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【湖南市選挙解説⑥】若者による討論会

昨日の19時から湖南市中央のサンライフ甲西で開かれた30歳以下の若者による県議会議員立候補予定者を集めた討論会である「ワカモノラウンド #001 センキョ」の傍聴に参加しました。

このワカモンラウンドは、私が市長だった時代に「わかもん会議」を開催して市政に若い世代の意見を取り入れようとしてきた精神を、今は民間サイドで受け継いでいただいているものです。若い人たちの場ですので、30歳を超えた人たちに発言権はありません。

「ワカモンラウンドはざっくばらんに語り合う場になっています。発言している人の意見を尊重し、否定しないようにしましょう」、「湖南市在住に限らず、誰でも参加が可能です」、「特定の政党や人への否定・批判をせず、前向きな意見で語り合う場にしましょう」というルールが設定されていました。

それらのルール上では、前市長が傍聴に行ってはいけないということはなさそうでしたが、運営に迷惑をかけるといけないので、見つからないように変装をして、開会直前のギリギリに会場入りすることにしました。

会場には運営と4人の立候補予定者、当事者である13人の若者のほか、傍聴者が15人ほどいました。マスコミも来ていました。傍聴者の中には、望月卓、赤祖父裕美、上野顕介、細川ゆかり、副田悦子、奥村幹郎の各市議と曽我部一帆市議予定候補の顔も見えました。

立候補予定者は、日本維新の会の柴田栄一、無所属の藤川人志樹、立憲民主党の塚本茂樹、自由民主党の菅沼利紀の4人です。ステージ上に4人が並びましたが、み

ごとにオッサンばかりで女性参画が遅れている感じがしました。ステージ脇では司会者がスタンバイ、前方に若者が着席しています。

受付でFacebookお友だちである主催者の中野龍馬さんに見つかりました。「谷畑さん、ちょっとこっちに来てください。谷畑さんが来るだけで爆弾なんですから、こちらにお座りください」と一番後ろの一番隅っこの席を案内されました。そんなに危険物扱いしてくれなくても、こちらは変装をしているのだから大丈夫だと思うのですが。

席に腰を下ろして少しすると、上野市議が「何をやっているんですか」と笑いながらやってきました。見つかったと思い、サングラスを少しだけ上げて、「内緒だよ。そういえば昨日、石部南ですれ違ったよ」と話題を振ると、「ちょうど菅沼議員を案内していたんです」と言います。あとで細川市議、副田市議もあいさつにきてくれました。

せっかく静かに傍聴しようと思っていたのにとさらに身を小さくすると、隣の席に女性が座りました。よく見ると甲西高校PTAの会長をしていたときに副会長を務めていただいた矢野和美さんでした。なんたる偶然でしょう。

そういえば、中野龍馬さんと共同で準備したはずの中土翔太市議の姿が見えません。中土市議は柴田市議と会派を組んでいたため、中立性を疑った陣営から事務局に厳しい抗議が入ったという情報を聞いていましたので、無理に参加を断念したのではないでしょうか。そういう水面下の圧力ではなく正々堂々の選挙戦が期待されます。

それと、自宅から徒歩5分もかからないのに生田邦夫市長の姿も見えませんでした。自民党甲西支部長として心配ではないのでしょうか。

第一部は候補予定者4人から話を順番に聞いていきます。最初に自己紹介と課題意識について2分ずつ、柴田候補予定者から話し始めました。以下はメモ書きですので正確性に欠ける場合もあることをご承知おきください。

[柴田] 日本維新の会の柴田です。54歳です。3月31日まで湖南市議会議員。前職はTOTOでサラリーマンをしていた。家族は妻と長男長女の4人家族。出身は柑子袋で、今はサイドタウンに住んでいる。結婚してから数年だけ栗東駅前に住んで今は湖南市に住んでいる。課題と対策では誰でも何時からでも何度でも挑戦できるまちにしたい。日本の社会は病気になって会社を長期休むとなると退職に追い込まれたりする。学校もしかりでレールから外れると戻りにくい。これでは会社に就職して新しいことを見つけても挑戦しづらいのが現状。人が生きていくベースとなる医療、教育、介護、福祉などをなんとか無償化や個人負担が少なくなれば何度でも挑戦できることになる。

[藤川] 無所属の方から立候補する藤川人志樹と申します。住んでるところは湖南市下田で、湖南市では一番端っこに住んでいる。出身は京都府だが1歳から小学校1年までは菩提寺に住んでいた。その後守山に引っ越して、結婚してから湖南市下田に住んでいる。力を入れたい政策は教育と子育てに力を入れたい。PTAでも会長をしたりこども食堂の支援や高専誘致の会の事務局をしてきた。その中で感じたのは自己肯定感を育むことが欠けている子どもが多い。どうすればよいのか、フリースクールや子ども食堂など施設の充実化やそれに対する施策をしっかりとやりたい。

[塚本] 現職県会議員の塚本茂樹です。58歳です。岡山県倉敷市で生まれて高校卒業同時に就職で滋賀県に来て40年になる。家族は嫁と子ども2人、両方とも成人し、兄は大阪、娘は東京で働いている。取り組んでいる施策だが少子化対策は待ったなし。ライフステージに合わせた支援、出会いから結婚、妊娠、出産、子ども子育て、教育から就労まで、切れ目のない暖かい社会環境を作るのが重要。どんな社会環境になっても県民の不安に寄り添いながら、困ったときには行政としての手を差し伸べる、健康で心豊かな暮らしのできるようにしっかりと活動したい。政治というのは弱い人の立場に光を当てるのが政治、政治は未来をつくるもの、子供にツケを回さない。

