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マイオカインが全身に与える効果

マイオカインは、動物やヒトにおいて広く研究されています。これらの物質は筋肉に直接作用し、筋肉の代謝や発育に影響を与えるとされています。例えば、一部のマイオカインは筋肉の糖取り込みを促進し、血糖値を安定化させる作用があります。

さらに、一部のマイオカインは血液を介して脂肪組織に到達し、そこに蓄積した脂肪を燃焼する効果も持つことが分かっています。脂肪組織には、蓄積脂肪と代謝脂肪の2つのタイプがあります。一部のマイオカインは、蓄積脂肪を代謝脂肪に変換する作用があると考えられており、これは白色脂肪細胞を「ベージュ化」させる特性もあるとされています。

ほかにも、血管の老化を防ぎ、動脈硬化の危険性を低くする働きを持つマイオカインや、骨粗鬆症や認知症と関わりがあることが確認されています。さらに、大腸がんの初期段階にある細胞に対して作用し、がんの発生を抑制する可能性があるマイオカインも、動物実験において確認されています。

マイオカインには、運動によって分泌されるものだけでなく、常時分泌されるものも存在します。さらに、加齢に伴い筋肉から分泌されるようになる「加齢誘発性」マイオカインもあり、これが健康に悪影響を及ぼす可能性があることもわかってきています。

加齢とともに、筋肉がたくましく見える一方で、実際には質が低下し、脂肪が筋肉の間にたまり、硬くなる「線維化」の現象が増えます。この線維化を促進するマイオカインが存在します。筋肉の質が低下すると、筋肉量や筋力が減少する歳と共に起こるサルコペニアや、心身の衰えで健康と要介護の間の状態になるフレイルの原因となります。また、線維化が進むことで、糖の代謝が悪化し、心疾患との関連性が高まるなど、さまざまなリスクを引き起こす可能性があります。

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