社会は、私たちが食べるものでできている。食文化が生まれる「食」の共同購入ECをはじめます。

今日、キッチハイクは、新しい一歩を踏み出します。2013年の創業時から取り組んでいる「みんなで食べる体験」、今年3月1日からスタートした「未来のお客さんになる応援チケット」に続いて、本日6月20日からは、「食の共同購入EC」を始めます。

こんにちは。キッチハイクの雅也です。4ヶ月ぶりのnoteです。

コロナ影響で社会が一変し、人の感覚・行動・判断基準も大きく変わった数ヶ月だったと思います。今も、世界中を早回しにするような日々が続いています。いい変化ももちろん見られるけれど、総論としては概ね難局を迎えているような気がします。特に、食に関わる業界、食の現場をつくる方々にとって、悔しいですが厳しい日々がしばらく続くと言わざるを得ません。

そんな時だからこそ、キッチハイクとして、食の現場をつくる方々を応援したい、今僕たちが生きるこの時代をよくしたい、ワクワクする未来を創造したい。そんなことを、毎日メンバーみんなで考え続け、走り抜いた4ヶ月でした。

社会は、私たちが食べるものでできている

今回、「未来のお客さんになろう! #勝手に応援プロジェクトで、食べる側からの影響の大きさをはっきりと認識しました。それは、想像を遥かに越えた、大きな可能性を持ってます。その可能性を引き出して、つくり手を支援する新しい方法として「食」の共同購入ECを始めることにしました。

コロナ禍において、食べ手が集まって飲食店を支えていることが、かけがえのない街の食文化までつくることがよくわかりました。また、飲食店の利益構造がとてもか弱いことも明らかになりました。今までは「来店」が売上の軸でしたが、これからは「来店以外」の売上も用意することが望まれます。

いま改めて、食に関わる産業はサービス業に留まる必要はありません。本来、もっと創造産業に近いことを食に関わる人たちは、自然とやっていると僕は思います。であれば、食べ手の側からもっと寄り添って、時にはおせっかいを焼いて、「食」をもっと創造産業に押し上げていけるはずです。今回、割引のないチケットでも先払いする人が、のべ 6,000 人以上もいたことはその証明になります。

We are what we eat. (私たちは、私たちが食べるものでできている) とは、よく言います。ですが、これからの時代は Our society is what we eat.(社会は、私たちが食べるものでできている)の方がよりしっくりくると多くの人が感じているのは間違いないでしょう。

つまり食べ手は、何を食べるか?どう食べるか?ひとつで、食文化や社会のパトロンになれる。逆に言うと、簡単に失うこともできる。「食べる」は日々の行為だから、その一食の選択が世の中を大きく変える力を持っている。食べ手は、そのことをもっと自覚すべきなのかもしれません。 

今回のコロナ影響で、僕らは痛いくらい身に沁みました。大好きなお店には無理をさせないという大前提の上で、どんな形でもいいから、来店でもテイクアウトでもデリバリーでもECでも、先払いでも寄付でもサブスクでもお金を届けた方がいいし、つながり続けた方がいいのです。

応援は希望に。そして希望が新しい動きを生みだす。

3月1日のスタートから、集まった未来のお客さんは、のべ 6,186人。これまでに 560の飲食店さん応援総額 12,864,500 円を届けることができました (6月20日時点)。

もちろんこのプロジェクトだけで、飲食店さんの資金繰りがどうにかなるわけではありません。それでも、先払いするというアクションを通して、お客さんの側から「今すぐには行けないけれど、落ち着いたら必ず行くよ!」という応援の気持ち、手触りのあるつながりを届けられたことは大きかったです。飲食店のオーナーさんから、「毎日不安でしたが、希望が持てました。」といったメールを何通もいただいて、プロジェクトを始めてよかったと心から思いました。

また、応援の輪を広げるために連携も進めました。中村仁さんのトレタとは「応援早割予約」、大類さんの ONE STORY とは「ボトルキープ PJ」、 Instagram とは「ギフトカード」機能連携をしました。プロジェクトを知ってくれる人が増えるたびに、お客さんの側から「このお店、いつも通っていて大好きでぜひ応援したいから掲載してほしい」という声が届くようになり、参画店舗はどんどん増えていきました。

そして、めまぐるしく変わる状況の中でも、光の速さで飲食店さんへの連絡やチケットページの作成、機能改善を進めてくれたメンバーには感謝しかありません。

今回、「未来のお客さん」というコンセプトワードがすごくわかりやすかったようで、瞬く間に他のサービスや飲食業界以外まで広がりました。早いタイミングでひとつの具体的な方法を提供でき、世の役に立てたことはとても嬉しく思います。

