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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1446.正確な言葉を


「凄いな、おい…… やっぱエイプだから邪心とか無いからなんだろうなぁ…… ほれ、毛が三本足りないとか言うじゃんか? 単純なのが良いんだろ、馬鹿が効くんだよ、馬鹿が!」

 とか何とか、差別撲滅に命を懸けている優しき活動家の耳に入ったら焼き殺されかねない発言をレイブがしていた事も無理は無いとか思ったりする快挙であった。

 当然、不信感に溢れた視線を送るエイプの群れ(全員♀)に対して、

「いや、良い意味でだよ? 凄っく良い意味ね?」

とか満面の笑顔で誤魔化していたレイブの堂々とした方便もお伝えしておかなければなるまい。

「ナニ? 褒めてるんだけど、ナニかいけない事とか言っちゃったぁ? ボクぅ……」

「「「「「やっだぁ! キャーワーイイ~ッ♪」」」」」

的にカワイコぶった素振りに萌え上がったエイプの毛が三本足りなかったお蔭で捻り潰されずに済んだレイブなのであった、芸は身を助ける、まあ、大したものである。

 その後、魔術師として最後に残ったまともに出来る唯一の技、学院から持って来た粉薬ユーカーキラーを一包みづつ渡されて飲み干したエテ公達は、晴れてレイブの弟子となり、グフトマ以来賞賛を浴び続けてきた一門のメンバーとなったのである。

 アミュレットにタリスマンの作成方法、それ以外にも物々交換時の交渉術にモンスター相手の格闘術やサバイバル技術等々エトセトラ。
 まだまだ憶える事柄は山積したままだが取り敢えず、現在向かっている竜王の里で必要そうな技術だけはしっかり入手したエイプガールズ達は、ガト先生の解説でタリスマンの図柄を楽しく鑑賞中である。

「あーこの赤いの、めっちゃかわちぃ!」

「まじまじ、ハオだね、はおはお♪」

「又赤なのかね? ふむふむ限界オタクだねぇ」

「あー赤てぇてぇ、羽ばたき捲るわぁ~」

「ウチの前には黒しか来ないのだが? なぁぜなぁぜ?」

「はいはい! ちゃんと中の文字も見てね! 真ん中に書いてあるのは『吸う』でしょ? この場合は周囲の魔力の吸引、つまり『SUCK』的な吸うなのよ、分かる?」

「Suckって! ガト様エッグ!」

「は? 何がエグイのよ?」

「あれじゃない? ほれ悪口的な? ほむらもゆる~」

「それも又ハオ!」

「おハーブですわ♪」

「もう、好きにしなさい」

 一聞しただけで不毛さが伝わる授業を抜け出して、さっさと水の補充へ向かうレイブである。

『グァ、もう出れるのか?』

 声を掛けるギレスラは、群れ中から集めて来たであろう皮袋をぺトラの背に積み込み終えた所らしい。

「ああ、ちゃっちゃと済ませて来ようぜ、ブロルとミロンも準備は良さそうだな、シュカーラお前はどうする? たまには一緒に来るか?」

「ご遠慮しますよ、私は亜神様を磨かなければなりませんので」

 一心不乱に襤褸ぼろ切れで金属片を磨いている狂信者。
 既に信仰の対象と彼等の遺物を同一視し始めているらしい、順調に偏り続けている様だ、恐ろしい。

 毎日接しているからか、はたまた早くも見放したのか、どちらかは定かではないが、レイブ、ギレスラ、ペトラのスリーマンセルは武器を携えたブロルとミロンを従えて、軽快な足取りで少し先にある林の中へと姿を消していく、パッと見、特段の緊張は感じていない様である。

 チラリと一度だけその背に視線を送ったシュカーラであったが、すぐ金属片に注意を戻し、再び大切そうに磨き始めたのである。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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