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自分と誰かの好きと嫌いと

母は家具が好きだ。
季節や行事に合わせて家の玄関やさまざまなところを飾り、ディスプレイするのが母の趣味だ。

母は和のテイストが好きで、
今回はおばさんに貰ったという和箪笥が実家に来た。

置く場所はリビング。
そこには今まで違う箪笥があったのだが、それを今度は父の部屋に移動することになった。
その移動の際には母が頼んだ業者の人が家に来て作業する。もちろん父が家にいない間に。

母は自分の趣味のことだから、手配さえ自分でして父の手を煩わせなければ良いと思った。

問題はそこだ。

移動するにあたって人(他人)が父の部屋に入ることになる。
そこで父が、勝手に人の許可なく他人を部屋に入れるのはいかがなものかと母に厳しく注意した。

そこでやっと母も気がついた。

母はあまり気にならない人である。
妹なんて結婚前はしょっちゅう部屋の掃除を母にお願いしていたくらいだし、
結婚後の現在も、小さな子供がいて手が回らないと妹の家を母が手伝いとして片付けることも多々ある。

そうゆうこともあって、部屋に入ること、それで父がどう思うかを、あまり考えなかったのかもしれない。

「私はそうゆうことが気にならない性格だけど、
理由があってパパはそうゆうことを嫌だと思っているということがわかって、考えが回らなかった、素直に悪いことをしたなと思って、ちゃんと説明して謝った。」
母は後日こう話していた。

これがとてもいいなと思った。
夫婦であってもやはりそれぞれ一個人なんだ。

嫌だと思ったらそれを嫌だと言える。
そして意図せずにその人がされて嫌なことをしてしまった時に、自分が見えていなかったところがあったと気づき、素直に謝れる。
お互いに心にわだかまりはない。

これを両親に見せてもらったことに、
なんだかあったかく、しみじみとした気持ちになった。

実家に来た和箪笥は、
すっかり母のお気に入りとなったようで、
「どう?いい?」と写真が送られて来た。
父は母が勝手に楽しそうでなによりと思っているらしい。うん、私も本当にそう思う。

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