「食」の共同購入から生まれる食文化とつながり

今回、共同購入がふさわしいと判断した理由は2つあります。

① つくり手の創造性を引き出せる
② 食べ手の能動性が生まれる

優れた食体験や商品をつくり続けるためには、無理のない持続可能なオペレーションが必要です。キッチハイクの共同購入は、基本的に受注生産になります。販売数・販売を制限して、売れた分だけ時間をかけてつくれるので無理がありません。フードロスもなくなります。

当たり前ですが、オーダーはまとめて入った方が飲食店にとってありがたいです。食材の発注も仕込みもまとめられますし、発送も同時にできます。選択と集中のオペレーションを組むことで、創造性や遊び心あるよりよい食体験や商品づくりができるようになります。

常連さん、ファンがついている飲食店には、ほぼ必ずコミュニティが存在してます。お客さんで賑わう飲食店やバー、スナックを想像してみてください。お客さんの側からもお店の賑わいを一緒につくっていける雰囲気はとても大切です。能動性が起動する空気感というものがあります。

オンラインで商品を買う時も、そういった場の賑わいづくりに入っていける楽しみまであるといいなと思いました。食べ手同士でもつながって、みんなでお店を支えている。さらには、なにかいい偶然が起こるような気持ちを持って、コミュニティに立ち寄る感じで買いものができると、ワクワクがもっと高まります。

思わず「食べてみたい!」と言ってしまうワクワクする商品

今日から、毎週1店舗をめやすに、とても素敵な飲食店さんや地域の方々に参画してもらえることになりました。そして、思わず「食べてみたい!」と言ってしまうような商品を販売していきます。商品を買って終わりではなく、買うことが始まりの EC です。

お客さんの「食べてみたい!」を引き出して、ワクワクする商品や食体験を一緒に企画すること。つくり手と食べ手の続く関係性、人と人の確かな関係性までつくること。キッチハイクが取り組むテーマは、これからも変わりません。みんなで食べる体験、未来のお客さんになる応援チケット、「食」の共同購入、どれも食をきっかけにした深いつながりづくりです。

第1弾は、老酒舗から「中国東北 餃子文化包」

ということで、ついに第1弾!キッチハイクユーザーにも大人気の中国・北京料理が楽しめる老酒舗から。ラム肉の水餃子とおつまみセット「中国東北 餃子文化包」です。6/20 (土) 12:00 〜 6/24 (水) 11:00 にて、30セット限定販売します!

(※ ありがたくも、販売から数時間で完売しました!)

今回のラム肉の水餃子 (フェンネル / 春菊) は、お店では味わえない限定商品。さらに、自家製の干豆腐や漬物の蒸しもの、白酒用の酒器がついて、これ1つで中国に旅した気分になれるセットです。今回は、お店のオーナー・梁さんの故郷である中国・東北地方の思い出の味を詰め込んでもらいました。

梁さんはいつも優しく大らかで、そのお人柄のファンのお客さんも多いのではないでしょうか。キッチハイクのメンバーもお店に行ったり、工場のオープンにおじゃましたりと、親しくさせてもらっています。今回、味坊集団のプランナーである食の編集者小林さんと進めさせてもらったキッチハイク限定の商品です。(小林さん、いつもありがとうございます ^_^)

そしてそして、もちろん発売記念のオンラインイベントも開催します!知っているようで実は知らない中国東北地方の食文化、ぜひ体験してみてください。

最後に。採用やってます!

今日を皮切りに、キッチハイクチームは新しい体制に入ります。コロナ時代に飲食店や食に関わる人たちを支援する、この新しい挑戦に力を貸してください。

「食」の共同購入ECの領域で一緒に活躍してくれるコンテンツ編集者を募集します。ひとりのユーザーとしても責任を伴うマネージャーとしても、「食べてみたい!」と言ってしまうようなワクワクする商品コンテンツづくりにコミットできる方、ぜひコンタクトください。食いしん坊で愛があって、ごきげんな方を歓迎します。

キッチハイクは、これからも手段にとらわれず、食を通して、食べ手とつくり手をつなぐ方法を発明していきます。それが、持続可能な未来と食文化を創造し、社会をよりよくすることへの貢献になると信じています。


食やコミュニティ、キッチハイクにまつわることを書いています。食でつながる暮らしをつくります。