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ガスライティングされて逃げたり撃退したりした話

「ガスライティング」というものをご存じでしょうか?
簡単に言うと、ターゲットをじわじわと追い詰める心理的虐待のことです。
そもそもは1944年公開のアメリカ映画「ガス灯( Gaslight)」から派生した俗語ですが、アメリカでは2022年の”今年の単語”に選ばれるほど浸透しているそうです。

実はこの「ガスライティング」は僕が昨今調べている自己愛性パーソナリティ障害の人がよく使う手口でもあり、調べてみると結構やられたことがあるなーというのと、意外と僕自身は反発してはねのけてきたということが分かったので、思い出しながら書いてみることにします。
周りにどう考えても人格の破綻している人がいる、攻撃されている、なんかこの人といると自尊心が壊されていく、自分で自分が信じられなくなっていく……そう感じたことのある人は「ガスライティング」されているかもしれません。

ガスライティング

では具体的に「ガスライティング」とは何なのでしょう?

目的

「ガスライティング」の目的は洗脳と、そのための人格破壊です。
巧妙なモラハラによって相手の人格を破壊し、洗脳して自分に服従するように仕向けるテクニック、それが「ガスライティング」です。
なお、加害者は誰に学んだわけでもなく、自然にそれを行うようです。

ガスライティングの内容

・暴言
・否定
・嘘
・故意に誤った情報を提示
・ターゲットを孤立させる

これらを上記の目的で行ったものが「ガスライティング」です。
毎日のように暴言を吐き、否定を繰り返し、まずはターゲットの自尊心を粉々に打ち砕きます。
そして嘘や間違った情報を提示し、ターゲットがそれに従って行動し、失敗したらまた暴言と否定。
仮にターゲットが嘘を見破って問い詰めてきてもやはり暴言や否定で応酬するそうです。
中には否定するためにあえてバレバレの嘘をつき、それを問い詰めてこさて返り討ちにするケースもあるとか。
そうしてターゲットから人間性を奪い、支配していくそうです。
ちなみに、暴力の行使やストーキングとはまた違うようです。

さて、これまでの人生でたぶんあれがそうだったんだろうなーというのがいくつかあるので、それらをご紹介しましょう(ある程度はぼかしています)。

否定しかしない人たち

関西にいた頃、身近に否定しかしてこない人が何人かいました。
といっても関西人はわりと否定しながら話を進めるといった文化があるので(いわゆる”つっこみ”文化)、多少否定が多いぐらいは普通だったりしますが、それにしても病的なほど否定的だった人たちが何人かいました。
僕の好きなものは「くだらない」、着ている服は「ダサい」「似合ってない」、何か言えば「違う」「分かってない」「お前はアホやから」、僕がやりたいことに対して「やめとけ」「お前には無理」などなど毎日毎日、一言一句、一挙手一投足否定してきます。
いい加減うんざりしてしゃべらなくなったら「黙っているから何考えてるのか分からない」……
もちろん心底嫌な気分になっていましたが、関係性から逆らい辛い相手なので、結構長い間「ガスライティング」を受け続けていました。
随分昔なのでその時の心理状態を思い出すのは難しいのですが、なんとなく、従うか逆らうかという二択で考えていた気がします。
そうして僕は後者を選びました。
従っていれば「ガスライティング」は完成し、今でも僕はそのうちの誰かの奴隷になっていたかもしれません。
けっこうそのギリギリのところまでいった記憶もありますが、最終的には自分の意志を通すことができました。
どう逆らったのかはちょっと書けませんが、まあ最終的には完全に距離を取って関わらないというところまで到達できました。

バンドクラッシャー

こちらの書籍で書いたバンドクラッシャーが僕にしていたことも、今考えれば「ガスライティング」でした。

こちらで無料で読めます。

簡単に言うと、クラッシャーはバンド内で僕の地位を下げるため、僕をさんざんいじり、馬鹿にし、そういった空気を作って僕をバンド界隈で最下層民に落とすことに成功しました。
その後耐えきれずやめると言うと、なんとも下卑た薄笑いを浮かべながら辞めることすら馬鹿にしてきました。
その後僕は彼らと一切縁を切り、一言も言わずにアメリカに行き、音楽修行をして帰ってきました。
そうして彼ら、特にクラッシャーと縁を切ったおかげでミュージシャンとして成長でき、今に至ります。
ちなみに、このクラッシャーや一緒に僕を馬鹿にしていた人たちがミュージシャンになったという話は今でも聞きません。

生徒から

実は一度だけ生徒から「ガスライティング」を受けたことがあります。
その人は最初はちょっと変わった方だな、なんとなくやりにくいなぐらいに思っていたんですが、あるときから突然僕の教えることに対して懐疑的になり、何を言っても「ええ~そうですかね~」「自分はこう思うんですが…」「なんでそう言えるんですか?」「こうじゃないんですかね~」といちいち反論してくるようになりました。
それもなんというかとても粘着質な嫌~な言い方で。
最初は『何言ってんだこいつ?』と思いつつも丁寧に説明して理解を促していたんですが、ずっと懐疑的な態度に接し続けているとだんだん自分の言っていることが間違っているのだろうか?と思えるようになり、その生徒さんへのレッスンがちょっと怖くなってきました。
「ガスライティング」の目的は、ターゲットの自尊心を奪い、自分を見失わせて洗脳し、支配することにあります。
この場合は僕のレッスン内容に疑問を提示し続け(本当に一言一句でした)、実際に自信を失わせるところまで追い詰めてきたので「ガスライティング」が成功しかかっていたといえるでしょう。
その後、何度注意しても態度を直さず、最終的に非常に失礼なことを言ってきたので意を決して強制退会処分を下しました。
結果的に自分から相手を排除したので、支配は免れることはできましたが、今考えるとちょっと危なかったなと感じます。
このように、生徒が講師に「ガスライティング」をしかけるというケースも実際にあります。
部下から上司への「ガスライティング」もあるのでしょう。

