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こんな時こそ、アラサーOLがうんこを漏らした話をさせてほしい

※注意※

この投稿には、タイトル通り「うんこ」という言葉とうんこにまつわる話がこれでもかというくらい出てきます。たぶん、長いインターネット史のなかで日本で公開されたブログ記事やnote記事の中でも上位を争うレベルで出てきます。苦手な方は閲覧をお控えください。

長い前置き

大規模イベントが続々と中止し、あらゆる企業が在宅勤務推奨を開始。新型コロナウィルスの猛威によって、感染者だけではなく、イベントの主催者や企業の収益にも大打撃が発生している。政府のスピード感のなさに悶々とすれば、突如小中高すべて休校という有効性の定かではない荒療治な要請を始め、子を持つ親たちをはじめ国民による政府や省庁への不満も膨れ上がっている――

なんだか重苦しい雰囲気が、灰色の雲みたいに日本を覆い始めている。好きや嫌いで語る状況ではないのはもちろん十分にわかっているけれど、あんまりこの空気、好きじゃない。少しでも灰色の雲に晴れ間をつくるために、私に何かできないだろうか…そう考えたときに、あることが私の頭に浮かんだ。さながら、晴れ間からさしてくる一筋の日の光のように。さながら、天から降りてくる救世主のように。

――浮かんできたもの、それは、「うんこの話」だ。

大塚製薬のHPなので信頼できる情報だと思うが、免疫力を高める方法のひとつに「笑う」ことがあるらしい。(画像は下記HPからのスクショ)

笑い

在宅勤務の休憩時間に、自分と子供の感染対策に気を張って疲れたときに、人はテレビのお笑い番組なり、YouTubeなり、Netflixのコメディなり、笑えるものを見るべきなのである。そうすることで、免疫力が高まり、ひいては新型肺炎への罹患率や重症化率が下がるのだ。きっと。

そうしたなか、物を書くことで収入を得ているものの端くれとして、いま私にできることは文章を書くことくらいだ。そして、「書くこと」の中でも私にしか書けないこと。それは、「うんこを漏らした話」だ。この流れでうんこ?ふざけるな、お前はバカじゃないのか、いいから手洗ってうがいしてマスクして寝とけ、と思ったそこのあなた、騙されたと思って聞いてほしい。

自慢じゃないが、私は「アラサー丸の内OL」という、マウンティングするには十分な輝かしい肩書きを持っているにも関わらず、2018年に2回うんこを漏らしているし、会社の上司に「ちょっといいですか」って自分から相談を始めた瞬間お腹が痛くなって「ちょ、やっぱすいません」とか言って1分でトイレに駆け込むことがしょっちゅうあるし、この前新婚旅行で行ったタヒチでは2日めに胃腸が完全に壊れて1週間のうちの1日半、トイレで肛門から汚水をぶちまけながら過ごした。世の中にはうんこの話を喜々としてするバカがたくさんいるが、私はそのバカたちに、胸を張って「うんこの話で私の右に出るものはいない」と言える。丸の内OLとして港区OLにマウンティングするつもりは毛頭ない。うんこ芸人としてかつてアメトーークに出演していた「OPP芸人」(おなかピーピー芸人)たちにマウンティングするつもりはかなりある。あと本当は丸の内OLではない。勤務地は東京駅の八重洲側なので八重洲OLだ。

要は何が言いたいかというと、「うんこ界のニュースター」たる私の話を聞いてほしいのだ。この重苦しい日々に、こんなくだらないことでも読んで、クスッとできたら、それで免疫力があがったらさ、いやなんかさ、よくない?まあ、かといって善人ぶっていい話にするつもりもないんだけど、だってうんこ漏らした話だし。

それはそうと、大人は「うんこの話で笑う大人」「うんこの話で笑わない大人」に二分される。二分される、ように見えているが、実はそんなことはない。すべての大人が、本当は、「うんこの話で笑う」はずなのだ。だって子供の頃を思い返してみてよ。みんなうんこで笑ってたでしょ。ちょっと体が大きくなったからってかっこつけんなよな。

