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No.010 片桐 啓佑 (公務員/ケースワーカー)

【きっかけは祖母の介護。人の役に立つことをしたいと思った】

1.どうして福祉の仕事を選びましたか。(法政現福に入学したきっかけは何ですか)

福祉に興味を持ったのは、祖母の介護をしたことがきっかけです。

僕が高校3年生の時、祖母が脳梗塞になりました。岩手に住んでおりすぐには駆けつけられない距離だった為、夏休みの間に介護をしに行きました。

その時に、祖母から「ありがとう」という言葉を直接かけられました。それがとても嬉しかった。思えば、それまでに他者全般からありがとうと言われたことはありませんでした。

初めて人の役に立っているということを実感し、こうした経験を積むことができる分野は社会福祉だと思ったので、現福に入学を決めました。


学びを深めていく中で、どんどんと興味が広がっていきました。特に東日本大震災は忘れられない出来事です。

祖母が住んでいた関係で岩手には縁があったので、自分の力が少しでもお役に立てればなと思いました。

それでも福祉自体を仕事にすることはあまり考えてはいませんでした。というのも、自分のイメージが偏っていたこともありますが「福祉の仕事=介護」という考えが強かった。

別の仕事で人の役に立つことをしてみたいと思いました。 卒業後は、銀行に勤めました。

お金は直接人の生活を支える大切なものです。また、営利目的というよりも、利益を住民に還元していくという企業理念に惹かれました。

そこでは1年間勤めやりがいも感じましたが、窓口だけではなくもっとフィールドを広げて、地域住民と関わっていきたいとの思いを持ちました。

そこから現職である公務員という仕事を意識し、去年から働き始めました。今年で2年目になります。

【生活保護のワーカー。介護保険サービスの申請窓口を担当する】

2.あなたの仕事について教えてください。

公務員として福祉に携わっています。
1年目は生活保護、今年から介護保険を扱う部署になりました。 1年目はケースワーカーとして、生活保護を受けている方の生活を支援していました。

主な仕事のひとつとして、就職を希望されている方の要望を聞き、仕事のマッチングを行なうというものがあります。

現実にもあるんだなぁと実感したのは、お酒に頼ってしまって物事の選別が上手くいかないという方を、他職種で連携し病院に紹介したり、その後の就職を踏まえてフォローしていくこと。

また、最近のドラマで生活保護をテーマにしたものがありましたが、共感できる部分もある一方、ここまでうまくいかないよなと思うことも多々ありました。

介護保険の仕事では、高齢の方が介護保険サービスを使用する為の申請窓口を担当しています。 他にも、介護度の調査に携わっており、要支援・要介護度の結果をご本人やご家族にお知らせする業務も担っています。

調査の判定項目は70個近くあります。例えば、食事の時にどの程度手が上がるのか。自力での立ち上がりがどれほどできるのかなど。僕が直接判定を行うわけではなく、担当の調査員さんに依頼をし評価をして頂きます。

また、新たなこととして、介護事業にしっかりと取り組んでいる施設を評価する事業も開始しました。


【生活課題の把握、より良い選択肢をイメージする力】

3.大学での学びが仕事で生きていると感じるのはどんなときですか。

市民の相談などから生活課題をすぐにイメージできる。そこから解決に導くような適切な選択肢を考え出すことができるのは、大学時代のすべての経験があってこそだと思います。

特に、高齢者ボランティアサークル(こはる)で、高齢の方との何気ない会話の中で生活の悩みを聞いてきた経験は、今の仕事をする上で大きく影響しています。

こはるでは、サロン活動を行いました。地域の高齢者と一緒にレクリエーションをしたり料理を作ったり…。お互いに楽しむ場でもあり、ジェネレーションギャップを超えて学び合う場でもありました。


実習では介護施設に行き、高齢者だけではなく若くして障害を持った方など、幅広い世代の方々の生活に関わる経験をしました。

生活を支援するためにはその人を見なければいけないという視点を養うことができたのは、実習が大きく、今の職場でも生きている力です。

また、当事者の中には介護サービスや福祉用具レンタル、リハビリを活用することによって体の機能や生活の質が向上することを知らない方がいます。

さらにいえば、どのような資源があるのか、それをどのように使えばいいのかといったことがわからない方も大勢います。

僕は学生時代に行ったボランティア活動の中で、リハビリや福祉用具を使用している人がいること。さらに、社会人になり多くの方にとって活用可能な制度や資源があることを知りました。

僕の立場は提案までしかできませんが、当事者の方にとってより良い選択肢を示せるように、誠意を持ってご相談に応じたいと思っています。


【北欧の発想を基に、新しい日本を作りたい】


4.いま興味を持っていることやテーマは何ですか。

街づくりや貿易に興味があります。北欧の福祉器具などを日本に取り入れ、街づくりをしたら面白いのではないかと思っています。

4年生の夏にフィンランドへ行きました。フィンランドでは利用者さんの体の作りに見合った杖があるなど、とても合理的な器具が増えています。

国内でもそうした器具の良さなどを伝え、新しい街づくりをしていきたい。そのためには、自分が今まで何をしてきたのか、今後何が出来るのかという住民からの問いかけに答えていかなければいけないと思っています。

僕が今しなければならないことは、地域の人の生活レベルを上げるために、適切なサービスを提案する修行を積むこと。新しい国づくりをする為にも、自分にできるベストなことを行なっていく毎日です。


【毎日を大切に、自分の専門性を高めていく】

5.今後の目標を教えてください

1日でも長く勤めて経験を積んでいきたいです。

自分の思考や専門性の土台をしっかり作っていき、高齢者の方に自分が何を提案できるのか、その人の生活の為に何ができるのかというイメージを広げる訓練をしていきたいと思います。



【学生に一言】

なんとなく大学に入って夢が見えない時、自分を俯瞰してみるといいと思います。

目の前にあるものと最大限向き合い、イメージをして取り組んでみる。そしたら必ず転機はあります。


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