モンスターペアレント

以前教室ブログで書いたスパモンこと、スーパーモンスターペアレントも、そういえば「ガスラティング」してきました。

この場合は嘘をつくことでした。
子供のためだと思ったのか、嘘をついてレッスン内容ひいては僕自身をコントロールしようとしてきたのですが、それが嘘だとバレると、あせってポイントをずらしてきました。
とりあえずそこは収めたものの、今度はまた内容について口出ししてき、希望通りにしないとレッスンを退会する、その際は入会金と月謝を返してほしいとまで言ってきたので、きっぱりお断りすると後日先方から退会を申し出てきました(お金は返していません)。
これも子供を使った卑劣な「ガスライティング」ですが、わりと早めに撃退できていますね。
とはいえ、精神的にめちゃくちゃ疲れたし、ショックも大きかったので僕はこれ以降子供に教えることを断念しました。
子供がどうこうではなく、保護者の「ガスライティング」を避けるためです。

どうしたの?

実は前々から気になっている現象がありました。
ずっと名前がつけられるもやもやしていたのですが、ようやくそれが「ガスライティング」だと判明し、なんか腑に落ちた気がしています。

例えば、相手がどう考えても悪く、それを突きつけ問い詰めている最中、その相手から「どうしたの?」と言われたことはありませんか?
「大丈夫?」「様子変だよ?」「疲れてるの?」「何かあったの?」などなど、一見こちらを心配するような言葉も同じです。
これを言われ、本当に心配そうな顔をされて話がこんがらがったり、なぜか立場が逆転したり、あるいは本当に自分がおかしいと思えてきたりしたら、それこそ相手が巧妙に仕掛けた「ガスライティング」です。
そもそも、これを言う相手は自分が窮地に立たされていることは百分かっています。
その上でこの場を逃れたり、こちらを煙に巻くために心配しているふりをしているのです。
この「どうしたの?」には『あなたは今普通じゃない』『あなたはおかしくなっている』『今あなたは変な人間に写っている』『あなたは頭が狂ってしまった』というニュアンスが含まれています。
そして、それを真顔で、あるいは心配そうな顔で言われると、だんだん本当に自分がおかしいのかと思えてきます。
それこそ相手の思惑なのです。
ちなみに僕は一番最近これをやられたとき「どうもしていない」「自分は正常だ」と言いながら何度も話を元に戻そうとしましたが、相手は相手で「どうしたの?」「話聞こうか?」と繰り返すだけで、全く議論が進まず、最終的にはなんかこちらが折れた感じで終わった気がします。
その後すぐこの人とは疎遠になりました。
この一件で、「ガスライティング」とは異常な精神の持ち主が悪意を持って行うことなので、正論だけではまず勝てないということがはっきり分かりました。
ただ、このときも「どうしたの?」に対して「どうもしない」「自分は正常だ」「おかしいのはあなたのほうだ」と反論し続けたため、洗脳や支配は免れています。
相手もその後なにもしてこなかったので、僕のことは簡単にコントロールできる人間ではないと諦めたのでしょう。

結果的に「ガスライティング」をはねのけてきた

と、結果的に僕は「ガスライティング」をはねのけて生きてこれたようです。
比較的細かい違和感に気づく方なのと、わりと自己主張でき、嫌われたらそれはそれでいいやというタイプなので、ぎりぎり助かってきたのでしょう。
また、バンドクラッシャーなど、「ガスライティング」を受けた結果、大幅に自分を成長させられたこともあります。
だからといって感謝はしませんが。
僕は偶然そういう結果になりましたが、逆に「ガスライティング」から洗脳、支配へと進んだ人も多いようです。
そうならないためには、まず「ガスライティング」について知り、理論武装しておくことが何よりです。

ガスライティングは関係性の危うさを照らす”ガス灯”

改めて考えると、「ガスライティング」は正に関係性の危うさを照らす”ガス灯”です。
それ自体がどうこうというより、それが照らす先にあるものを予測し、早めに対処するために存在していると考えるべきでしょう。
ということは、「ガスライティング」を「ガスライティング」であるといち早く認識することが何よりも重要です。
なんか否定がやけに多い、なぜかしょうもない嘘をつく、自分の間違いを認めず、なぜか突然こちらの体調を心配してくる……
そんなことがあったらすぐに「ガスライティング」を疑い始めましょう。
心の中で疑うだけなら誰にも迷惑はかけません。
そうして、その相手がどこに着地させたがっているのか、自分との関係性をどうしたいのかを冷静にシミュレーションしてみましょう。
相手が自分を支配したがっているとわかれば、早急に逃げるか、それが無理なら勇気を出して戦いましょう。
僕のように「ガスライティング」に対してひたすら反論を言うだけでも効果はあります。
何もしなければ、じわじわと人格を破壊され、気が付けば相手の言いなりになっているという可能性もあります。

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