まあ、なんで、ちょっと読んでいってよ。明るくうんこの話でもしようや。

本題:アラサーOLがうんこを漏らした話

先日、私の友人がうんこの話(厳密には検便の話だが)をブログに綴っていた。そのことに、世界で一番心が動いたのは紛れもなく私だ。

心が動くとき人が抱く感情はさまざまだが、私が抱いた感情は「焦り」、ただ一つである。

うんこの話を聞いて、焦る?世の凡人たちは私のこの感情に疑問を抱き、理解することなどないだろう。残酷な運命を共にした、一部の選ばれし勇者たちを除いて。
「うんこを漏らしたことのある人たち」だ。

これは断言できるが、うんこを漏らしたことのある者たちは、皆、「うんこを漏らしたことがあること」に一定のプライドを持っている。
人はうんこを漏らした時に、うんこを漏らしたことのない凡人には見え得ない透明な天井を突き破るのだ。
もう何も恥ずかしくない。失うものなんて何もない。なぜなら我々は既にうんこを漏らしたのだから。
不本意といえど、人生でもっとも恥ずべき行為を成人してから成し遂げた。これほどまでに自信につながる経験があるだろうか。
これまでの人生で一度たりともうんこを漏らしたことのない者は、うんこを漏らしたことのある者たちに対して敬意を払うべきである。そして、うんこすら漏らしたことのない自分を恥じるべきだ。

そんな中で、私は「長い前置き」に書いたように、1年でうんこを2回も漏らしている。アラサー女性にして1年でうんこを2回も漏らしているのだ。うんこ界の頂点に立つはずの私が、うんこの話をブログに書くことにおいて、友人に出遅れた。それは大変な焦りである。

大仰な前置きを一度終わらせているにも関わらず、気持ちが入りすぎたが故もう一度前置きのようなことを長々と書いてしまって疲れてきた。そろそろ本題に入りたいと思う。

本当に本題:送別会でうんこを漏らしたときの話

その日は、私の送別会だった。

私は勤務している会社でかつて地方勤務だったが、18年の4月に東京に異動・転勤することが決まっていた。当時の部署での最後の出勤日、3月31日のことである。

既に支社全体の送別会はしてもらっていたが、隣の部署の課長が「最後に少人数でしっぽり送別会をしてやろう」というので、ありがたく、行きつけだった飲み屋に行った。私、隣の部署の前田課長(仮名)、先輩の西村さん(仮名)の3人だった。

前田課長はけっこう話好きで、後輩想いな方だ。あと、ちょっとばかし、かっこつけたがるところがある。いつも通り豪然としたようすで、東京に転勤するにあたってのアドバイスをくださっていた。

「きえ、いいか、東京に行ったら、信頼できるやつとそうじゃないやつがいる。信頼できるやつをちゃんと見極めて、ちゃんと頼るんやぞ」

 神妙な面持ちでのたまわれる数々のアドバイスに、こちらも神妙な面持ちで相槌を打つ。そうですよね、信頼できる先輩をなんとか見つけて、頼らせていただきます。

そして、ビールとともに出された刺身をむしゃむしゃと食べる。

「きえ、お前は東京行ったら旦那と住むんだろ、家事はな、できる方がやる、よりは、ちゃんと分担したほうがええぞ」

そうですよね、できる方がやる、だとどっちかに偏ってしまいますもんね。

ハイボールを飲み、出された焼き鳥をむしゃむしゃと食べる。

「きえ、お前な、子供はどうするんだ。そうかまだ考えてないか、でもな、子供は早い方がええで」

そうですよね、子供についてはいまのところ考えてないですけど、考えるなら早い方がいいですよね。ふんふんとサラリーマンよろしく相槌を打つ。子供の話になったころには、酒は日本酒にさしかかり、食べ物は白子やらたこわさやらのアテばかりになっていた。いかの塩辛をほおばっていると、ふと、腹部に違和感をおぼえた。

