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クラウドファンディングを軸に、ファンドレイジング全体の設計を考えてみようという試み。

先ほど、READYFORよりプレスも出たのですが、新たにクラウドファンディング終了後の実行者さんに対して提供する「継続活用サポート」が始まりました。

noteで書くほどじゃないかもですが、SNSに投稿しようとしていたところ、紙幅が厚くなってしまったので、こちらに書きます。

※本題は[3]と[4]なので、忙しい方はそちらまで飛ばしてください。


1 NPOに必要な本当のファンドレイジングとは

READYFORで働き始めて気づけば5年目。これまでクラウドファンディングを通じ多くの案件に関わってきました。

個人の挑戦にとどまらず、チームやNPO、社団、財団、任意団体、企業、大学、自治体などのいわゆる“組織“がオーナーになる案件に多く携わってきました。中でも「公益」を目的としたソーシャル色が強い案件をメインに担当しています。

社会課題の解決のために汗を流し、奔走するたくさんの団体や志の高いアントレプレナーたちと、ご一緒し、毎日たくさんの夢を見させてもらってます。

しかしその一方で、NPOなどのソーシャルセクターに伴走する傍ら、悲鳴にもとれる声も多く聞こえてきました。

「今年はお金が集まったけど、来年は分からない。」

「使途が自由な財源が限られ、専従職員を置けない。」

「残業代が出せないから、私(理事)が巻き取っているんだ。」

「今の地域(規模)での活動なら回せるが、本当にやりたいのはもっと大きな事業。しかし、資金調達が難しい上に、今そのお金が目の前にあったらガバナンスが崩壊する。」

などなど…。

 ・取れるかわからない助成金。
 ・いつ打ち切られるかわからない企業寄付。
 ・来年も採択されるかわからない受託事業。
 ・成功するかわからないクラウドファンディング…。

NPOの運営にはリスクはつきものです。

だからこそ、リスクヘッジは必要で、「特定の財源に依存しすぎないこと」はマスト。

ソーシャルセクターや大学などの資金調達手段の多元化は、国の事業仕分けや経費削減が深刻な課題になるなかで急務となっています。(最近は新型コロナウィルス感染拡大の関係もあり、財源に関する悩みはあらゆるところからちらほらと聞こえてきます…。)

そして、もう一つ重要なのが「使途」の自由な財源の獲得。

寄付者の中にも、「これは全額被災地に届けてくれ!人件費や間接費に充てないで!」という方が今もいるのは否めませんが、人件費や間接費の考え方についても、皆が正しく理解すべきであると考えます。

従事するスタッフが皆、報酬(サラリー)のために働いているかといえば絶対にNOです。しかし、正当なリターンを受ける必要があるはず。むしろ健全なガバナンスを保つためには一定の人件費・間接費は絶対必要です。

NPOは本来の用語の意味に照らせば、営利を追求する組織体ではないので、追求すべきは売り上げなどではないですが、資金が底をつくなどの事由で活動が閉ざされ、受益者たちを蔑ろにしてしまうことはあってはなりません。

そのためにもNPOに必要なものはやはり、団体の基盤を整えるための「ファンドレイジング」だと僕は思います。ファンドレイジングなくして、事業の実施は叶いません。

*助成金や委託などの批判をしたいわけではありません。それぞれにルールや特性・強みがあります。それらをファンドレイザーは認識し活用する必要があります。

*事業収入型でスケールできるNPOは、寄付収入ではなくその形態で安定的な発展を目指すことの方が重要な場合もあります。現に、そういった団体もあるので一概には言えないので難しい…。団体が100個あれば、取るべき施策も100通りと言うことはまさにそうだと思います。

2 クラウドファンディングは安定財源になりうるか

団体に対してさらに安定的かつ大きなお金の流れを作っていきたいという気持ちが高まり、実は今はキュレーターを退いており、昨年の7月より経営企画室で事業開発を担当しています。

この半年は、事業作りの難しさも感じつつ、ファンドレイジングの全般的な概観を掴むための時間に充てることができました。

色々と団体の方々へヒアリングをする中で、僕がまず実現したいと思ったのは、クラウドファンディングが「安定した財源が獲得できるツール」になることであり、「団体のファンドレイジングの戦略とがっちり絡ませる」ことです。

