【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1453.アガリアレプト
一瞬前まで対岸に居た筈の声の主は、気が付くとレイブの直ぐ傍まで移動していた。
そして目線を合わせる様に中腰になり真横、しかも至近距離から話し掛けて来たのである。
仰天して警戒の構えを取るスリーマンセルと、慌てて三者の影に身を隠すミロブロ、小さなバッタのテューポーンは主を守る様に声の主の前に立っている。
声の主は髪色と同色なマガモの羽に似たブルーの瞳を丸くしてバッタに話し掛ける。
「おや、お前はテューポーン? 何で又、そんな矮小な器に…… って、アスタロト、君の方はもっと可笑しな事になっているみたいだね! まさか真核が分かれているのかい? しかも三つ? 一体何が有ったって言うんだよ?」
この言葉、とりわけ固有名詞の部分を聞いたレイブ達は肩の力を抜いて言葉を返す。
「なんだ、幽霊じゃなかったのかよ」
『びっくりしたのだ』
『それで、アナタはアスタさんやテューポーンさんのお知り合いなのよね?』
レイブより少し年長っぽく見えるダックブルーの青年は躊躇の欠片も見せずに答える。
「ああ、私の名はシド、シド・リキードフォルムだが中に居る魔神の名はアガリアレプト、元はニブルヘイムの第二軍団を率いた長の一柱でね、姉はそこにいるテューポーンの上司でムスペルヘイム青の軍団長、サルガタナスでもあるんだよ」
「あ、そーゆー」
『サルガタナス…… アスタさんの口から聞いた事があるのだ、確か炎のネヴィラスさんとコンビの氷……』
「そうそう、その弟が私だよ」
『改めてごめんなさい、神様をお化け呼ばわりしちゃったなんて』
「ははは、そんなの良いって! それより君達の事、魔神アスタロトに何が起こったのか聞かせてくれるかい?」
「あ、はい、実はですね――――」
レイブ達スリーマンセルは協力してここまでのあらましを一気に語って聞かせた。
アガリアレプトは一々大仰に驚いたり、一転して同情の涙を浮かべてみたり、興味深げにテューポーンの羽を広げてみたりしながらその言葉を聞いていた。
日光を受けてキラキラと輝く瞳が、どこか少年の様に人懐っこく見えて、一通り話し終える頃にはすっかり警戒心を解いたスリーマンセルである。
「――――と言う訳でして、魔力が充満して俺達がくっついている時、それか意識が無いとかどっかおかしい場合なんかに出てくる位なんですよね」
「マジで?」
『マジなんです、はい』
『しかも、僅かな時間で消えてしまう、非常に儚い泡沫の存在なのだ』
「うわぁー、そりゃ使い勝手が悪いよねー」
『なのだ』
「面目ありません」
『ジジ……』
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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