見出し画像

「BBT」何の略?役員報酬と株式給付信託について。

こんにちは!
経営企画勉強中の南です。
インプットとアウトプットの好循環を目指した本ブログ、前回の投稿から2週間ちょっと時間が空いてしまいましたが、ここが踏ん張りどころ。頑張って続けていきたいと思います。
今日は「BBT」について書いてみたいと思います。

BBTと聞いて

さて、「BBT」と聞いて皆さんは何を思い浮かべますでしょうか?
私は大前研一さんが学長を務めるビジネスブレイクスルー(Business BreakThrough)大学が思い浮かびましたが、他にもあるかなと調べてみたら、
Best Broadcast Toyama television(富山テレビ放送)や、
basal body temperature(基礎体温)なんかもBBTと略されるようです。

ちなみに、新日(新日本プロレス)が誇る闘魂三銃士・橋本真也の得意技、こちらはDDTでしたね。小学生時代、土曜日に夜更かしして「ワールドプロレスリング」をよく観ていた私は当時特にパワーウォーリアーとホークウォーリアーのタッグチーム「ヘルレイザーズ」が大好きでした。パワーウォーリアーなる佐々木健介が、まさか北斗晶とあんな風に夫婦でお茶の間のテレビに出るようになるなんて。。
大学生の頃にプロレスをよく観戦しに行った時期がありました。「プロレスって八百長で全部演技なんでしょ?」と思う方もいるかもしれませんし、私も心のどこかでそんな風に思っていたのですが、いやはや一度プロレスの試合を生で観て選手の汗と息遣いを直に感じると、そんな思いは吹き飛びます。なんだか急にまたプロレスを生で観にいきたくなりました。(BBTについてのブログを書き始めプロレスを観にいきたくなる自分。笑)

ほかにも確かそんな名前の男性K-popアイドルグループがいたような気がしたのですが、調べてみたところこちらはBTSでした。

最後にもうひとつ「ロマンティックが止まらない」のはこちらはCCBでした。(完全にただ言いたいだけ。蛇足。)

そろそろ本題に。

ついつい長くなってしまいましたが(ここまでで800字)、本題に入ります。

今回テーマに取り上げる「BBT」はBoard Benefit Trustの略で「役員向け株式給付信託」を意味します。
(ここでのBOARD(ボード)とは、取締役など会社の主要メンバーを指します。よく「ボードメンバー」という時のボードですね。)

さて、役員さんの報酬って、一般的な従業員と比べてどのような違いがあるでしょうか?
もちろん会社によっていろいろですが、ただただ高い報酬を手にしているのではなく、そこにはよく考えられたいろいろな仕組みが用意されています。

・基本報酬(固定給)
・業績に連動して与えられる年次賞与(ボーナス)
この2つは一般的に馴染み深いかと思いますので詳しい説明は不要ですかね。「今期は業績がいいから次のボーナス期待できるな」なんて会話が良くありますが、頑張ったご褒美的な意味合いから年次賞与の事を「短期的インセンティブ」(short term incentive :STI)と呼んだりします。基本的には現金で支払われます。

長期インセンティブ

これに対して、長期的インセンティブ(long term incentive:LTI)と呼ばれるものがあります。その代表が「株式報酬」です。

役員には、ただただ現金をたくさん渡すのではなく、その一部を株式で支払う。
会社をうまく経営して会社価値が高まると、それに応じて株価も高くなるため、その分役員にも利益が出る。という事になります。
業績連動の賞与(ボーナス・現金)が2倍になるというのはなかなか難しいですが、何年かして株価が2倍、というのは十分に有り得ます。

株主の利益と役員の利益が同じ方向を向く事になるので、良く考えられた仕組みだなぁと関心します。

BBTは何に連動して決める?

この株式給付をより効果的にする仕組みがまだ幾つかあります。
BBTは何に応じて株式を支給するか。賞与(ボーナス)が毎年の業績に応じるのに対して、BBTは例えば「3年間での平均利益」と言ったように、中期的な指標に連動させる事が多いようです。

これは、毎年の業績だけを追求すると中長期的な投資を避ける事に繋がりかねないので、会社が永続的に利益を出し続けるためにも、中長期的な投資にもしっかりとインセンティブを働かせる、という効果を狙っての事のようです。よく考えられてますね。

最近ではサステナビリティ評価や脱炭素指標などに連動させるケースも出てきており、なるほど〜と感心してしまいます。

もうひとつ RS という仕組み

さらにもう一つ「RS」というものがあります。こちらはRestricted Stock(譲渡制限付き株式)というもので、一定期間(多くの場合は辞めるまで)を過ぎないと譲渡(売却)つまり現金化できない仕組みの株式を給付する、というものです。

「役員さんには高いお給料払ってるんだから、きちんと仕事してよね。株式でたくさん給付するけど、辞めるまで現金化できない仕組みにしてあるから、たくさん稼ぎたかったらマジ本気で仕事してくださいね。」と言ったところでしょうか。

任期途中で辞めたら不支給、と言った制限もつけられるようです。

ここからが面白いところ 各仕組みの組み合わせに会社の色が出る

長くなってきましたが、ここからが面白いところです。もう少しだけお付き合いください。

役員報酬にはいろいろな仕組みがある事がわかりましたが、各社、この組み合わせに特色が出てきます。
・固定給と変動給の比率はどうか。
・現金と株式の割合はどうか。
・短期インセンティブと長期インセンティブの割合はどうか。

昔ながらの日本企業と先進的なベンチャー企業ではだいぶ違いそうな事はイメージできると思います。今回も最後に具体の企業の情報を見てみましょう。

役員報酬の内訳、それほど詳しくは公開されていない事が多いですが、各社の有価証券報告書や統合報告書などを頑張って調べると見つける事ができます。

HONDAのガバナンス資料より。「執行役」の欄がいわゆる「役員」の欄。
執行役の報酬総額5.86億円が、固定給報酬2.65億円、短期インセンティブ1.88億円、長期インセンティブ1.33億円と割り振られて支給されている事がわかる。バランス良い印象。
こちらはユニクロ(ファーストリテイリング)の有価証券報告書より。取締役報酬6.02億円は、基本報酬3.61億円、短期インセンティブ2.2億円、長期インセンティブ0.2億円と割り振られている。長期インセンティブが少なめな印象。
注目度が日に日に増している超高利益率企業キーエンスの有価証券報告書より。
取締役は固定報酬のみで変動報酬(株式方式)なし。
これはこれで企業の確固たる信念を感じます。

終わりに

今回もつい長くなってしまいましたが、役員の報酬にはいろいろな考え方があり、それを調べる事でその会社の考えに少し近づける事がわかりました。

欧米の先進企業では、固定報酬(現金)と短期インセンティブ(ボーナス・現金)と中長期インセンティブ(条件付き株式)の割合が、1:1:1に近いようで、
日本企業でも同様の動きが進んでいるようです。

自社の役員報酬がどういう仕組みになっているのか、具体的にいくらくらいもらっているのか。
普段なかなかアクセスしにくい情報ではありますが、会社を理解する上でとても大事な一面でもあります。
公表されている情報からでもわかる事があるので、ご興味持たれた方は是非一度調べてみてはいかがでしょうか。


今日はこの辺で。
お読みいただきありがとうございました!!



補足
企業の役員報酬の開示例、良い資料を見つけました。ご興味ある方は下記リンク、ご参照ください。(リンクがうまく埋め込めませんでしたので、コピペお願いいたします。)

https://www.fsa.go.jp/news/r2/singi/20210322/02_7.pdf


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?