ケンヨウ

日々の思いや鬱積したものを文章にしてみようとはじめました。 池袋に生息中。 表現のジユ…

ケンヨウ

日々の思いや鬱積したものを文章にしてみようとはじめました。 池袋に生息中。 表現のジユウ、平等のアイ、言葉のハコ。普通に生きたいだけなのに、なんだろ生きるのって結構大変です。小さな出版社で働くフツーのサラリーマンです。

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  • すこし詩的なものとして

    言葉を書き留めていきます。

  • ケンヨウの階層

    自分自身に関わる文章を書きとめていきます。仕事のこと、生活のこと、いま夢中なことなど僕自身についてです。

  • コトバでシニカルドライブ

    頭の中でたまーに構成する言葉とコトバ。 その組み合わせは、案外おもしろいとボクは思う。誰に向けるでもなく、自分の中にあるスクラップをつなげてリユース。エッセイや小さな物語を綴ります。

最近の記事

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[ちょっとしたエッセイとおしらせ]一寸先にある未来

 昨年末、1カ月ほど、ちょっとしたアルバイトをいた。年の瀬の週末だけの、なんだか特別な時間に働くのはなんだか悪くないといのが、働き終わっての感想だ。  電車に乗って、各駅停車しか停まらない駅で降りる。仕事場は、住宅街の中にある古い木造の家で、ガラガラと扉を引くと、ミシンの音とシンナーの香りがした。仕事内容は至ってシンプルで、ハサミで革を切り、仮止めのためのテープを貼ったり、たぶん教えられれば誰でもできることを、ひたすら何時間もやり続けた。手袋をはめて、分厚い革にハサミで切れ込

    • [すこし詩的なものとして]0162 夜明けに酔いながら

      街の灯りがすでに消え 包まれた闇にぼくらは畏れる 静寂はゆるりゆるりと押し寄せて 胸の奥に小さく渦巻いていく 薄らぐ闇は人の世の 行き場のない あらゆるまばらな憎しみが 薄い膜のように ゆらめいている 栞を挟んだ上製本 電車の中で読むには少し重い 口に出したら鳥のように 啄む虫の音が響き出す 白ばむ空に 漂う言葉 夜明けが近づくにつれ 少しずつ光が差し込んでくる 闇は薄らぎ 世界は明るくなる 朝日は希望へ 重く垂れ込めた雲 星のない夜空 冷たく光る街灯 投影された影

      • [すこし詩的なものとして]0161 春の午後

        柔らかい陽射しが降り注ぐのは 古びた板の上 まどろいが包む 窓辺に揺れるカーテン 風に揺れる草木 鳥はさえずり 遠くで小さな子たちのはしゃぐ声 思考は止まり 目を閉じ ぼんやりと心地よい眠りに誘われる 光と影のダンス 追いかけても追いかけても掴めないのは何か それでも生きた心地 ふと目を開けると 庭のたどりついた一枚の花びら もも色の花びらは風に舞っている わたしの背中にそっと触れる なにかの香りは季節を運ぶ 人は忙しく動き回り なんのために生き急ぐのか いつも何か足

        • [すこし詩的なものとして]0159 幸せな午後

          太陽が昇った 静けさは眠りから目覚める 世界はまだ眠ったままか 窓辺から世界を見る 静かに風がそよぐ 窓辺に揺れるカーテン 風に揺れる草木 鳥のさえずりは子どもたちの笑い声にはずむ やわらかい陽射しが降り注ぐ 縁側のまどろむ午後 何も考えずに ただ目を閉じる 心地よい眠りに誘われる 夢は光と影のダンス 追いかけても追いかけても 掴めない何か それでも 幸せな午後 にゃー ———————————— ぬこ、むこ、るこ、はこ、ほこ、なこ、のこ、まこ、ねこ。

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        [ちょっとしたエッセイとおしらせ]一寸先にある未来

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        記事

          [ちょっとしたこと]気づけば春だったよ

          「春に疎い」のは、仕事柄、いや勤めている会社のせいだと思っている。なにせ一般的な会社と比べて会計期が3月で終わらない会社であるためである。それは仕方がない。晴れやかに迎える4月がないことは、季節感を失わせるには十分すぎる。  今朝、電車に乗ると他人事の世界で新しく生きる新社会人を何人も見かけた。見ていて清々しい。他人事の世界ではフレッシュな人たちが大いに会社を盛り上げてくれるだろう。そんな自嘲を込めたことを考えながら、外へ出るとあたたかな風がそよいでいる。ここらあたりから、否