安定財源と聞くと、ファンドレイザーの方は「マンスリーサポーター」を思い浮かべると思います。それを、クラウドファンディングの持つイメージに照らして考えたとき、下記に分けられると考えています。

マンスリーサポーター…定期会員になってもらうことで、毎月資金提供いただくサブスクモデル。支援者が会員になるハードルを下げることが重要。初期は支援者管理コストが高くつくが、スケールすること(かつ解約率を下げること)で安定財源になりうる。
クラウドファンディング…不定期で実施するキャンペーン。資金需要が発生したタイミングで活用。NPOが実施する国内の事例だと100〜2000万円くらいが目安。All or Nohingであれ、All inであれ目標額まで支援が集まらないリスクも伴う。

おそらくこれが今までの認識だったのではと思います。

しかし、改めてデータの検証をしていると、クラウドファンディングを年一回のスパンで実施をする団体、いうなれば「アニュアルサポーター 」の獲得の位置付けで実施している団体は、「毎年のリピート支援者割合」「達成率(目標金額以上の支援が集められる成功確率)」が高まっていることがわかりました。

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そう捉えると「継続的に毎年1回クラウドファンディングを活用」して集まった支援者は、下記の様な「アニュアルサポーター 」として位置付けられるはず。

アニュアルサポーター…毎年1回を目安に支援してもらうサポーター。継続的に活用することで、過年度で実施するプロジェクトの資金源などに向いている。また、マンスリーサポーターとの併用も可能で、毎年の目標金額を設定しながら達成を重ねることで安定財源になりうる。

このときネックになるのがクラウドファンディングそのものの達成率になるのですが、クラウドファンディングは準備がしっかり整っていて、しっかりと広報を実施でき、適切な目標金額を設定できている場合には未達成のリスクはとても小さくなります(*募集期間中に適切なPDCAを回す余力があるか否かも重要です)。

故に、毎年の達成を積み重ねることができれば、不安定なはずのキャンペーンの財源も安定財源になり、アニュアルサポーター獲得のためのクラウドファンディングは実現できるのではないかなと。

そもそも、「クラウドファンディング」というものがない時代にも「夏募金・冬募金(歳末募金)」などはそもそもありましたし、ある意味アニュアルサポーターの獲得はどこもやっています。

設計が上手な団体は、毎年の夏募金・冬募金もクラウドファンディングモデルで実施している団体も散見されます。

その過程で、財源を大きくしている団体は、「マンスリーサポーター」も「アニュアルサポーター 」も両方を、増やすことができていますし、両立ができないことはあり得ません。

例えば、
 ・「マンスリーサポーター」が増えた結果、
  「アニュアルサポーター」が減った。
 ・「アニュアルサポーター」が増えた結果、
  「マンスリーサポーター」が減った。

は、個別の事例を見ればその可能性もありますが、全体で見ると総数は共に増えていると思うのです。

うまく活用することで、「マンスリーサポーター」を増やしつつ、「クラウドファンディング」も成功させることは可能です。

(参考)
 ・1,000円のマンスリーサポーター100人から1年間で120万円集めることと
 ・10,000円の支援者120人から毎年1回のクラウドファンディングで120万円集めること

 これらの「支援者の性質の違い」は、クラウドファンディングを実施したことのあるファンドレイザーであればなんとなく想像がつくはず。それぞれの役割が大きく異なることと、難易度・費用対効果が異なります。

 また、これらが、マンスリーサポーター1,000人、クラウドファンディング1,200人でそれぞれ1,200万円集める場合も然りです。

(紙幅の関係でそれぞれの特徴の解説などは、需要があればまた後日…。)

