらくないのに成長できる病院
病院見学の際は、そんな優良物件を見つける目をぜひ利かせてください!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?