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江戸時代の京都/今の京都 はじめに

 はじめまして。
 本居宣長を研究している仲尾と申します。
 今回、本居宣長の『在京日記』を素材に、「江戸時代の京都/今の京都」と題して連載を始めさせていただこうと思います。
 簡単に自己紹介させていただきます。
 宣長との出会いは高校生の歴史の教科書で、大学では文学部に進み、宣長を卒業論文のテーマにして卒業しました。
 その後、研究とは関係ない仕事をするかたわら、宣長の言葉を真似れば、「年月長く、倦んだり、怠ったり」しながらも、継続して宣長自身の著書、関係の書物などを読み、考えることを続け、2022年の末に『本居宣長が見た江戸時代の京都~『在京日記を読む』~』という書籍を出版しました。

書影

 どういう書籍かを簡単にご紹介するために、「はじめに」を引用しておきます。

はじめに
 江戸時代の人々の暮らしというのはどのようなものだったのでしょうか。
 本書の目的は、本居宣長の『在京日記』を現代語訳で読んで、江戸時代中期の京都の様子を感じていただくことです。
 御存知の通り本居宣長は伊勢松阪の人で、京都との関係について疑問に思われるかもしれませんが、宣長は、二十歳代後半に医者になる勉強のため京都に遊学しています。『在京日記』はその間の日々の出来事を記した日記です。
 どのような日記であるのか、小林秀雄氏の言葉を借りたいと思います。

「日記」を読むと、学問しているのだか、遊んでいるのだかわからないような趣がある。(中略)こまごまと楽し気に記されているのは、四季の行楽や観劇や行事祭礼の見物、市井の風俗などの類いだけである。
            (小林秀雄『本居宣長 上』新潮文庫版:45-46)

 というわけで、この『在京日記』の「こまごまと楽し気に記され」た文章から、江戸時代の京都の様子を読み取ろうというのが本書の目論見です。
 京都に遊学した一人の青年が、目で見て感じて、それを書き留めた文章を読むことを通じて、江戸時代の京都の雰囲気を、気軽に楽しんでいただければと思います。
 それでは、本居宣長の『在京日記』を読むことにしましょう。

『本居宣長が見た江戸時代の京都~『在京日記』を読む~』p3

 「はじめに」にありますとおり、『在京日記』には、当時の京都の生活、文化、娯楽、事件などが細かく記述されています。
 読んでいると、今の京都と江戸時代の京都で、同じところ、少し違うところ、全く変わってしまったところがあることに気づかれると思います。そこが『在京日記』を読む楽しみ、醍醐味の一つだと思っています。
 このnoteは、『在京日記』の記事をご紹介し、その楽しさをお伝えすることを目的に書くことにしました。書籍版にはあまり掲載できなかった、今の京都の写真なども掲載したいと考えています。江戸時代の京都や今の京都、それに青年期の宣長に感心を持っていただけますと幸いです。
 不定期の連載になると思います。
 では、よろしくお願いいたします。
 

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