[菅沼] 自由民主党の菅沼利紀と申します。年齢は45歳、1歳児のパパ。特に課題意識を持っているのは、「ちょっと待ってよ、交通税」というところで県議会議員にチャレンジさせていただく。先に増税だけが議題に出ている感じがするが、公共交通が一体何を指すのかも決まっていない中で、まずは立ち止まって財政改革をしっかりしていけば、新しい課税をしなくても公共交通を守れるかもしれない。歳入をたくさん増やしてサービスを増やしていくという流れではないか。みなさんに一番近い歳ということで聞きたいが、今日は新鮮なみなさんとお話をさせていただく中で、楽しい空間にしていきたい。

それぞれの自己紹介と政策の狙いが紹介された後、「教育」、「経済の活性化」、「住民の政治参画」の3つのテーマについて、参加した若者の課題意識を受けて、各候補予定者から発言がありました。途中で若者からここがわからないとか、もっと聞きたいという発言をするタイミングも準備されていましたが、若者サイドからの声は上がらず、他の候補予定者に聞いてみたいというチャンスは柴田候補予定者が一度使っただけでした。

休憩を挟んで第二部となりましたが、13人の若者が4テーブルに分かれて座り、そこに4人の候補予定者が入れ替わりに参加するかたちで、8分×4回でグループトークが行われました。各テーブルに運営のファシリテーターが付いていたので、若者にとっては安心感があったのではないかと思います。

傍聴者としては、各テーブルすべての会話を聞くことは難しいばかりか、テーブルが隣接していたので、最も大声の菅沼県議の議論に他のテーブルが引っ張られている感じがしました。できればテーブルは会場の四隅に離れて設営した方がよかったように思います。

予定候補者たちは、空白時間をつくるのが怖いのか、どうしてもひとりで喋ってしまう感じが見受けられました。自分の人となりや政策はステージ上で話したので、できれば若者に問いかけて意見を吸収された方がよかったのではないかとも思いました。

しかし、第三部で各テーブルの若者参加者からの感想を聞くと、それぞれの満足感が伝わってきました。

[A] 学校に行くということに納得できずに行かなかったが、めっちゃしっかりみてくれていることがわかった。

[B] 初めてお名前を知った人ばかりだった。一人一人の政策を知ることが参加することの入り口だと思った。

[C] 小学校、中学校には行ったが、馴染まないので高校はネットで通った。政治は興味がないが共感できることが多く、考えてくれているんだとか、聞いてもわからないとか、いろんな感情が出てきた。まだまだしゃべりたい。

[D] インスタで見て参加した。介護の現場で食事提供しているが、若い人が入ってこないのは教育が関係するのかと思った。一生懸命考えてくれているんだと感動した。

傍聴者席としては、若者にこの程度で感動されては困るし、まさに政治リテラシーの問題ではないかと課題意識を新たにしました。候補予定者の話を聞いて感心したり感謝するのではなく、本当は候補予定者が口にしたことが実現できてから評価するところまでをセットにしなければ、選挙に行くことだけで止まってしまうのではないかと危惧しました。

まあ、そうは言っても、まずは選挙に行ってもらわないと何も始まりませんから、関心を寄せるところまで行けたのであれば、まずは第一歩です。それに対して、政治家の側がウソ偽りなく、死ぬ気で取り組むことができるのかが問われているといえます。

そういえば、昨日見た『パンケーキを毒見する』では二枚舌の政治家の舌を抜くのに疲れた地獄の極卒の話をしていました。今の政治に対する国民の見方はまさにそういうものだということを、政治に携わる者須らく肝に銘じておく必要があります。

 最後に4人の候補予定者にも感想が求められました。

[柴田] 普段、若い人と話して意見を聞くことがなかった。4グループとも同じ質問をししたが、いろんな意見があることがわかった。

[菅沼] ぜひ明後日からいろんな選択の機会があるので、政策に耳を傾けて選択してほしい。

[塚本] 子どもと同年代のみなさんの意見を聞けた。子どもとも話をしようと思う。

[藤川] 直に会って間を感じて話すという機会は久しぶり。若い人の本音を聞けた。政治の世界に行くが、対話することが大事な現場だと気づかされた。

この地では、今から20年前に私が立候補したとき、当時の青年たちが公開討論会をしたいという意向を持ったにもかかわらず、当時落選中だった地元の元国会議員が圧力でつぶしにかかりました。それ以来、全域を対象とした公開討論会は開かれなくなってしまいました。

また、今から10年前に現職だった私に生田県議が挑戦してきた選挙で、石部南学区で公開討論会を開催しましたが、あまりに生田県議が答えられなかったため、私が横から助け舟を出したりして討論会の形にならず、以後、討論会はご法度になってきました。

今回、20年ぶりに全域を対象とした公開討論会を開催できたのは、圧力をかける政治家の力も弱まっただけでなく、若い人たちの熱い気持ちが実現の原動力となったと実感します。若者たちから育まれた初々しい心持ちを当選後もいつまで持ち続けていただきたいものですし、そうした政治家を選んでいきたいものです。

      (2023年3月29日記)

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