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Tea ceremony

「お茶って英語で何ていうんだっけ?」

「・・・Tea,tea・・uhh・Tea ceremony!!」

「That's great!」

Tea ceremonyっていっただけで、

より神秘的になるから不思議。


新茶の季節、京都・先斗町のとあるバーで

観光で滞在中のアメリカ人夫妻とお茶談義になった。

この日は大徳寺でお茶をたしなんだという。

「Daitokuji」は、世界に名だたるお茶の聖地なんだなとしみじみ感じ、

そんな話を気軽に外国人と分かち合えるのが今のKyotoかも知れない。


作法に則ったやりとりが繰り広げられる茶文化は

東洋の叡智が凝縮された精神文化。

長い歴史を経て受け継がれている日本文化をそのものを

丸ごと体感できる装置なのだから、

日本に滞在する外国の人たちを

深く魅了し続けているのも当然だろう。


この茶文化を世界に広げるきっかけを作ったのは

日本近代美術史の父、岡倉天心の書いた「THE BOOK OF TEA」だ。

1906年(明治39年)ニューヨークにて英語で出版。

天心が米国ボストン美術館の中国・日本美術部長を務めていたときである。

日本では1929年(昭和4年)に邦訳された。


パリ万博をきっかけに流行したジャポニズムや日露戦争の勝利で

日本への関心が高まり、ヨーロッパ諸国でも翻訳。

邦訳された岩波文庫版は、今や118刷56万部に達するロングセラーだ。



慌ただしく、騒がしいニュースの聞こえてくる日々でも

簡素な形の中で

季節を感じつつ味わう一杯のお茶は、

今の今を楽しむことを教えてくれる。




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