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空腹より、「美味しい」の一言が最高のスパイスだと思う話

「けんずくんって、ご飯美味しくなさそうに食べるよね。栄養補給って感じ」

よくこんなセリフを面と向かって言ってきたなと思うけれど、5年以上経った今でも、一言一句鮮明に覚えている。言い放った彼女の少し残念なものを見るような目も、言われて上手く笑えなかった、わたしの顔が引きつる感覚も。

「年の瀬にうまいもん #食べたっ隊 Advent Calendar 2020」なんていう、ご飯を作ることや食べることが大好きな人たちが文章を書き連ねるイベントに参加しておきながら本当に申し訳ない限りだが、食に対してそんなに興味がないのだな、と薄々感じる。

冒頭のセリフを言われたのは大学生時代。当時は確かに食事の優先順位はとても低くて、朝ごはんを食べる時間があったら少しでも長く寝ていたい、お昼は何かをしながら片手にサンドイッチといった具合だった。毎日同じメニューが続いても、それほど嫌と思うことがない。お腹がある程度膨れれば、もうそれで十分という。


よく、「空腹は最高のスパイス」って言うじゃないですか。お腹が空いていたらなんでも美味しいってやつ。

あれも正しいなと思うんですけど、最近は「美味しい」って言いながら食事をすることが、一番食事を美味しくする方法なんじゃないかなと思いはじめている。

「栄養補給」みたいな食事をしていた時も、お腹は空いていたわけで。けれどその時はあんまり「美味しい」と言いながら食事をしていなかったな〜と思う。大抵考え事をして食事は二の次で、強いて言うなら「ふむふむ」と言いながら食事をしていたかもしれない。ああなるほどこういう味ね、みたいな。ご飯の感想にふむふむって嫌なやつだ。

美味しいものを食べるから美味しいのではなくて、ちゃんと美味しいものに対して喜怒哀楽を表現すること、食事を楽しむぞという心構えがあって初めて、美味しいものが美味しく食べれるのだなと。幸いにもわたしの友人たちには、美味しいものが好きで食事を楽しむ人がたくさんいるので、彼らのおかげもあり少しずつ美味しいの頻度が増えてきた。

ということで、2021年は更に「美味しい」と言って食事を楽しむ一年にしたいと思う。美味しいをたくさん言って、美味しそうな顔をしながらご飯を食べる友人たち、どうぞよろしくお願いします。

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この記事は、鶴さん(@dmdmtrtr)主催の「年の瀬にうまいもん #食べたっ隊 Advent Calendar 2020」への参加記事です。

前日12/23は岐阜神のくじらさん(@kujiragumo_film)による怒涛のフィルム飯テロです。本当にくじらさんが撮る写真、美味しそうがすぎる。

明日12/25、トリを飾るのは主催者つるさん。つるさんのご飯エッセイには全幅の信頼を置いてます。どえらい文章が出てくるはずですとハードルを上げておきます。


サポートをいただいたら、本屋さんへ行こうと思います。