見出し画像

最初の1冊が大事でやりたいことをやる

僕はウィンタースポーツに縁が無く、Jリーグが終わるとしばらくの間、隠居生活に入ります。ひたすら読書をしたり、海外サッカーを見たり、動画編集をしたり。そのせいかリーグ開幕の頃には、大勢の人の中に行く事に少し恥ずかしさを感じたりします。

そんな隠居生活を今冬もしていて、ゾクっときたことがあります。
それは自分の選ぶ本が数珠つなぎのように内容が繋がっていくことです。
最近ではAmazonや楽天で本を閲覧したり、購入すると趣味嗜好をビッグデータと結び付け、その人が欲していそうなものを表示するようになっています。例えば、重松清さんの小説をAmazonで買えば、重松清さんの関連書籍や児童文学を多く表示してきます。
本屋では電子書籍やECサイトの普及から経営が危ぶまれるところが多く、できるだけ売れる本を置くようにしています。そうすると何処の本屋も似たり寄ったりな傾向の本が多く、本の系統が市場へと巻き込まれていきます。

そんな中で他の影響を受けにくい本を提供してくれる場所といえば図書館です。ヒット本も取り入れてはいますが、本棚を見ると普段本屋では見ないマニアックな本や学術書、地域文化に根差した本など読書家にはたまらない空間が広がっています。
僕はネットで本の予約をしたり、実際に図書館に行って1時間くらいかけて1週間で読む本を決めています。特に小説に関しては特定の作家に依存せず、『ジャケ借り』ならぬ『表紙借り』をしています。『万葉集』から宇佐見りんさんの『推し、燃ゆ』まで並んでいるアルゴリズムという言葉とは無縁の中から本を選ぶ訳です。

当然、つまらなかったり、訳の分からない本に出会うこともしばしばありますが、先日読書家冥利に尽きる出会いがありました。
休憩中にホリエモンさんのYouTubeチャンネルで林真理子さんと対談している動画を視聴しました。

読書にハマったのもここ数年のことなので、林真理子さんの存在をこの動画で知ることになりました。
小説界では女帝というポジションにいながら知らないことに対して何度も「なんで?」と聞ける素直さ。言葉とは裏腹に目の奥に見える強欲さ。何かひと癖ある人や物が好きな自分にとって、林真理子さんはたまらない存在だと思いました。それから彼女の『コスメティック』と『野心のすすめ』の2作品を借りて読みました。
エッセイである後者は「欲」という言葉がよく似合う彼女の胸の内が書かれており、「自分の欲を満たすために、分不相応でも求めてゆけ」ということが胸に深く突き刺さりました。

『野心のすすめ』は読む人が読めば単なる自己啓発本っぽいエッセイにしか過ぎません。
ただ僕はこの本を読む前にアニメ『呪術廻戦』を見ていました。
このアニメの中で、五条悟というキャラクターが『本気の出し方』について問うシーンがあります。さらっと説明すると本気を出し切れていない生徒に五条悟は「もっと欲張れよ」という言葉を掛け、その後生徒は自分が最大値だと思っていた範囲からちょっと先に手を伸ばし始めます。
この呪術廻戦と野心のすすめが「欲張れ」というワードで繋がり、何か胸に火が付いた気がしました。

それからエッセイを読むのはスキルとしてタメになることは少ないかもしれなけど面白いと思い、マンチェスターシティの監督であるペップ・グアルディオラのバルサからバイエルン時代までを描いた『ペップの狂気』や名波浩監督の『夢の中まで左脚』などを読みました。
どれも面白かったのですが、群を抜いて面白かったのがお笑い芸人 オードリー 若林正恭さんの『社会人大学 人見知り学部 卒業見込』です。根暗で性根悪いと言われる若林さんは、自分自身と共通する部分が多く、もし本を出すのであれば、こんな感じになるんだろうなあと思わせる作品。
本書の中で最初の方は陰キャそのものだった若林さんは槙田雄二さんが書いた『一億総ツッコミ時代』を読み、行動が変わったと書かれています。

その本が気になり借りて読むと「ボケまくることが大切なんだ」と何度も書かれていました。
「ボケまくる」とはどういうことなのか。
テレビにお笑い芸人 ダウンタウンが登場して以降、僕ら一般人の生活にも『ツッコミ文化』が生まれました。例えば、会話中に噛むと直ぐに「あっ!噛んだ!」とか。
そしてインターネットが普及し、ツッコミ文化は更に加速。Googleや食べログ、アットコスメなど何かサービスや商品にミスがあると我先にツッコミを入れるようになります。
現在ではTwitterやYouTubeのコメント欄が典型的ないい例です。

つまり、世の中に圧倒的にツッコミの人間が増え、ボケの人間が減ったということです。
生活の中でいうボケとはなんなのか。
本書の中では、単におっちょこちょいな人間ではなく、何かに没頭している人や周りの目を気にせず物事に楽しむ人だと言っています。例えば、こうしてnoteを書いて発信していると「ムダ」とか「誰が読むんだよ」という声が少しは聞こえてきます。しかし、「誰かに発信したい」という思いよりも書くのが楽しいから書いているのであって、これはまさにボケだと言えます。
もっと広範囲な話をすると労働もボケだと言えます。
現在、日本国籍であればなんかしらの精神疾患を理由に仕事ができない状況を作れば生活保護を受給し生活を送れます。しかし、「人生を楽しみたい」という理由から人生を楽しむために必要な資金を労働で稼ぐという人類史上最大のボケをかましています。
人は何かしらボケているんだから、人の目を気にせず、自分の行きたい方向へ進んでいくだけだと本書を読んで思いました。

そんな林真理子さんの本を1冊借りた事で数珠つなぎのようなポジティブな期間に入ることができたのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?