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心と体の今までとは違う疲れ

「疲労」とは、身体的疲れや精神的疲れによって引き起こされる状態を指し、一般的には「痛み」や「発熱」と同じくらい重要な生体アラームだと考えられています。身体が送るSOSの合図として、「全身がだるい」、「体を動かすことがつらい」、「日中も眠くてしまう」などの疲労の症状が現れます。

ただし、痛みや発熱と比較して、疲労は自己認識しにくい側面もあります。スポーツ後や育児、介護、ハードワーク、残業などで身体と心が過酷な状況にさらされたときは、エネルギーを消耗して疲れを感じることができる人が増えるでしょう。

現在の状況では、リモートワークを中心とした新しい生活様式や働き方が急速に広がったことにより、人々の疲れ方や疲れの原因もこれまでとは異なるものに変化しています。このため、疲れを自覚しにくくなっていると考えられます。新たな疲れの主な原因として次の2つが挙げられます。

1.運動不足からくる身体的ストレス
2.対面コミュニケーションの減少からくる精神的ストレス

通常、多くの人々は体を動かすと疲れると考えますが、実際には十分な運動をしないことも身体的なストレスとなり、疲れの蓄積の要因となる可能性があるのです。

デスクワークなどで長時間座り続けることには注意が必要です。このような生活習慣が腰痛の原因となることがあります。さらに、座っている時間が長いとエネルギー消費量が低くなり、体重が増加しやすくなる危険性もあります。さらに、米国の研究によると、1日の座位時間が長いほどがんによる死亡率が高くなるという報告もあります。

また、コミュニケーションが主にリモートで行われる機会も増えています。しかし、自分の気持ちを言葉で伝えることや、何気ない会話でリラックスすることなどが、直接対面でコミュニケーションを取るよりも格段に少なくなる傾向があります。

「リモートワーク」や「オンライン会議」によって、以前よりも行かなければならない場所が減ったり、不本意な交流を避けることができるようになったと感じている方も多いかもしれません。しかし、このような変化にはメリットだけでなく、私たちの心に新しいストレスをもたらす可能性もあることを知っておきましょう。

以前は無理して参加しなければならなかった飲み会や、気が合わない人との人間関係を強要される機会が減少したり、なくなったことで、精神的な負担が軽減される一方で、身近な友人や家族との直接的なコミュニケーションが減少し、長い時間を孤独に感じたり、仕事や生活へのモチベーションが下がるような新たなストレスが増えていることも考えられます。

こうした状況がもたらす心身の疲れは、具体的な体の疲労感が強くない場合でも、「なんとなく気持ちが晴れない」「何か違和感を感じる」といった状態で表れることがよくあります。

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