          [ちょっとしたこと]気づけば春だったよ

          [ちょっとした物語]長袖を着ると弱くなる気がする

           見上げた天井は、どこか虚ろで、今までも、これからもずっと変わらないのかななんて思って眺めていた。少し湿った空気が辺りを漂う土曜の昼下がり。  なにかするにも、ままならず、ずいぶん前に撮った六本木の写真をインスタのストーリーズにアップする。たかだか200人くらいのフォロワーのための虚しい作業に、いつものように後悔をする。ものの数分で3つのいいねがついて、そのあとパタっとなにもなかったように、めくるめくフィードが更新されていく。  この虚しさにもだいぶ慣れてしまった。虚しいだけ

          [ちょっとした物語]長袖を着ると弱くなる気がする

          [すこし詩的なものとして]0158 路をゆく

          枯葉舞う公園のベンチ 静寂に包まれた 冬の陽射しはとても冷たく 頬を刺す風は容赦ない 街は虚しさに満ちている 冷えたコンクリートの壁 薄くも血の通わないガラス窓 人はみな忙しなく まるで舗装された路を行くように ただ前を向いて歩き続ける 温もりはどこに行ったのか 街に響くのは 風の音と足音だけ 曲がりくねった坂道を ただひたすらに歩み続ける 振り返れば 青春だった夢は薄らぎ 先を見れば 孤独の影が伸びるだろう それでもなお 歩き続けるのは 苦しみなのか悲しみなのか わから

          [すこし詩的なものとして]0158 路をゆく

          [すこし詩的なものとして]0157 冬の真夜中

          凍てつく夜空に 冴え渡る月 静寂に包まれた街 街灯に照らされた雪 誰もいない公園 ブランコが風に揺れる 冬の真夜中は 孤独と静寂の象徴 しかし この静寂の中にこそ 何か大切なものがある それは 自分自身と向き合う時間 心の奥底に潜む声に 耳を傾ける時間 冬の真夜中は 内省と瞑想の時 そして 新たな旅立ちの時 冬の寒さに耐え 春を待つ植物のように 私たちは この真夜中を乗り越えて 新たな一歩を踏み出す —————————— 気を抜くと時間があっというまに過ぎていく。そして、「

          [すこし詩的なものとして]0157 冬の真夜中

          [すこし詩的なものとして]0156 孤独は影に隠れて

          夜中の静寂に ひとりでベッドに横たわる 窓の外には 満月だろうか いや少し欠けている月が ぼんやりと光を帯びている その光は ひとりでいる僕の影を より一層濃いものにしてくれる か弱き男の 侘しさよ 何もできずに ただ天井を見つめと 天板の年輪が なんだか人の顔に見えてくる あなたの心は 深くもない闇に沈んでいく この沈みゆくベッドの上で 這い出る勇気も力もない なすがままに あるがままに いつまでも 変化の兆しを見るまでもない 夜は 月明かりの蚊帳に包まれる ただ祈

          [すこし詩的なものとして]0156 孤独は影に隠れて

          [すこし詩的なものとして]0155 さざなみ

          なんだろう たまに急に 乾いた気がする かさかさに 潤いがなく 怒りっぽい 海に行くと やけに心が高鳴って 渚まで走り出したことを なぜか思い出した 夜更けのビル街は すきま風がひどくって 孤独のやけどがヒリヒリと うずいてくる とてもじゃないけど やってられない 渋谷のWAVEで ドキドキしながら 待ち合わせをした あの時のときめきが 昼間に飲むビールのように 心に潤いを与えてくれた 気難しくなるのは なんだろう 乾きのせいだろうか 年齢のせいか 友人のせいか いや

