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【連載小説】堕肉の果て ~令和に奏でる創造の序曲(プレリュード)~

あらすじ・目次 


第三部 六章

リベルタドーレス ~解放者たち~

1441.旅慣れ


 レイブはゲッコーの獣人、ステナの子供達を地面に下ろすと、背負っていた大量の荷物をも降ろし手際良く検品しながら誰にともない呟きを洩らす。

「アーバンクの肉は結構干し上がってきたな…… これなら夕飯には食わせられそうだ……」

 よろよろと近付いたシュカーラが返したが、こいつはまだ重そうな金属器を背負ったままである。

「ふうぅ、そのビーバーみたいなのって美味しいんですか?」

「いや滅茶苦茶不味いな、水っぽくてさぁ~、好んで食いたがる奴はいないだろうなぁ」

「ええーっ」

「ははは、栄養だよ、旅の間は何でも食わないとな、だろ? なっ、ダダ坊」

 のっしのっしと歩いて来た巨大な豚猪、『森王』のダソス・ダロスはレイブの脇に体を横たえながら笑顔で返す、こいつも背中いっぱいに巨大な物資を載せたままである。

『兄貴の言う通りだ、私も旅をしていた頃は何でも食べたぞ! 赤壁、ズィナミに言われた物だ、『食べた生き物の分だけ強くなる、だから文句を言わずに食えっ!』ってな』

「なはは、如何にも学院長の言葉だなー、んだけどあながち間違ってる訳じゃないんだよな? 不味いモンスターとか食うと耐性が強まったりするからな、毒とか麻痺とかさっ」

『ですね』

 見た目と違ってグルメ嗜好だったらしいシュカーラはげんなりした顔で答える。

「どうせ毒があるんなら美味しい方が良いですよ…… はら、昨日食べたのは美味しかったじゃないですか、スワンプヴァイパーでしたっけ?」

「ああ、でもあれってマムシの仲間だぞ? 共食いとか、大丈夫か?」

「何度も言ってますけどね、私ニンゲンなんですよ? まったく、ちょっとヘビっぽいからって失礼しちゃいますね」

『ブフォフォ♪』

「あはは♪」

「はぁーぁ」

 時代が時代なら決して看過されない見た目に関する悪質なからかいを受けても、平気な素振りでレイブにくっついて回っているシュカーラには驚かされる、中々の忍耐力だ。
 そうしていると着火作業が一息ついたらしく、ガトとギレスラ、少し遅れてぺトラも戻ってきて声を掛けてくる。

『獣人の皆も逞しくなってきたわね』

「どうしたんだ? 火を着けて回るのもやけに早かったじゃないか?」

 レイブの疑問にはガトが答えるが、彼女が自分の場所だと決めているっぽいダソス・ダロスの鼻先に腰を下ろしながらである。

「ペトラちゃんの近くの鍋に火を着けたらね、そこから皆種火を持って帰っていったのよ、お蔭で早く済んだわ」

『良く考えればその方がずっと効率的だったのだ…… 今朝まで動き回って馬鹿みたいなのだ……』

「ね?」

 心積もりも準備もなく、唐突に始まった旅路は色々試行錯誤の繰り返しなのが窺い知れる。



お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です('v')
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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