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[ちょっとしたエッセイ] ヤンとナオミに囲まれて

 自分の好きなもの、それは普遍的テーマかと思いますが、あくまで個人的に好きなものを綴るということは、共感ばかりではないだろうし、趣味わるいなと思う方もいるかもしれません。そして、勝手に好きと言っても、四六時中「好き」なものなんてあり得ません。短期的にあったとしても、継続的なものにはならなかったり、熱が覚めれば忘れてしまうことも多々あります。ということで、今の自分を虜にしているものに限定して、語らせてもらおうと思っています。
 月並みですが、僕にも好きなミュージシャンがいます。それを少しご紹介。今回は、『Jan and Naomi』(ヤンアンドナオミ)という男性2人のユニットです。
 ほぼ毎日といっていいほど、1曲は必ず聴きます。僕はSpotifyを利用していますが、毎週月曜は気持ちのリフレッシュも兼ね、プレイリストを作ります。その中にはやはり1曲は必ず組み込まれます。それだけ自分の耳に馴染む、心地よい楽曲が多くあります。

 もう何年も前の話。渋谷の百軒店という路地があります。その奥まったところにHesoというレストランバーがありました。ありましたということは、今はありません。当時、知人に誘われてその店にはじめて入り、そこの小さなステージで、彼らを見ました。黒ずくめのロングヘアの男性二人が、ギターを片手にきれいなハモりを効かせて歌っていました。その空気は、どこか懐かしさを呼び起こしました。興味をかき立てられ、知人に伺うと、この店でよく小さなライブをしているということでした。
 ポストパンクやシューゲイザーのような、そしてポストロックなんかも含んだ楽曲に漂っていました。そんな90年代〜2000年代の音楽を反映したような感じに僕はどっぷり。
 小さなBarで演奏したり、小さなライブハウスなんかでもやったり、度々足を運びました。そしても今も。知らずに時代は、自分を追い越して新たな若者文化を築いていたと、勝手に思っていた年寄めいたことを考えていた自分に、まだまだあの時代(僕の青春期)が潜んだ若いミュージシャンがいるんだと、励まされるようでした。
 とかく、そんな感傷的な理由もありつつ、ミニマムでシンプルなライブサウンドと、静かで叙景的な詩は、文学的でもあります。そしてなんといっても、この二人、高身長でかっこいい(こういう人間に生まれたかった)。
 Jan君は、ハーフで現Great3(90年代の渋谷系音楽ファンはわかるはず)のベーシストもやっています。歌声も低音でやさしい感じ。メインボーカルのNaomi君もそのウィスパーボイスと楽曲センスは惚れます(映画音楽なども手掛けてるし)。
 決して若手というほど若いわけではありませんが、メジャーシーンにはいないような個性とセンスが光るユニットです。
 先日、久しぶりに渋谷の百軒店をふらっと歩いたら、Hesoはなかったけれど、ちょっと歩けば、あのフリッパーズギターのふたりが好きだったカレー屋があり、はっぴいえんどやシュガーベイブなんかもその昔、この界隈にたくさんあったロック喫茶を根城にしていたとか。ここは音楽が常にある場所であることを思い出して、胸が熱くなりました。

以下、Jan and Naomiのライブ映像です。ぜひご視聴いただければ幸いです。
駄文におつきあいいただき、ありがとうございます。


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