          [すこし詩的なものとして]0155 さざなみ

          [ちょっとしたエッセイ] 深夜に思い出すのはいつも

           noteで詩を書く人の作品を読んでいると、7〜8割くらいの作品が「恋」や「愛」について書かれている、もしくはそれらを想起させる言葉が散りばめられている。男女問わず、いかに「恋」や「愛」が人の心をトリコにしているかがわかる。  それらを読んでいると、時にはくすっとしてしまったり、時にはなんだか心をくすぐられたり、時には、自分とは正反対の方法におどろいたりと、人の恋というものは奇想天外で、自分とは違う世界を見せてくれる。  いつだって人は、人に好かれたい、人を好きでいたいという

          [ちょっとしたエッセイ] 深夜に思い出すのはいつも

          [すこし詩的なものとして]0154 轍の上に落ちて溶けゆく

          気がつくと 枝から何羽ものカラスが 飛び立っていった 遠くの空へ向かって 羽ばたいて 瞳に映る現実は 大人になって四半世紀が過ぎた 空虚な世界 別に腹が立っているわけでもなく 流れた時に振り向くくらいの 寂しさくらいがちょうどいい アスファルトに降り積もる 雪のひらひら 現世のものとは思えない 白さと脆さは なぜ心を踊らすのか 向かいのポストに投函される 手紙だか 封筒だか 郵便配達員の駆ける 原付の音も カラスの鳴き声のように 遠くの空に散ってゆく 人の一生とは如

          [すこし詩的なものとして]0154 轍の上に落ちて溶けゆく

          [すこし詩的なものとして]0152 月の実り

          履き慣れた靴の感触に囚われて 壊れて捨てようとしても 約束したわけではなく どうしても手放すことができないでいる 見もしない腕時計は 手首に時を刻んでバラバラになっていく でも手放さないでいる理由 それはなんだろうか 人が急いで家路に向かう コンビニから慌てて人が出てくる なんて美しい光景か 季節は一層に深まっていく 見上げると まんまるな月が 幾重にも幾重にも 大きくなっていく でもそれは満たされているのとは違う何か 例えば 犬の遠吠えが夜中に聞こえて 静かな眠りが

          [すこし詩的なものとして]0152 月の実り

          [すこし詩的なものとして]0151 100マイル先の憂鬱

          地下のホームがわからなくて ウロウロしながら 人の流れについてゆく 一度は降りた階段を また登ってみると 息がハアハアとあがってしまった やっとのことで切符を通すと また階段を降りる ここはどこの駅だろう もう目の前がどこなのか 位置情報が崩れてゆく 警音がなると 笛の音とともに扉が閉まる 奥は紫色の椅子に座って 外を眺めた 地下の暗くないホームには 地底人が(ように人たち)がたむろする 進めばそこは折り重なった世界 轟音はリズムよく明滅が闇夜を照らす 潜っては浮き上がり

          [すこし詩的なものとして]0151 100マイル先の憂鬱

          [ちょっとしたエッセイ] 渡り廊下とルサンチマン

           記憶に残るものは、どんなことがあっても何かの拍子に思い出すことが必ずある。それがどんなに忘れたいことであっても、生きている限りは仕方ないのかなと思ったりもする。  長かった、夏とも秋とも言えない季節が終わり、ようやく冬の兆しが見えてきた12月のある平日の夕方、家の近所にある学校の脇を歩いていると、学校の裏門と見受けられる場所で、3人の学生が1人の学生にカバンを振り回して当てている光景に出会した。無論、それがいじめの類のものであると疑ったので、近づいてその前を通り過ぎようとす

          [ちょっとしたエッセイ] 渡り廊下とルサンチマン

          [ちょっとしたエッセイ] カーブを曲がると見えてくる光とか

           朝の人通りの多い道を、逆方向に歩く。凍てつく空気を吸い込むと、ようやく冬らしい冬がやってきたなと1月も8日を過ぎて思わされる。自転車に乗れば手袋が必須になり、カイロの重要性も日に日に増してきた。澄み切った青空を見ながら歩みを進めると、少しずつまわりの音が止んでいくのがわかる。都電線の線路を渡ると見えてくる枯れ木の姿。そして、さらに寒々とした空気が首元を冷やす。    細いアスファルトの道を行くと、まず見えてくる公衆トイレ。傍目に進むと広がる無数の墓石。通勤のためにここを通る

          [ちょっとしたエッセイ] カーブを曲がると見えてくる光とか