3 継続活用サポートを開始します

[1]〜[2]の背景もあり、この度、【無料の】継続活用サポートを始めることにしました。

クラウドファンディングを実施したけれど、 

「せっかく熱量高く応援してくださった、支援者さんとのコミュニケーションの設計に困っている」

「キャンペーンが終わった後の活動報告や支援者対応の優先順位が上がらず、支援者離れが起きてしまう」

「法人を作り立てなこともあり、支援者対応ロジなどが固まっていない」

「年間のファンドレイジング計画を見直して、クラウドファンディングを組み入れたいがどうしたらいいかわからない 」

などなど、ヒアリングをする中でたくさんの悩みをお寄せいただきました。

それらの悩みに応えるべく立ち上げたのが、この継続活用サポートです。

▼説明資料は下記よりダウンロードできます。

端的にサポートの内容を紹介しますと、下記になります。  

(1)CFの振り返りセッションへの参加
→CF終了後に「実施すべきファンドレイジング施策」の提供と、翌年のCF活用に向けた対策を実施します。ファンドレイジングの基本の「き」から応用まで。プロジェクト・支援者分析データ/支援者コミュニケーションノウハウの提供等を通じて、今後に実施していくべきことについて解説します。隔週をめどに実施予定で、昼の部(13:00~15:00)・夜の部(18:30~20:30)を設けています。(オンライン参加もできます)
(2)個別の振り返りセッションの実施
→(1)の内容などをもとに、年間の計画を立てる団体別のセッションです。ワークシートなどを活用する可能性があります。個別相談/戦略立案支援を通じて、次回のCFの活用に向けてご相談に乗ります 。
(3)READYFORのイベントスペースでのイベント開催支援
→半蔵門のRFオフィスのイベントスペースにて、CFの報告会などを目的としたイベントの開催を支援します(こちら、有料になります。そして基準や条件などありますので、全てのご案内ができるわけではありません。個別相談ください)。
*新型コロナウィルスの感染拡大の影響で、情勢を鑑みご提供させていただきます。
(4)CF勉強会へのご招待(不定期)
→クラウドファンディングの最新の潮流や、先駆的な活用事例の紹介をする勉強会を実施予定です。すこし上級者向けの内容で、ゲストを招くなどして実施したいと考えています。こちら、Facebookなどでイベントページなど立ち上げると思いますので、またお知らせします。

一旦の提供内容は上記となります!ただ、実行者の方々がが次の一歩に踏み出すためにどんどん提供するものを良くしていく予定です!

お申し込みは下記からできますので是非是非お申し込みください!(対象はREADYFORで過去にクラウドファンディングを成立させた方に限ります。)

https://forms.gle/ugWc1q1PYyY98Ap27

↑振り返りセッションへの申し込む事で継続活用サポートをご利用頂けます。

【注意】
*次年度以降も継続的にREADYFORでのCFの活用検討している方向けのサポートとなります
*サポート自体は【無料】です!CFやる方は申し込まない手はない!(と思っている)

4 さいごに

READYFORが何年か前にこんなコピーを掲げていました。

新プラン登場。あなたのクラウドファンディングタイプを診断しよう_-_クラウドファンディング_Readyfor(レディーフォー)

「挑むからには達成を。」

この言葉を掲げ、一つひとつのプロジェクトに全力で関わってきました。

集まるか集まらないかわからないけど毎年博打を打つのではなく、毎年毎年、支援者さんとの接点を確認しながら仲間を増やしていく、クラウドファンディングがそんな位置付けになればいいなと思っています。

達成後、集まったのはお金だけではなく、そこには多くの支援者がいるはず。その方々の声援を背に受け、新しい一歩を踏み出すのだということを忘れてはなりません。

クラウドファンディングは確かに、“大変“です。
でもその“大変“な中で手掛けたテマヒマは、絶対に無駄にはなりません。

だからこそ「簡単に資金調達ができる状態」を目指すのではなく、「きちんとしたファンドレイジングを実践することで、成果が伴う」状態を僕は作りたい、と考えています(僕の持論です)。
※もちろん、支援のしやすさなどの“手軽さ“はPFとして極めていくべきと思っています。

一過性のクラウドファンディングから、
サステナビリティのあるアニュアルクラウドファンディングへ

これを整えることがソーシャルセクターの組織の基盤を整える上で、大事になるはず。文中でNPO、NPOと書きましたが、これが大事なのは企業も事業者も大学も一緒。

今後も色々なお金の流れを作っていくにあたり、クラウドファンディングを軸に、ファンドレイジング全体の設計を考えていければいいな、と思っています。

いろいろと検討を重ねながら進めるコンテンツでもあるので、皆さんにも叩いていただきながら作りあげていければと思っています。

そして最後に。
大事なことをもう一度。

サポート、【無料】で始めるので、是非お申し込みください〜。笑
https://forms.gle/ugWc1q1PYyY98Ap27

以上!



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