話を振られた西村さんの結婚に関する価値観をふぇ~そうなんすね~とかいって聞き流しながら、なんとなく抱える違和感の出所を探る。胃か?腸か?気のせいか?いや、これは腸だ、間違いなく腸。今思えば、この時にトイレに行っていればよかったのだ。自分のコミュ障を呪う。私はコミュ障なので、会話がこう、フッとひと段落したタイミングじゃないと自然にトイレに行くことができない。西村さんからいつ私の結婚観を聞かれるかわからない、そんな緊張感で、徐々に出口に近づいている腹の違和感をありありと感じながらはぁ~~なるほど~~とかいって席を立つことができずにいた。ごまかすようにお猪口を口に何度も運ぶ私の顔は引きつり、おでこはもはや、脂汗でびっしょり。そうこうしているうちに、「男は結婚した方がハクがつく、バツは1まで」というような(感じだった気がする)結論でやっと西村さんの結婚観の話に終止符が打たれた。よし、いまだ!!絶好の機会だ!!もはや今席を立たないと絶望的だ。次はまた前田課長の結婚観の話か私の結婚観の話になる!トイレに行こう!「あ、私トイレに」

「あ、僕ちょっとトイレ行ってきます」

西村さん~~~~!!!!!!自分のターンが終わったから安心してトイレに立ちやがった~~~~!!!!!

待て待て待て待て今どう考えても私のほうがトイレに行きたい~~~~!もうすぐそこまで来てるんだよ!私の腹の違和感は!もうすぐお出口からこんにちはしそうになってんだよ!!!わかるか!!この気持ちが!!西村さんお前絶対ただのお小水だろ!よし、インターバルになったからちょっと休憩でもしてくるかくらいの気持ちだろ!ちょっと待って私のほうが先に行った方がみんなの幸せ的にいい!絶対いい!「あ、西村さ」「きえ、お前は結婚についてはどう考えているんだ?」

前田課長う~~~~!!!!!!いま振る!?!?!?今???私の結婚観???待って今は東京の頼れる先輩より家事の分担より子供より結婚よりうんこ!!!!今うんこのことしか考えられない!!もうすぐそこまで来てる!もううんこがすぐそこまで来てるんだよね!!!!!

しかし私はビビりサラリーマンなので、いや結婚よりうんこ、と口に出して言うこともできず、さらにそんなビビりすら押し切ってトイレに駆け込むという選択肢も悠々とトイレに入った西村さんのせいで取ることができず、人生で最高レベルに括約筋を収縮させてお尻をくねくねさせながら「結婚、私自身はしてもしなくてもいいと思うんですけどぉ」といつも通りのセクハラ対応モードに突入した。

これが、このターンが終わったら全速力でトイレだ、私のターンが終わったら全速力でトイレに行くから今のうちに西村さん出て来いよ…はやく出て来い、そしてそのあとに誰も入るなよ…頭の中で念仏のように、はやく西村出て来い誰も入るな西村出て来いトイレトイレトイレトイレと唱えながらひととおりいつもの結婚ばなしを終わらせる。そうかそうか、なるほどなあと前田課長が相槌を打って、よし!私のターンは終わった!トイレ……と思うが、その時にはまだ西村さんの姿はなかった。

いや西村さんうんこかよ!!!!!!!!!!!!!

さてはお前、私と同じ何かで下した!?くだしたのか!?!?私と同じ状態になってた!?いやだとしたらさっさとトイレに行くのもわかるけどいやだとしたら私もやばいんだよ!!!!そのくらい考えればわかるだろ!!!!早く出てきてくれよ!!

そのころにはもう私の引きつった笑顔は目も当てられなかったと思うし、目は焦点が合わず、顔を脂汗でべたべたさせながらひたすら上半身をくねくねさせるというさながらバイオハザードに出てくるゾンビのような状態になっていたと思う。しかし前田課長は豪然としたお方なので、私がバイオハザード状態になっていることには気づかず、あろうことか再びご自身の結婚観についてお話を始めてくださった。

ああ、終わった。そのとき、私は悟ったのだ。

西村さんが提唱していたバツは1つまで理論に異を唱える前田課長の悠々とした口ぶりをファービーのように「ふぇ~~~~そうなんですね~~~」と聞きながら、私が今日人生につけるバツは結婚離婚どころの話じゃないんだよ、前田さん……と遠い目をしていた。

ご自身の離婚話に話がうつったころ、その時はきた。

皆さんに知ってもらいたい。その時は、あっけなくやってくるのだ。あっけなくやってきて、そして、それまでの焦りや恐怖や恥ずかしさや怒りや哀しみが嘘だったかのように、フッと、全感情が体から抜け落ちていくのだ。

