見出し画像

【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1451.駆け引き


 歩きながら兄達の中央を先んじたぺトラが先頭となり、自然、狼と虎似の二人が魔術師と赤竜に挟まれる形となった。

『ええぃ、頭が高ーい! 控えおろーっ!』

 堂々と前を歩くペトラは周囲に向けて叫びながら進んでいた。
 明らかに異常な静けさの中で享楽的な豚猪の声。

 狼のブロルは一層おどおどしながら隣を歩くレイブに聞く。

「あの、大丈夫なんですか? これ、周りが全部モンスターなんですよね?」

「ビクビクするなっ、堂々としてろっ、でなきゃ生きて出れないぞっ」(コソッ)

「えっ」

『レイブの裏拳で殺し切れなかったのだ、つまり一斉に来られたらイチコロなのだ』(コソッ)

「えっえっえっ」

「だからはったりで切り抜けるんだよ、判ったら堂々と胸を張って周りを睨みつけてろよ」(コソッ)

「は、はいっ、おい、ミロンっ」

 ブロルが言うまでも無く、ミロンは早くも凶悪そうな顔を浮かべて鋭く周囲に威嚇を始めていた、流石はネコ科の瞬発力だ、あっ、自称ニンゲンだったな、メンゴメンゴ。
 慌てて悪そうな顔で手にした槍の穂先をベロベロやり始めたブロルは小声でレイブに言う。

「結構ぎりぎりなんすね、これ、水汲んで帰り着くまで続けるとか…… かなりきつくないですか? まあ、やりますけどね、死にたくないし……」

 レイブも無意味なシャドーを繰り出しながら答える。

「ま、水場まで行ったら考えようぜ、そこでもう一芝居打つか…… 駄目なら、ペトラのミードはこいつ等には効き難いからな…… いざとなったらイチかバチかブレスとクルクル虫アタックで道を切り開くからペトラとお前等とで脱出してガトやダダ坊、パダンパを連れて戻って来てくれよ」

「えーっ、絶体絶命じゃないですかーっ、そうなったら頑張りますけど、出来れば名案を思いついて下さいよね? でも、肝心の水場は大丈夫なんですか? そこもモンスター塗れだったら? 積み? じゃないですよね? 嫌ですよ」

 この声には口の脇から目立つ火球を覗かせっ放しのギレスラが逆から答える。

『ダソス・ダロスの『調査』もペトラの鼻でも無害だと言っていただろう、恐らく水場とその周辺はモンスターが近寄れないのだろうな…… 何かの魔道具か、しかしたら何がしかの神の守護かも知れんが何かの加護があるのではないかな?』

「へ、へー」

 再び逆からレイブが続ける。

「まあ行ってみれば判るじゃん、駄目なら…… 目一杯走らなきゃな」

『頑張ってくれよ』

「は、はい」

 真剣に頷くブロルの隣ではミロンも深刻な表情で覚悟を決めている様だ。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
Copyright(C)2019-KEY-STU

この記事が参加している募集

#スキしてみて

523,364件

励みになります (*๓´╰╯`๓)♡