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好きな音楽の話をする日vol.12「鯨」

好きな音楽の話をするか……

Buzy 『鯨』


いいよね〜

ベースの進行がクール。かっこいいんだよな……Bメロのあたりとか……

アニメタイアップ用に、同じメロディで違う歌詞の『Venus say…』という別の曲が存在しているのは有名な話。先日、私が鼻歌で『鯨』を歌っていたら夫が「弱き旅人よ〜♪」と『Venus say…』を歌ってきて、こんな漫画みたいなことあるんだ!!と思った。

私は『鯨』が好きなのでそっちの話をしますが……

作詞は新藤晴一。ポルノグラフィティのファンなので、ハルイチ節だ!!!!と嬉しくなってしまう。こちとら「時の尾」も読了してますんで……

鯨が絶望して捨てていったこの場所で
私はまだ生きてる  やりきれなくなるわ

このフレーズに全てがあるんだよな。

フレーズというか、海で生まれて陸に上がってまた海へ戻って行った哺乳類のクジラについて、「この世界に憧れたのに絶望して帰ってしまった」と、事実を翻訳した時点で勝利してるんですよ。優勝。大統領。

新しい世界へと胸躍らせたのでしょう
口笛を吹きたい気分だったのでしょう

本当は、何世代もかけて何百年もかけて進化していったのだから、そういうことじゃないんだけど、そう読める、という気づき。

大きな海に抱かれてみたいのよ
時折水面に顔覗かせて
月を眺めて歌を唄う
傷ついた鯨と一緒に

この世界を捨ててどこかへ帰りたい、それはできない、という思いを、具体的かつメルヘンなものに託して歌う。生物の進化というほんのりとした科学の香りで、それは絶妙なドライさを持っている。うだうだと恋に悩んで、世を儚み、それでも我々はここを捨てない。

この曲を知ったら、世界は「鯨が捨てた場所」になってしまう。事実は何も変わっていないのに、そんな特大な世界観の変化をもたらす発見。天才すぎる……恐ろしすぎる……羨ましすぎる……という思いでこの歌を聴いています。


今日はここまで。ありがとうございました。

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