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笑いの健康効果

腹の底から大声で笑うと、心と体が活力に満たされる感じがしませんか?実際に、医学的にも証明されつつあることですが、笑いが心身に良い影響を与えるということが注目されています。最近では、笑いが病気の予防や治療にも効果的であることがわかってきています。

【笑いが体の免疫力をアップ】

あまり広く知られていない事実ですが、若くて健康な人の体内でさえ、1日に3000~5000個ものがん細胞が発生しているのです。これらのがん細胞や体内に侵入するウイルスなど、体に悪影響を及ぼす物質を撃退し、体を守っているのがナチュラルキラー(NK)細胞というリンパ球の一種です。

一部の説によると、人間の体内にはなんと50億個ものNK細胞が存在していると言われています。これらのNK細胞の働きが活発であると、がんや感染症にかかりにくくなると考えられています。

私たちが笑うと、脳内の免疫のコントロール機能が刺激を受け、神経ペプチドと呼ばれる情報伝達物質の生成が活発になります。
笑いに起因する善玉の神経ペプチドは、血液やリンパ液を通じて全身に広がり、NK細胞の表面に付着してNK細胞を活性化させます。その結果、がん細胞やウイルスなどの病原体へ次々と攻撃を加え、免疫力が向上するのです。

逆に、悲しみやストレスなどのネガティブな情報を受け取ると、NK細胞の働きは鈍くなり、免疫力も低下してしまいます。したがって、心の健康が免疫力にも大きな影響を与えることがわかります。

ただし、免疫力が高いだけでは十分ではありません。自己免疫疾患と呼ばれる病気、例えばリウマチや膠原病などでは、免疫システムが悪影響を及ぼす物質だけでなく、自身の体を攻撃してしまうことで引き起こされます。

実験により、笑いにはこの免疫システム全体のバランスを整える効果があることが明らかになりました。つまり、大いに笑うことで、がんやウイルスに対する抵抗力が高まり、同時に免疫異常の改善にもつながるということです。

【笑いのプラス効果】

笑うことは、免疫力を高めるだけでなく、他にも体にさまざまな良い効果があることがわかっています。

(1)脳の働きが活発化します。
笑うと脳の海馬が活性化され、記憶力がアップします。また、笑いによって脳波の中のアルファ波が増え、脳がリラックスします。さらに、笑うことによって意志や理性を司る大脳新皮質に流れる血液量が増えるため、脳の働きが活発になります。

(2)血行が促進されます。
思い切り笑うときの呼吸は、深呼吸や腹式呼吸と同様の効果があります。体内にたくさんの酸素が取り込まれるため、血液の循環が改善され、新陳代謝が活発になります。

(3)自律神経のバランスが整います。
自律神経には、体を緊張モードにする交感神経とリラックスモードにする副交感神経があります。これらのバランスが崩れると、体調不良の原因になります。通常、交感神経が優位になっているが、笑うと交感神経を活性化させ、その後急激に低下させることにより、リラックス効果をもたらします。このように交感神経と副交感神経の切り替わりが頻繁になるため、自律神経のバランスが整うのです。

(4)筋力強化
笑っている時は、心拍数や血圧が上昇し、呼吸も活発になります。このため、酸素の消費量が増加し、内臓の機能も活性化します。笑っている方が静かに過ごすよりも、より多くのカロリーを消費することができます。さらに、大笑いをするとお腹や頬が痛くなりますが、これは腹筋や横隔膜、肋間筋、顔の表情筋などがしっかりと動くからです。すると、少しでも筋力を鍛えることができます。

(5)幸福感と鎮痛効果
笑うことによって、脳内でエンドルフィンというホルモンが分泌されます。この物質は幸福感をもたらすだけでなく、ランナーズハイの要因ともされています。さらに、エンドルフィンはモルヒネの数倍の鎮静効果があり、痛みを軽減する効果もあります。

【笑いのもとを 探しながら、プラス志向に】

体に良いからと言っても、笑うことに意識を集中するのは難しいです。テレビのお笑い番組やコメディ映画を見ることも、制限があります。

「笑える毎日」を作るための秘訣は、日常生活で自分で面白い話を考えて周囲の人と共有し、一緒に楽しむことです。

そのためには、常に笑いのネタを見つけることが必要で、自分の内にある不安や心配事よりも外の世界に注意を向けることになります。やがて、人を笑わせることに快感を感じるようになると、前向きな気持ちや喜びが健康にさらなるプラスの効果をもたらします。

特に、自分自身や身内の失敗の話や短所は笑い話になりやすく、何か失敗したり嫌なことがあっても、「これはネタになる」と考えることで、ずっと悩んで考え込むことはありません。周りの出来事に意識を向けて観察すれば、日常生活や仕事の中にも意外とたくさんのネタが見つかるものです。

【日ごろの心得】

NK細胞の活性化と免疫力を高めるためには、日常生活でいくつかのことに気を配る必要があります。

まず、十分な睡眠を取ることが重要です。毎晩7〜8時間の質の良い睡眠を確保しましょう。睡眠不足はNK細胞の機能を低下させる可能性があるため、十分な休息を取ることが必要です。

また、過度なストレスや疲労を避けることも大切です。心身のバランスを保つために、ストレスがたまり過ぎないように心掛けましょう。適度な運動やリラクゼーションの時間を設けることで、ストレスを軽減することができます。

心配や不安、悲しみはなるべく早く乗り越えることも大事です。これらのネガティブな感情はNK細胞の働きを抑制する可能性があります。ポジティブな思考や心の安定を保つために、ストレスを発散させる方法を見つけることが重要です。

そして、憂うつ感が長く続く場合は、早めに専門医の診察を受けることをおすすめします。うつ症状はNK細胞の活性を低下させる要因となるため、適切な治療を受けることが重要です。

さらに、NK細胞を強化するためには、楽しく笑うだけでなく、以下のような方法が効果的です。

- 栄養バランスの取れた食事を心掛ける。特にビタミンCや亜鉛を摂取することは、NK細胞の活性化に役立ちます。
- 適度な運動を行う。適度な運動はNK細胞の活性を高めるだけでなく、全体的な免疫力も向上させる効果があります。
- アロマテラピーなどのリラクゼーション法を取り入れる。ストレスを軽減するためには、リラクゼーション法が有効です。アロマテラピーの精油やマッサージなどを試してみましょう。
- コミュニケーションや社交活動を大切にする。良好な人間関係を築くことは、免疫力の向上に役立ちます。友人や家族とのコミュニケーションを大切にし、社交的な活動に積極的に参加しましょう。

以上のような心がけや方法を実践することで、NK細胞の活性化が促され、がんやウイルスから強い体を保つことができます。

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