ただ人間というのはよくできた社会的な生き物で、全感情が抜け落ちていったとしても力は抜けない。引きつった笑顔はただの笑顔に戻り、脂汗は引き、体はくねるのをやめても、私の括約筋はしっかりと仕事をしてくれた。誰の結婚観もおかまいなしにきちんと締まった私の括約筋のお陰で、被害は最小限にとどめられた。だいたい全体の2%くらいしか出なかったと思う。

完全に無心になり、「前田課長、あなた一生懸命話してくれてるけど、私、うんこ漏らしてるからな?」と思いながら、笑顔でもはやすがすがしい気持ちで離婚話を聞いていると、西村さんが戻ってきた。やけにすっきりした顔をしている。

そりゃお前はすっきりしてるだろうな!!!!!いいよなお前は!!!!!気持ちよく!!!合法的に!!!!うんこが出せてな!!!!!

一抹の怒りを抱えながら、ビビりサラリーマンの要素すら抜け落ちた私は何も言わずにトイレに立った。前田課長の離婚話がクライマックスを迎えるのに、途中から来た西村さんが一生懸命話を合わせているのを背中で聞きながら。

==ここからはさらに汚い表現になるので嫌な人は飛ばしてください※これまでの表現は汚くなかったのかというツッコミはなし※==

トイレの中で最小限の被害にとどまったパンツを拭き、洗い、もう捨てよう、こいつは捨てよう、と考えた。しかし、想像してみてほしい。トイレには、大きな、パンツの存在すらわからないほど隠せるようなゴミ箱はない。そこにあったのは女性用の小さなサニタリーボックスだけだった。

小さなサニタリーボックスは私のパンツを入れたらいっぱいになってしまう。次に入った人がもし女性で、サニタリーボックスを使ったら思うだろう、なんでパンツ!?!?!?そしてそこは小さい居酒屋だったので、前に入った女性が誰かなんてすぐわかってしまう。あの人、なんでパンツ捨てたの!?!?!?今ノーパンなの!?!?!?!?そう思われたくはなかった。いや、今思えば、捨てればよかったのだ。その日限りの出会いの知人ですらない女性に、パンツを捨てたノーパン女だと思われることくらいなんでもなかったのだ。しかし、私はそのときうんこを漏らしていた。もはや、正しい選択をする余裕などなかった。

私は洗ったパンツをよく絞り、小さく丸めて、その時履いていたズボンのポケットに入れて颯爽とトイレを出た。西村さんと同じくらい、すっきりした顔をして。

「きえ、いいか、東京に行ったら、信頼できるやつとそうじゃないやつがいる。信頼できるやつをちゃんと見極めて、ちゃんと頼るんやぞ」

まるでリセットボタンを押したかのように最初と同じ話に戻る前田課長。ふんふん、そうですよね~と何食わぬ顔で相槌を打つ私。「前田さん、私、いまポケットにパンツ入ってるんだよな」と思いながら、ファービーのようにふぇえ~と、彼独自の「信頼できる人リスト」を携帯のメモにわざとらしく打ち込んだ。

==さらに汚い表現おわり==

その時はあっけなくやってくる

以上が、アラサー丸の内、あらためアラサー八重洲OLたる私の戦いの全貌だ。しかし、私は18年にうんこを2回漏らしているので、これは始まりに過ぎない。

思えば、私の胃腸との戦いはこの居酒屋から始まったのだ。戦いと言っても、大体負け続けてるけど。……いずれにせよ、うんこの話で私の右に出る者はいないということが、おわかりいただけただろうか。おわかりいただけたなら、名誉なことである。

これを最後まで読んだ人には伝えたい、その時は、あっけなくやってくる。そしてその時を迎えた人は、ひとつには悟りを開き、ひとつには全感情が体から抜け落ち、そして、この社会のすべてを超越する。なぜかって?うんこを漏らしてるからだ。うんこを漏らすこと以上の屈辱など人間にはない。そして知る、人間は社会的生き物ゆえ、漏らしてもちゃんと、括約筋は働くということを。


気が滅入る話題ばかりで暗くなりがちな日本ですが、うんこの話でもしたりしながら、力を合わせて乗り切りましょう。

頑張ろう、日本!(強引)

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