【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~
あらすじ・目次
第三部 六章
リベルタドーレス ~解放者たち~
1448.植物モンスター
ドゴンッ! メキョメキョメキョ…… ドズゥーンッ!
「ひっ!」
「こ、今度は何ですっ?」
大きな音に振り向いた先では、レイブが近くに生えていた樫の木を叩き折ったらしく、砕け散った木片の舞い落ちる中、不気味な顔が浮き上がった幹を鋭利な牙で噛み締める赤竜の姿が見えた。
トレントはまだ死に切れていない様で苦しそうな唸り声が休む事無く届けられている。
口をそのままで発せられたギレスラの声は少しくぐもっている。
『どうする? 搾るか? レイブ』
裏拳一撃でトレントを圧し折ったレイブは、ローブに付いた木片を払いながら気楽そうに答える。
「いや、さっき飯食ったばっかだからな、離してやれよ、それにほれ、ドングリをいっぱい落としたぜ、これで勘弁してやろうや」
『判ったのだ、命拾いしたな、ほれ、逃げろ』
ギレスラが口を開けて離してやると、折れた幹はズルズル動いて来た根みたいな足に持ち上げられて林の奥へと隠れていった。
撒き散らかされた木片や木の葉、ドングリ等は置き去りのまま微かにジリジリと身動ぎしている様だ。
『やったわ! アタシ大好物なのよね、トレントの幼体って♪』
言い方……
「ははは、食べ過ぎたらちゃんとグルっておけよ? お前等、は、まだ無理か…… なんかごめんな? 俺たちばっかりさ」
言いながらむしゃむしゃとどんぐりを噛み潰す口元からは、正体不明の断末魔的な声が間断なく聞こえ続けている。
「どうぞ、お気になさらずに……」
「今丁度食欲が消え失せた所ですんで……」
「そっか」
それから暫らく、スリーマンセルと白いお花を喰い尽くして合流した緑の悪魔 (リアル)による、トレントの赤ちゃん捕食会、つまり宴が続いた。
少しだけ距離を取ったミロンの口から、いかにもそれっぽい言葉が漏れる。
「しかし…… 植物のモンスター、ですか…… そりゃ居ますよね…… 飼育種、いや栽培種と言った方がしっくり来るか……」
ブロルも同じトーンで返す、っぽい感じだ。
「だな、他にも細菌や微生物の可能性だって、な? 里の外ってやっぱり恐ろしい場所だったんだよな、今更なんだけどさ」
「だよな」
たぶんだが、今正に行われている残酷な弱肉強食の現実から目を背ける為に交わされた会話なのだろう。
しかし、収穫に舌鼓を打つスリーマンセルの聴覚は揃って優れているのだ。
「んなの今だけ、すぐ慣れるさっ、お前等だって直に生でモンスター食える様になるからさっ、そうすりゃご馳走だからなっ」
「そ、そうっすね」
『結局、喰うか喰われるか、どちらかしか無いのだからな』
「は、はぁ」
『強いモンスターの方が美味しかったりするんだから♪ 後は子供とか小さい頃よね、ねっ?』
「ああ、子供は総じて美味いよな」
『生命力に溢れているのだ』
現実を叩き込まれてしまった。
お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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