月の化石
星の死骸が集まる
星と星の間の空白を埋めるようにわたしたちは廻っていて、互いに繋ぎそびれた手が、宇宙の塵の中で所在なく浮かんでいる
いつか、掴めたかもしれない手、の、空白を握ることはできなくて、わたしたちには穴が空いている
埋めるための空白、わたしたちにはそれしかない
穴を、開けたのは誰か、なんてことをわたしたちは考えない
離れた人たちにだって、いい感じでいてほしいよねと、友達と話す
わたしたちの寂しさは細いミームになって微かな引力が関係性を保っている
近日点と遠日点を廻るふたりの間には安心できる場所が5つあるんだって、でも、わたしたち自身はそこにはたどり着くことはできなくて、言葉だけが惑星未満の塵として積もっていく
きっと、
いつか
約束するような言葉だけが響いて、きっともいつかも、ゆるやかに、夜の海のなかにほどけていく
海の中で降る雪のもとはそういった言葉の、寿命を終えた死骸なんだって、誰かが少しだけ寂しそうに言っていた
耳鳴りと区別のつかない残響がわたしの耳の中に、残って、わたしは彗星が離れていくのを見ている
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